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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:”便乗節電”の危険性」から

2011.8.29 日経産業新聞の記事「眼光紙背:”便乗節電”の危険性」から

ピーク時節電から逸脱は問題

コラムの著者は、最近ブームになりつつある「節電」に、住民や消費者の安全にかかわる”便乗節電”について問題ありと指摘する。街のあちこちの筋違いの節電策の横行があるという。反って、夜間の犯罪や安全対策に抜かりがあるというのだ。コラム挙げている”便乗節電”の例は何れも、使用電力のピークを過ぎた午後6時以降のことで:

  • 駐車場の照明の間引き
  • 駅の自動改札の稼働率を下げる→これは節電というよりコスト削減というべきだ
  • 飲食店の閉店時間の繰り上げ→これは節電というよりコスト削減というべきだ
  • 首都高速の夜間照明の間引き→これは照明があっても危険な個所がある。事故の危険性も高い
  • 街灯の間引き→通行の安全と暗がりに乗じた犯罪事件の増加を起こす

などがあるという。各電力会社や大口利用者の企業では、ピーク時節電をアナウンスしている。省エネは重要ではあるが、それに便乗して安全を犠牲にしてのコスト削減などを行うのはいかがなものか?


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:愛のムチは禁じ手か」から

2011.8.25 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:愛のムチは禁じ手か」から

製品+サービスも含めた顧客価値の変化

コラムの著者 法政大学経営学部教授 西川英彦氏が、紹介するのは下着メーカーの新商品とそのサポートウェブの話だ。下着メーカーのワコールが2006年開設したウェブサイト「スタスタ部」。(▶ 参考)この部活動?はスタイルサイエンスという体形改善を目的とした下着の継続着用を支援するために、太もも部分に特殊な機能を持たせた下着を使い、カロリー消費をしやすくるものである。これまでの補正下着とは違って、「身体を美しく見せる」ことから「身体を美しく変える」機能をもった製品だ。

ダイエットと同様「着用継続」が難しい。そこで、ウェブでは、自己の着用頻度や歩数、体重などの記録機能や会員同士の掲示板、愛ムチプログラムがある。聞きなれない愛ムチプログラムが、西川氏が注目する「顧客を叱る」マーケティング手法だ。

プログラムに参加して2日ログインしないと、愛ムチストという多様なキャラクターから「愛ムチメール」が届くという。事例として、熱血体育教師「ハッスル金子」から

  • 「よし、昨日サボったやつは、腹筋2000回!なにぃ~口答えする気か?よし、追加一億回!先生はオマエたちのことが大好きだ。だから言うんだ。朝起きたら、まずはけ。そして出かけろ。以上!」

叱る内容にしたのは、やさしい言葉や機械的なことばでは効果がないと考えたからだという。

一人では挫折してしまいそうだが、叱るメールは誰かに見守られている感じを演出して継続を支える。

製品の効果を出すために「叱る」。西川氏は、「製品だけからサービスを含めた顧客価値への変化と、その際の消費者への新しいコミュニケーション」と考えている。これまでのマーケティングの常識が変わりつつあるようだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:問われるメディアの価値判断」から

2011.8.25   日経産業新聞の記事「眼光紙背:問われるメディアの価値判断」から

世界でも屈指の学者が答弁してもマスコミで話題にならない日本

コラムでは、東京大学アイソトープ総合センター長 児玉龍彦教授(▶ 参考)の国会での発言が、マスコミのニュースとして報道されていないことに疑問視とマスコミのレゾデトール(存在意義)を問い糺している。

すでに、児玉教授の発言はユーチューブなどのソーシャルメディアでは扱われており、「熱量では広島原爆の29.6個分相当が漏洩している」「7万人が自宅を離れてさまよっている時に国会は何をやっているのか」などと政府や国会を痛烈に批判。

 

