Previous month:
2016年11 月
Next month:
2017年1 月

2016年12 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「拡大鏡:パスタボックス、レンジ2分、仏学生ら舌鼓」から

2016.12.5  日経産業新聞の記事「拡大鏡:パスタボックス、レンジ2分、仏学生ら舌鼓」から

アクションの伴うネーミング

コラムの筆者 竹原 あき子氏(工業デザイナー)は、日本製と思いがちな3分待つカップ麺でフランスではパスタボックスという現地への工夫のある商品を紹介している。

○パッケージも上部が4角で紙のボックスには底がついていない

フランスでも2009年からパスタボックスという名前の商品が学生とビジネスピープルに人気上昇中だという。メーカーはSodebo社で、これまでのパスタをすのまま使ったものではなく、2分で食感がよくなる半生のパスタを開発したものである。経営者がイタリア人のパスタ職人の親父の味とかみごたえをインスタント食品で再現するために、祖母が作ってくれたクスクスの蒸しかたをヒントに調理教室の研修生と共同開発した。生クリームソースの水分による蒸気がカップ内に循環して蒸すとうった仕掛けである。

パッケージは上部が四角で、紙ボックスで底がない。内側に同じ形の底のついたプラスティック容器が入っている。蓋ととると先端がスプーンの部品とフォークの部品が出てきて、この2つを組み合わせると両端がフォークとスプーンの道具ができる。スプーンは生クリームをすくうためで、食べる🍝をボックスのままレンジに入れ、2分で調理完了。

プラスチックの容器と紙箱が離れてリサイクルボックスに手軽に捨てられるのもよく配慮されている。🍝pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:創業一族の乱、いつまで」から

2016.12.1   日経産業新聞の記事「眼光紙背:創業一族の乱、いつまで」から

団塊世代のもたらすもの

コラムの著者は、今年多かった「創業一族の反乱」のニュースの背景について考察している。

◯経営上の「道具」も増える

親族内の内輪もめや、一族が経営陣の人事や合併・買収に反対して株主総会などで対立する現象である。コラムの著者に対して投資ファンドマネージャーが人口分布の「フタコブラクダ」で説明してくれたという。

1つ目のコブは財閥系企業の誕生を生んだ明治期、もう1つは太平洋戦争前後から朝鮮特需の頃の創業増加であるという。反乱の要因は2つ目のコブで、2、3代目への代替わりは進んだが、事業継承で苦労している点である。こうした動きは、団塊の世代が後期高齢者となる2025年ごろまで続くという。

また、企業の生存率も統計によると3代目になると極めて低いという。3代目がつぶす、という言い方はあながち外れていないという。

最近の手法は、社長を大手から迎え、さらに投資ファンドに出資も仰いでガバナンスを近代化することだという。日本でもプロ経営者や投資ファンドなど経営上の「道具」も多様になってきたという。このあたりで先進事例が出てきそうだ。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 科学技術文明の発展、非合理・暗黙知を受容」から

2016.12.2 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 科学技術文明の発展、非合理・暗黙知を受容」から

中世アラビア科学の衰退した理由

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、前回に引き続き、中世アラビア科学にふれ、いかにしてそれが衰退したのかを見ることによって現代の科学技術文明に対する警鐘を鳴らしている。

◯科学技術文明の外部にも寛容に取り込む

中世アラビア科学が衰退した理由は、伊東俊太郎氏(東京大学名誉教授)によると3つあるという。

  1. 思想的要因:次第に衰退。古代ギリシャの流れをくむ合理的科学から神秘主義に方向転換。
  2. 経済的要因:大航海時代によりヨーロッパは中東を介さずとも東方諸国と直接経済的交流が可能となった。アラビアの地位の急落。
  3. 政治的要因:オスマン帝国の配下になることで、現実的なものは残ったが、哲学や科学のような純粋理論的な学問は発達しなかった。

であるという。

目的論、観念論、神秘主義の不合理な思考から離脱するとともに「仮説→事例→仮説」のスパイラルを回しつつ、上記の非合理で会っても

  • 先験的知識
  • 目的論的知識
  • 非形式的知識

にも通じておかなくては、は科学技術の発展性はない。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:徘徊感知センサー、保険付きで不安解消」から 

2016.12.1   日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:徘徊感知センサー、保険付きで不安解消」から

ユーザーの行動の背景にある意識構造を見る

コラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)は、フランスベッドが昨年12月に発売した徘徊感知器「認知症外出通報システム おでかけキャッチ WS−01」の開発の背景について語っている。

○従来の不便さを解消

この感知センサーは、認知症の人の徘徊を感知し、家族や介護者に音と光と画面で知らせる。玄関などに設置した本体セットの前を認証キーを持たない認知症の人が通過すると人感センサーが反応し、リビングやキッチンにいる家族らに伝わる仕掛けである。

特徴的なのは、従来のようなICタグなどを対象者につけない点で、何も身につけなくてもよく、ストレスがないという大きなメリットがある。この逆転の発想で、発売から1年間で累計出荷台数は約1千台になったという。

さらに、この製品に個人賠償責任保険附帯サービスを実施した。これには、

  • 高齢化の進展と認知症者数の増大
  • 徘徊による事故

などが引き金となり、

  • 行方不明にならないかという不安
  • 法律上の損害賠償責任を負う可能性

の2つの不安があることを「発見」したことだ。これをマーケティングの世界では、インサイトという。ユーザーの行動の背景にある意識構造を見抜くことで、消費のツボを見出したわけだ。この2つの不安を見事に1つの商品・サービスで解決した好例だと、高岡教授はその開発の背景を分析している。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: 自分シェア、他者と時間共有、心豊かに」から

2016.11.29   日経産業新聞の記事「風向計: 自分シェア、他者と時間共有、心豊かに」から

お金に振り回されない「人肌」感覚

コラムの著者 川崎 由香利氏(ジャーナリスト)は、最近注目されている「人肌」感覚のネットワークについてふれている。

◯自分でできることを提供する「自分シェアリング」

川崎氏によれば、週末農業やたくさんの仕事を並行して持つパラレルキャリアなどで自分を消耗させない働き方や、人とのつながりに関心が最近向き始めているという。

誰かのために自分の時間をシェアしようという、温かい気持ちを元に、自分の時間を30分単位で他者との共有して報酬を得るサービスまで登場しているという。

すでにこのサービス「タイムチケット」は登録者数約3万5千人を超えている。お金を介さずに自分をシェアする働き方の実験もドイツで行っている女性もいる。自分でできることをして必要なものを受け取り、お金の束縛から自由に生きるという考えである。

日本でも「自分シェアリング」を実践する人が現れてきた。お金を得る生活者より心豊かな生活を実現したいというが、実際は、「料金」は受けとらないが、活動を継続してほしいと思う人は寄付ができるというスタンスで進めているという。全体として継続できれば良いという考えだ。

つまり、「お金がなくても生きてゆける実例となること」が、日本でプロジェクトを進めている写真家であり、著作家の新井由己氏の挑戦である。camerahappy01