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2011.9.26 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ソニー、幻の重要経営案件」から

投資先なき戦略の格差

コラムの筆者が、ソニーの経営企画部門のOBから聞いた話から企業経営のかじ取りに展開する内容である。OBの話は、何度が検討課題として浮上し、常に結論が出なかった「重要経営案件」があったという。

この案件は、同社の映画部門の株式公開による一部株式売却で手に入るキャッシュの使途だという。つまり、この計画は実行に移されることがなかったという。その理由は、当時のソニーはこの件に関する経営のかじ取りが明確でなく、そのキャッシュで何に投資すればよいか、社内のコンセンサスが得られなかったという。

これに対して、オランダのフィリップスは、事業売却で成果を上げた。韓国のLGと作った合弁会社や台湾のTSMCの株式を売却し、これを原資として医療機器分野の買収を進めたからだ。結果、10年前は小規模な事業体であったのに、今や米GEや独シーメンスに次ぐ世界3位の地位に躍進し、経営の1つの柱となった。まさに選択と集中である。

ソニーの当時の幹部のことを笑えないのは、先ず社内のコンセンサスを得るよりも、スピードのある決断と事業に対するビジョンをもった選択と集中が行えるかといったマネジメント能力にかかわるからである。肝に銘じたい内容だ。

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