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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:外国人研究者が集まるニッポンに」から

2012.2.28   日経産業新聞の記事「眼光紙背:外国人研究者が集まるニッポンに」から

在邦研究者の活躍できる環境整備を

コラムの筆者は、台湾出身の蔡安邦(さい・アンポウ)東北大学教授を事例に、日本での外国人研究者を受け入れ、活躍できる場が欧米や韓国などよりも遅れていると語る。

蔡教授は、ノーベル賞発表前に準結晶を次々見つけその存在を確実にした世界的な権威である。この業績を知って文科省の職員が、同教授の帰化を問い合わせたところ、海外出張で不在で、関係者が「台湾のままです。」と回答すると、がっかりして電話をきったという。その話を聞いた蔡教授は、「私のような外国人が日本で活躍することに意義があるのです。」と憤慨したそうだ。

科学技術立国を標榜するなら、外国人の活躍も日本で活発でないといけないはずである。しかし、日本に在住する外国人研究者は1%ほどで、欧米はもちろん韓国などよりも低いという。

優秀な頭脳を獲得する国際競争で完全に出遅れている。蔡教授は「自分は日本で育ててもらったから日本にいるが、外国人を集める環境は他国よりいも遅れている」という。

外国人に限らず日本の研究者の日本離れを考えると、技術立国は今後砂上の楼閣になるやもしれない。think


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:再発明の意義、21世紀型の技術革新促す」から

2012.2.24  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:再発明の意義、21世紀型の技術革新促す」から

再発明が産業史を塗り替えてきた事実

コラムの著者 志村幸雄氏(技術評論家)は、最近よく耳にする『再発明』について言及し、イノベーションの一形態であることを示している。

【イノベーションは革新的な新規の発明だけではない】

  • 志村氏が示す歴史的な事実:
  • 蒸気機関の発明者はジェームズ・ワットとされているが、実際は、英国のトーマス・ニューコメンが発明した機関に復水器を取り付け、熱効率の改善を図ったものであるという。
  • 『再発明』が蒸気機関の実用化に決定的な役割を果たしたからという。
  • 電気自動車からiPhoneまで
    • 19世紀に電気自動車はすでに発明されていたが、鉛蓄電池に課題があり、普及にまで行かなかった
    • 鉛蓄電池の短所を補うリチウムイオン電池の時代を迎えて、一気に開花した再発明である。
    • 米アップル社はソニーのウォークマンをiPodに変換し、iPhoneまで再発明した。
  • 志村氏の再発明の定義
    • 『先行発明では実現し得なかった製品構造や機能に、新しい技術や設計思想を付与し、製品の完成度を高めたもの』
    • 再発明が話題になるのは、革新的な新発想が生まれにくいという事実がある。志村氏の調べでは、G・R・テイラーの指摘では、発明の世紀と言われた20世紀においても、大発明の多発期は50年代までで、60年代以降は急速に減少している。新規発明が生まれないなら、改良型の再発明に頼ることになる。
    • 産業史や技術革新は必ずしも未知の領域から生まれるものではない。
    • 筆者が以前述べた「温故知新」に改善や既存技術の組み合わせから生まれてくるメカニズムがある。

再発明も実は革新型以上に生み出すのは難しい。しかし、再発明は多くが現場での知見が多いにネタになっている。モノづくりの原点はやはり現場に在り、世界でも屈指のモノづくりはやはり日本だと言いたい。happy01

 


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SNSのビジネス利用:自由と管理、バランスが重要」から

2012.2.23   日経産業新聞の記事「SNSのビジネス利用:自由と管理、バランスが重要」から

日本版スマートシティーの在り方は

筆者 木ノ下健氏(野村総合研究所副主任コンサルタント)のソーシャルメディアや交流サイト(SNS)のビジネス応用についてのコラムは、著者も同じソーシャルメディアを研究する者にとっても興味深い内容である。

【米国に比べ、模索段階の日本企業の活用】

消費者の声やトレンドを素早く入手できる利点があるソーシャルメディア。しかし、日本の企業での活用は全般的に模索段階であると木ノ下氏は語る。

  • ある程度の自由さと公開情報の扱いのバランスが重要
    • 個人の意見の立場を明確にするルールづくりも必要。海外企業では社員の利用に対するガイドラインを準備している。
    • 企業名付きか個人の意見なのか、のルールがあること。迷ったら事前に会社に相談できることが重要。
  • SNSの情報発信は遅効性。
    • 即効性を期待しないで、じわりじわりとファンを増やす
  • 小グループ単位で情報発信を行う
    • ブランド別や商品別、部門別といった単位で、消費者や顧客が反応しやすく、情報の管理がしやすい単位で始めることも重要。

