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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「今こそ面白く仕事を(下)」から

2012.3.27   日経産業新聞の記事「今こそ面白く仕事を(下)」から

決められたルールを守れば安心?

コラムの筆者 堀場雅夫氏(堀場製作所最高顧問・創業者)が語るのは、多くの人が不安に思っている中で、活躍の場は、今の立場や視点でみるから、「もうあかん」とか「面白くない」といった気持になるのではないかと、指摘する。

【中高年の経験は、中小やベンチャー、介護の現場など多様な場がある】

堀場氏が指摘するのは、多くの経験が、実はこれから経験を積もうとしている企業にとっては貴重な人財であるという。ただし、現状の境遇から視点を変えなければ、この出会いは起こらないという。

堀場氏自身も京都大学で原子核物理を研究していたが、敗戦で続けられなくなった。そのとき、同じ世界に閉じこもっていたら、「お先は真っ暗」だったかもしれないが、「個人でもやろう」と思って飛び出すと、ビジネスの世界が拡がり、面白くなったという。

【若い人は大手だけでけではなく、中小企業はもちろん、世界にも視野を広げよう】

堀場氏は、若者に対してきちんと就職できるかといった不安で委縮するのではなく、世界をも視野にいれた基礎的な学力を身につけるべきだという。基礎をしっかり固め、哲学や歴史といった教養を養うことで、こんどは成長の基礎ができるという。現実の中に史実を垣間見て、日本の強みと弱みが分かっていれば、世界の中で独自性のある事業を提案するための視野が広がるという。

堀場氏自身も、同じ書物を年齢によって受け止め方が違うことを示唆している。年齢に関わらず本物の教養に触れたいものである。happy01book


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:多様化する消費者ニーズ」から

2012.3.23   日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:多様化する消費者ニーズ」から

多様性をきめ細かく聴く耳が企業に必要

コラムの著者 大橋照枝氏(東北大学大学院環境科学研究科特別講師)が、この話題に沿って紹介する事例は、「大地を守る会」とイオンのPB商品「トップバリュ」である。

【有機栽培の農産物やそれらを使った加工食品などの宅配サービスを行う企業『大地を守る会』(千葉市)】

  • 年に数回、同社と取引する生産者に、農産物を収穫する日に消費者を招いて交流する会が開催される
  • 消費者の本音を探るため、独自の連絡便で要望を聴ている
  • 消費者に食の安全、環境問題、食に関するお年寄りの知恵を伝える勉強会の開催

これらによって、消費者への「安全・安心」のニーズに応えようとしている。実際、東日本大震災で東北の生産者が一時的に減少したが、放射能測定機器を導入し、食品の安全を確保する体制を強化して、会員数を増やしている。

【PC(プライベート・ブランド、自主企画)商品を展開するイオンの「トップバリュ」】

  • 約6千品目について消費者の意見直接聴くモニター制度
  • ネットや電話による意見収集
  • 販売員による試食の徹底

これらの活動を通して、商品の企画をよく練ってからメーカーに製造依頼する。

両者に共通するのは、品質の良さ、価格の安さ、さらに「安全・安心」を含めた多様性に、聴き耳を立てて、丁寧に答える企業の姿勢と、もはや商品価格を売り手側だけで行わず、消費者も絡めているところである。企画はまさに、ソーシャル化し始めている。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:一つのテーマに一生をかける研究者」から

2012.3.23   日経産業新聞の記事「眼光紙背:一つのテーマに一生をかける研究者」から

ぶれることのない1テーマを追求した研究者

コラムの筆者の視点は、産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センターの河内まき子上席研究員を紹介し、その研究姿勢について今の研究者への提言を示している。

河内氏は、この3月末で定退職である。産総研としては異例の退職記念講演で、同氏が語ったのは、「40年間、やってきたのは人体を測ること」という。この講演の背景に、多くの研究者が、本当にやりたいことでなくても、研究費がつく大プロジェクトを渡り歩く傾向にあり、定年退職になって、自分が何をやってきたのか分からなくなる、という事実だ。研究人生を人体測定と、一言で述べた河内氏の研究姿勢に素晴らしさを感じた持丸明デジタヒューマン研究センター長が推したそうである。

河内氏は、東大人類学教室から計測の研究を始め、工業技術院製品科学研究所で足型の開発などを続け、産総研では3次元の全身モデルに発展させた。ここでの地道な測定によるデータで、人体の精緻なモデルを製品開発や健康増進など様々な応用につながる「デジタルヒューマンモデル」となった。

河内氏の講演の結びで「データをとるのを面倒くさがるな。そこで力を出し惜しむといい研究はできない」と語った。大業は1日にしてならず、地道なテーマの追求がなし得た奇跡である。happy01memo


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:生涯教育、前向きな姿勢、授業熱く」から

2012.3.23   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:生涯教育、前向きな姿勢、授業熱く」から

生きることは学ぶこと

コラムの著者 渡辺慎介氏(放送大学神奈川学習センター所長)は、教育は能動的受動的の何れにおいても、人が生きる中で進んでいき、学校教育はとりわけ、専門性、内容の深さ、学習効率を考えると最も勝っているという。

小学校から中高、大学と進学するにつれて、学習への意欲が次第に失われるという。大学では、「プロジェクト・ベースト・ラーニング(プロジェクトに立脚した学習法)」が最近もてはやされているという。意欲の回復を狙ってのことであろう。1つの課題に取り組んでいく中で、学生は学ぶべき分野に気付き、課題解決のために基礎学問を学び直すという動機付けの手法である。

渡辺氏が勤務する放送大学は、テレビとラジオの通信教育であるが、学習センターでの対面式の面接授業は、非常に教える側も受講する側も熱心で、生き生きしたやり取りが展開しているという。まさに、オープンな学生制度であるからこそ、年齢も経験も多様な学生が集まり、プロジェクト・ベースト・ラーニングが知らず知らずに形成されるという。多くの意欲ある学生が更に授業の質を高めているという。生涯教育の1つの取り組み方を示している。happy01househotel


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:小売業がEVシェアサービス」から

2012.3.22  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:小売業がEVシェアサービス」から

一風変わったカーシェアリング事業

コラムの著者 立教大学経営学部教授 高岡美佳氏が紹介するのは、ホームセンター事業を行うコメリとカーシェアリング・ジャパンが4月1日新潟県三条市の上越新幹線燕三条駅で始めるカーシェアリング事業である。

通例は、一般を対象としたカーシェアリングサービスでは、商圏内のニーズの大きさで効率が決まるとされる。ところが、燕三条では一般的に考えると自家用車を使う顧客が大半であると考えると、カーシェアリング事業はありえないことになる。では、そこまでして、コメリがカーシェアリングを行う理由はなにか?

実は、ターゲットが一般ではなく、遠方からコメリの三条市の本社に訪れる取引先の人たちだ。46都道府県に1079店を出店し、年間売上約3000億円の同社には、年間延べ1万3千社の取引先が訪れるという。燕三条駅と本社の間は約9.5キロ。従来は往復で約20キロをタクシーかレンタカーで移動していた。金額は約6千円。今回のカーシェアリングを利用すれば、27千円で半額以下となる。

つまり、コメリのカーシェアリングは、

  • 取引先の利便性を高め、自社の仕入れのコスト増になる取引先の営業費用を下げる
  • 二酸化炭素の排出量を年15%削減する(コメリが利用するのは電気自動車(EV))
  • 企業の社会的責任(CSR)の一環とする

といった目的でカーシェアリングで収益を上げるつもりではないという。ここでの業務提携による化学反応を狙っているという。happy01bullettraincar