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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑱マイケル・ハマー」から

2011.9.28  日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑱マイケル・ハマー」から

90年代、日本企業は現場改善、欧米はポジショニング戦略の両極にあった

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー ディレクター岸本義之氏が示す今回の人物は、1980年代の前回話題になった『エクセレント・カンパニー』の課題であった具体的なアプローチを示したマサチューセッツ工科大学元教授で、『リエンジニアリング革命』の共著者 マイケル・ハマー(▶参考)である。

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1980年代の日本企業の躍進を受けて欧米では、日本企業が誇る現場改善の手法について具体的に触れずにいた。ところが、マイケル・ハマーは、『リエンジニアリング革命』で示した手法であるビジネス・プロセス・エンジニアリング(BPR)を導入し、欧米の多くの経営が、現場改善に挑戦しようとした。BPRは、組織のプロセスを出来るだけスリムにしようというもので、重要でないプロセスは、「自動化するな、取り除け」とハマーは説き、既存のプロセスをご破算にして基本から再設計するものであった。BPRの第一歩は、白紙に自社のプロセスをすべて書き出して図式化した上で、どこに効率化の余地があるかを特定するということであった。続いて、従来の機能別組織ではなく、プロセス別組織への移行を設計する。機能別組織の縄張り主義を解消し、非効率性を取り除こうというものであった。

【不発終わったBPR】

岸本氏は失敗の理由を以下のように示している:

  • 白紙に全プロセスを描く場合、歴史的な経緯や意味を捨ててしまい、現時点のみに着目することで、機能別組織の存在意義と価値を評価しなかった。
  • テイラーのシステムと同様、非人間的な側面を持っていた
  • 手をつけやすいところだけ革命が行われてしまい、経営者自身のリエンジニアリングは手つかずであった

しかし、このようなBPRであったが、経営者の眼が、現場の競争力に注がれた点や、機能別組織がもたらす組織硬化の問題にメスを入れた点では評価できるという。

当時、日本企業は「選択と集中」というポジショニング型の戦略が実行できなかったことから現場改善のアプローチに逃げ込み、欧米企業は、現場改善できず、ポジショニング戦略に逃げ込んだようだ。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『社会的責任』世界の視点⑪:人権とCSR」から

2011.9.27  日経産業新聞集の記事「『社会的責任』世界の視点⑪:人権とCSR」から

ラギー報告で確立されたISO26000での企業と人権

コラムの著者 損害保険ジャパン理事CSR統括部長 関正雄氏が、ISO26000の人権セクションが環境セクションに比べ難産であったことを語っている。日本企業も含め企業の現状とISO26000で謳われた基準とのギャップが大きいことも指摘している。この理由は、人権がCSRでクローズアップされてきたのは最近であること、適当な先行指針がなかったために大幅に執筆が遅れたからだ。

さらに作業が難航を極めたのは、これまで人権は、法律に基づき国家が守るものといった考えが強かったからである。企業の自主的な取り組みであるCSRで人権侵害をなくすのは実効性があるとは考えにくい、といった懐疑論が支配したからだ。ただ、CSRが世界的規模で浸透するにつれて、企業が人権に取り組むことは重要であるとの認識が高まり、2008年の国連人権理事会に提出されたハーバード大学ジョン・ラギー教授による「企業と人権に関する報告書」(ラギー報告、▶参考)が基本文書となってISO26000の作業にも影響を与えた。

【ラギー報告の骨子】

  • 人権を保護する国家の義務
  • 人権を尊重する企業の義務
  • 人権侵害からの救済の実効性の向上

の3原則。企業の責任は国家とは異なること、さらに重要であることだとされた。

ラギー報告をベースに国連の世界人権宣言の解説、幅広い人権の種類お例示、人権尊重の重要性と、人権侵害のリスクの洗い出し、未然防止、人権侵害への加担防止などが記述された。

これまでは人権問題というと、差別問題、セクハラ、パワハラといった職場における問題が中心で、対策は人事部門の課題として考えれてきた。しかし、グローバル化に伴って、サプライチェーンが世界的に広がり、事業活動のあらゆる面で人権問題を考える時代となっている。

筆者の関氏は以下の「人権デューデリジェンス」の必要性を訴えている:

【「人権デューデリジェンス」の要旨】(ISO26000から関氏が作成)

  • 人権に関する方針の確立
  • 企業活動が人権に与える、実際及び潜在的な影響の評価:サプライヤーなどの関係先による侵害を含む
  • 評価結果の分析に基づくアクション
  • パフォーマンスの追跡と定期的な開示

企業は人権の尊重を事業活動の中心に据える必要があるということになる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ソニー、幻の重要経営案件」から