【ビジネス用途は『ミクロ型』と『マクロ型』】

  • 『ミクロ型』:消費者1対1でつながる顧客との窓口として活用する:カスタマーサポートの代理とみる方法。電話の苦情よりも分析的に状況や需要が読み取れるのも利点。
  • 『マクロ型』:消費者のトレンドを探る方法。ツイッター等をテキストマイニングなどの手法で、商品の評判や企業イメージなどと言った把握の仕方をしたい場合に利用できる。幾つかの情報処理会社や調査会社、CRM提供企業では分析サービスを行っている。

【木ノ下氏によるマーケティングなどでのSNS活用のポイント】

  • 情報の発信の仕方
    • 部署ごと、製品ごとなど小さな枠組みで立ち上げる
    • 発信者の顔がみえるような独自色を出す
    • 効果は早急に求めず、徐々に改善
  • 情報の管理の仕方
    • 「公式か否かの明記」など社員向けガイドラインを設定
    • 表記などで迷った場合にすぐに会社に相談できる体制に
    • 間違った発言をしたら、削除よりも、きちんと訂正

ソーシャルメディア、SNSは企業にとっては有効に使えれば効果のあるもの。しかし、「炎上」や信頼問題などの社内での対応課題もある。皆さんの会社ではどう使う?happy01 筆者のコラム(見解)はこちらから▶


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『賢熟楽』都市のススメ」から

2012.2.23   日経産業新聞の記事「眼光紙背:『賢熟楽』都市のススメ」から

日本版スマートシティーの在り方は

コラムの筆者の視点は興味深い。対象は、経済界ではにわかに注目され始めた「スマートシティー」構想だ。(▶参考) 米オバマ大統領のスマートグリッド構想や東日本大震災の影響を受けて、環境配慮型都市とも呼ばれ、コンセプトはエネルギーの効率的な供給に重点が置かれているという。最近では情報流通の効率化へ概念の幅は広がりつつも、従来型の都市基盤整備の枠から出ていない。

コラムの著者はアジアの各都市と東京などを比べると、不況の暗さは感じるが、なにかゆったりした気分が日本国内の都市にはあるという。アジアの諸国の都市では、エスカレーターが速すぎて乗り損ねたり、交差点では車にひかれそうになったり、緊張があるという。

さらにハンディキャップの配慮も徐々に整備されてきている。コラムの著者は、どうも単なるスマートさをこえ、成熟都市への変貌が重要ではないかと指摘している。高齢化社会適合型の「賢く(スマート)、成熟した、楽しい」都市づくりが、日本版スマートシティーではないだろうかと問いかけている。

筆者も新生都市にはない資産やノウハウを温故知新で日本版スマートシティーとして進めることが重要と思える。building

 


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:『エバーノート』から

2012.2.23 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:『エバーノート』から

自社商材と外部商材の連携で新市場を開拓

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)が語るのは、商材を通し外部との連携が、新市場を拓いてきているとの示唆だ。

○Evernoteのオープン戦略○

西川教授が事例として挙げているのは、米国発のクラウドサービス「エバーノート」(▶参考)。エバーノートは今はやりのクラウドでテキストはもちろん、写真、音声、ウェブなどのデジタルデータをネット(クラウド)に保管できるサービス。月内の保存量が一定以内なら無料で手軽に利用できる。

  • 従来のデジタルデータには文書作成、画像管理、音声管理などの専用ソフトが必要だあったが、エバーノートは、データが混在しても保存でき、閲覧、再生も可能である。
  • さらに外部の商材(サービスや情報機器)との連携も可能なオープンな仕組みを持っている
    • すでに1万社が連携できる製品やサービスがある
    • 中心はスマートフォンで保存したり、閲覧できるアプリ
    • スキャナー、ボイスレコーダー、プリンター、デジタルペン、コンビニでのコピー機と連携できる

このように自社のサービスと連携して他の商材とを結び付けることで、利用者の利便性をあげ、他の商材を提供する企業にとっては、会員を顧客にすることができる。いわゆるエコシステム(生態系)が出来ているという。

米国だけでなく、商材の価値の高さとエコシステムのように動的に変化するニーズに対応できる力があれば、新市場を開拓できる好例である。happy01