問題は、こういった発言を取り上げた記事が、7月27日に行われたのに全国紙、地方紙に翌28日に取り上げたところがないということだ。

マスコミは、この時点で一体何を伝えようとしているのか。コラムの著者同様、憤りを感じる。confident

 


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「グローバル企業の特許戦略③富士通」から

2011.8.25   日経産業新聞の記事「グローバル企業の特許戦略③富士通」から

米国での特許係争の経験を新興国で活かす

コラムは、富士通の知的財産権本部長 亀井正博氏のインタビュー記事だ。富士通は、米テキサス・インスツルメンツ(TI)と半導体技術に関する特許係争「キルビー特許訴訟」(▶ 参考)で争った。結果、富士通が勝訴したが、富士通社内には課題が残った。

それまで特許出願数を重視しただけで、明細書の評価などは行わず、いわば弁理士に丸投げ状態であったのを改め、特許訴訟で勝つための出願体制を刷新した。先ずは、弁理士への丸投げではなく、社内基準による評価を導入し、さらに弁護士も含めた出願体制を作った。パテント・トロール対策を含め、特許の出願から紛争対応まで手掛ける専門職の拠点を米国で設置している。今後中国やインドにも同様の拠点を設置する予定だという。

また、インタビューでは、取得しただけで活用していない「休眠特許」の扱いを亀井氏に聞いている:

  • 富士通は休眠特許が保有特許の約50%。
  • 特許の保存期間は出願から20年。特許戦略は長く、事業計画のスパンには合わないが、活用する時期を考える上でも休眠特許をあながち低くするのにも問題がある。

【富士通グループの特許出願】

2010年度、件数:米州:米国、カナダ、ブラジル

日本 米州 欧州 アジア・オセアニア
4800 2250 1500 750

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑬ピーター・ドラッガー」から

2011.8.24  日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑬ピーター・ドラッガー」から

経営者の責務をクリアにしたピーター・ドラッガー

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー岸本義之ディレクターが示す今回の人物は、ピーター・ドラッガーだ。(▶参考)

Pd
多くの著作で著名なドラッガーであるが、オーストリア生まれで、1933年に英国でジャーナリストとしてマネジメント関係の著者を書いた。1937年には米国に渡り、GM組織研究に招かれろ。以後、彼の業績は、先見性のあるコンセプトがあったことである。

【会社という概念(1946年)】

  • GMの良さを認めながらも官僚主義的な問題点を指摘し、変化への対応の遅れの可能性を指摘した。

【現代の経営(1954年)】

  • 企業の目的は、顧客を創造すること
  • マーケティング研究に方向性を与える
  • マネージメントの5つの基本的役割
    • 目標の設定
    • 組織作り
    • 動機付けのコミュニケーション
    • 評価測定
    • 部下の育成
  • 経営者が果たすべき役割
    • 「経営者と他の人を区別する機能は教育的機能である」
    • 行動ビジョン行動能力を与えられるのは経営者だけである」
    • 「経営者を定義するには、ビジョン倫理的責任だ」
  • MBOManagement By Objective)目標による管理の提唱
  • 軍隊的比喩の普及

【創造する経営者(1964年)】

  • 今日我々が(企業)戦略と呼んでいるモノの最初の著作
  • 企業戦略:個別の意思決定の上位概念として、企業全体の目的を示すもの
  • 長期的なマネジメントの在り方も示す

【断絶の時代(1969年)】

  • 知識労働者という概念の導入:知識労働者は知識が力であると認識し、組織内でその力を行使することで大きな役割を果たす

【未来企業(1992年)】

  • 脱工業化社会について論じる:「これからの鍵は知識である」
  • 「世界は労働集約的でも原材料集約的でもエネルギー集約的でもない、知識集約的になっている」

昨年からのドラッガーブームだが、常に未来を予見するような新しいコンサプトを打ち立てた点で驚異的だ。また、マネジメント分野だけでなく、リーダーシップやマーケティング、戦略、知識社会などの広範な分野で活躍した。