2011.9.26 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ソニー、幻の重要経営案件」から

投資先なき戦略の格差

コラムの筆者が、ソニーの経営企画部門のOBから聞いた話から企業経営のかじ取りに展開する内容である。OBの話は、何度が検討課題として浮上し、常に結論が出なかった「重要経営案件」があったという。

この案件は、同社の映画部門の株式公開による一部株式売却で手に入るキャッシュの使途だという。つまり、この計画は実行に移されることがなかったという。その理由は、当時のソニーはこの件に関する経営のかじ取りが明確でなく、そのキャッシュで何に投資すればよいか、社内のコンセンサスが得られなかったという。

これに対して、オランダのフィリップスは、事業売却で成果を上げた。韓国のLGと作った合弁会社や台湾のTSMCの株式を売却し、これを原資として医療機器分野の買収を進めたからだ。結果、10年前は小規模な事業体であったのに、今や米GEや独シーメンスに次ぐ世界3位の地位に躍進し、経営の1つの柱となった。まさに選択と集中である。

ソニーの当時の幹部のことを笑えないのは、先ず社内のコンセンサスを得るよりも、スピードのある決断と事業に対するビジョンをもった選択と集中が行えるかといったマネジメント能力にかかわるからである。肝に銘じたい内容だ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:仕事・介護 両立支援ビジネス」から

2011.9.22  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:仕事・介護 両立支援ビジネス」から

40歳以上の社員数で料金体系を工夫

コラムの著者 立教大学経営学部教授 高岡美佳氏によると、育児休暇の取得率は向上しているが、介護休業の取得率は、さほど増えていない。一方、総務省の就業構造基本調査によると、2006年10月からの1年間で介護や看護のために離職・転職する人は14万人を超えるという。企業側は、介護離職の対策を講じたいという。

このような企業側のニーズに対して、資生堂の社内ベンチャーから独立した株式会社wiwiw (▶参考)は、今年11月仕事と介護の両立支援サービス「介護wiwiコンシェルジェ」の提供を開始する。同社は、すでに今年9月1日時点で454社の顧客企業を持つ。

【新サービス「介護wiwiwコンシェルジェ」の概要】

  • 対象を介護休業者から介護の不安を抱える社員にまで拡大
  • 専門家による相談
  • 介護施設の情報検索
  • 顧客企業の社内ポータルサイトの開設
  • オンライン講座の提供

特に、社内ポータルサイトは、特徴的だという。社員側からの介護支援に関する要望を吸い上げ、定期的に企業側からの情報を発信し、さらに、介護の不安を抱える社員同士の情報交換もできる。さらに、仕事へのモチベーションの維持に役立つという。

料金体系にも工夫があり、40歳以上の社員数に応じて企業ごとの料金体系を導入するという。つまり介護休業対象者だけでなく、家族の介護に不安を抱える40~50代の社員も含めるからだ。

企業側もこのようなサービスをアウトソースすることで介護離職率を下げることを期待し、結果として介護休業の取得が向上することに期待したい。sun


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル②」から

2011.9.22 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル②」から

米GEでのタフな仕事の割り当てと超高速人事ローテーションのねらいは?

コラムの著者 プライスウォーターハウスクーパーズ マネージャー 北崎茂氏によると、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が多くのグローバル人財を輩出出来てきた理由として、品質管理で培ったきめ細やかな人材育成にあるという。

【GE流の根幹】

  • シックスシグマ(▶参考)にある品質管理手法を応用
  • あらゆる課題解決に作業プロセスを用意
  • きちんとこなせば、安定的な成果(報酬)が得られる
  • GEバリュー(世界共通の行動規範)で価値観を共有

これらの新しい取り組みに、抵抗勢力を克服するため、コストを惜しまない姿勢がある。北野氏は、日本企業は、こういった思い切った判断ができていないという。

【リーダーシップ・プログラム】

世界で30万人以上の従業員をもつ米GE。全世界から約2千人の新卒社員が入社し、そのうち4割が「リーダーシップ・プログラム」に挑むという。さらに、半年ごと職場を改め、常に新しいビジネスを体験する。

海外赴任も最長2年間。2年で成果を求めることに、多くの企業が疑問を抱くが、経験のない事業領域でも責任を持つことで、未知なるものに対処できるマネージメント能力を磨く。多くの日系メーカーでは、海外赴任は中堅クラスで3年以上、ポストもワンランク上となるが、現場との信頼性では有益だが、経験則の通じない未知なるものにうまく対応できるグローバル人財が幾人も必要となろう。武者修行の場であって決して、双六の上がりではないという。この手法の中に若手のグローバル人財を欲する日系企業にヒントがあるかもしれない。happy01

【訂正】著者名を誤っておりました。申し訳ございません。上記、変更修正させて頂きました!coldsweats01

⇒福井さま、ご愛読ありがとうございます。また、著者名の誤りの件、ありがとうございました。