Previous month:
2016年11 月
Next month:
2017年1 月

2016年12 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:感情伴う顧客体験、同じ内容でも評価変化」から 

2016.12.8  日経産業新聞の記事「小野譲司の目:感情伴う顧客体験、同じ内容でも評価変化」から

デライトの分析

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、2015年度版サービス産業生産性協議会の公表したJCSI調査で収集した感動指数と失望指数を集計したデータをもとに感動とサービスの関係について考察している。

○喜怒哀楽がサービスの利用経験を記憶させていく

人々は、うれしい、楽しい、喜ぶ、驚く、達成感を味わうといった感情とともに、受けたサービスの利用体験を覚えていく。調査を見ると、感動指数は、感動した、うれしい、興奮した、楽しいといった経験がどの程度か、逆に失望指数は、がっかりした、いらいらした、不愉快になったといった経験がどの程度かを示している。これを質問形式にして100展満点で評価したものである。

  • テーマパークや観劇などのエンタメでは、感動指数が非常に高いものの、一方でがっかりすることも少なくない。
  • 近郊鉄道や携帯電話:感動指数は低く、失望指数が高い
  • 飲食や小売:平均値に近い

この感情は、学術的にはデライトとよばれ、満足とは異なるとされている。デライトはロイヤリティーを高める単なる満足を超えた感動が必要で、サービス業では重要視されている。

しかい、先行研究では、デライトは口コミの誘発効果はあるものの、ロイヤリティーにつながるとは限らないという。ではなぜ、企業がデライトに注目するのか。

  • 仮説①:サービスにはサービスに対する人の感覚、知覚、評価自体を歪める調整効果があるというもの。これによって人は同じサービスでも接客、食事、時間や空間をより良く価値あるものと見る効果があるという。
  • 仮説②:小さながっかりするような体験がサービスに対する見方や評価をネガティブなものに歪めるというもの。

いづれも一般論はなく、まだまだ感情を伴った顧客経験は解き明かされていないとことも多い。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:トランプ支持の合理性」から

2016.12.2   日経産業新聞の記事「眼光紙背:トランプ支持の合理性」から

第2のレーガン流保守革命の始まりか

コラムの著者は、驚きの原因がコンセンサスの取り方の間違いによるという。意外と建前ではあるが理想主義批判は眠っていた保守主義の魂を米国に呼び戻したかもしれないという。

◯経済的に米国は歴史的な高水準ある

コラムの著者が言うコンセンサスの間違いとは、衰弱する米国経済→高まる不満→トランプ氏の登場→米国のさらなる衰弱と株安ドル安といった論理であったという。

最重要な5つの指標;

①空前の企業収益

②世界最強の産業競争力

③潤沢な投資余力

④健全化した財政

⑤抑制されたインフレ

ですべて歴史的に高水準である。

トランプ氏の大衆の不満に乗じた当選というのも一面しか見ていないという。そこには合理性のある洞察があり、

  • 世界秩序の衰弱
  • 無法の闊歩

への意義であるという。不法移民の発言も言い換えれば、有権者は世界の無法を許さないといった意思かもしれない。となれば、米国覇権、世界秩序の再構築、軍事力の増強となる。これは孤立主義とは反対だ。

また、繁栄から取り残された地方経済とスキルの低い労働者への共感がある。保護主義的な発言は、低スキル労働者の窮状を放置しないといったメッセージともとれる。

かつてのレーガン政権の保守勢力の本気がトランプ次期政権でも顕在化するかのうせいもあろう。📺🌍happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 量子現象の説明、現実世界超えた概念必要」から

2016.12.6 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 量子現象の説明、現実世界超えた概念必要」から

現実世界に存在しないものをあるとして考える

コラムの著者 筒井 泉氏(高エネルギー加速器研究機構教授)は、森鴎外が明治末に著した「かのように」という短編を引用し、同著で論じられている自然現象を一定の仮定条件に基づいて理解する考え方を示しその限界について語っている。

◯短編「かのように」の主人公も悩んだ

洋行帰りの主人公が歴史家として神話は歴史ではないと言明したいが、それは世間には危険思想だと受け取られ、子爵の父親の理解も得られないだろうと思い悩むというものだ。そして、証拠立てられないもおは否定するものの、それらをさも事実である「かのように」扱うことで妥協することにしたという。

事実でない物事をあたかも「かのように」扱うことに意義があるといったのは鷗外だけではない。小説の執筆前に刊行されたドイツの哲学者ファイヒンガーの著書「かのようにの哲学」である。その主張とは、幾何学の基本概念である点や線は、つきつめて考えてみれば現実世界には存在しないと思われるが、それらが存在する「かのように」考えなければ幾何学は成立しないという。

結局、あらゆるものの根本には「かのように」扱わなければならない基礎概念があるという考え方である。この考えはやがてミクロ世界で起きる量子現象を説明するには「かのように」の哲学が不可欠となる。それほど、量子の世界は常識的な我々の世界とはかけはなれているためだ。それによって新量子が発見されたり、半導体や通信を支える現代の技術となっている。

鷗外の小説の末尾に主人公が取る立場が親友によって毅然と否定されてしまう。どうも物理学の世界は小説よりも奇なりかもしれない。🌍pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:『君の名は。』中国上映の政治力学」から

2016.12.6   日経産業新聞の記事「眼光紙背:『君の名は。』中国上映の政治力学」から

上映許可の背景

日本で大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」が2日中国で封切られたという。上海などの映画館は満席で出だしは上々であるという。コラムの著者は、2013年から2014年に邦画が公開されたのはゼロであったことから考えると、内容面で問題無し以外政治力学があるという。

◯中国では海外作品の配給が50本程度

内容の管理は中国では厳格ではあるが、「君の名は。」がこのハードルを越えたことは良い。しかし、海外作品のリミットを考えると、どうやら政治力学がそこにはあるという。

前回のゼロの記録は、沖縄県尖閣諸島を巡る政治対立が要因だとも言われている。今回は、雪解けの証ではなく、韓国の地上配備型ミサイル迎撃システムの配備の反発で、韓国が国策として輸出するドラマや映画の締め出しにかかったようだ。この空いた枠に日本作品が入ったとのではないかという。

大人気ない判断だが、これも中国の現状である。🌍camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: アップサイクル、伝統工芸、アクセサリーに」から

2016.12.6   日経産業新聞の記事「風向計: アップサイクル、伝統工芸、アクセサリーに」から

元の製品よりも価値の高い製品を作り出す手法、アップサイクル

コラムの著者 面川 真喜子氏(マーケットプランナー)は、スイスのブランド「フライターグ」を事例に伝統工芸にも同じ「アップサイクル」で後継者不足の解消に役立つのではないかと期待している。

◯日本の伝統工芸をアップサイクルで元気にする

フライターグはトラックの幌布、自動車のシートベルト、自転車のチューブなどを用いた実用的なデザインでデザイン性が高いバッグで世界的に著名であるという。

リサイクルによってアップグレードした製品を作り出す手法はアップサイクルと呼ばれ、廃材の原料化や再利用だけでなく、価値の高いモノにすることが目的である。

これを日本の伝統工芸に取り入れようと活動しているApreco(アプリコ、兵庫県丹波市)の代表取締役の神辺周一郎氏は、もともと畑違いの医療機器を扱う会社であったが、伝統工芸品を扱うことになり、工芸を担う人たちと交流。そこで、端材やデッドストックなどがゴミになっていく事実をしり、消費者にとって身近な商品に生まれ変わらせるWAKURA(和蔵)サイトを10月にオープンした。今、京焼、清水焼、西陣織糸などをつかったアクセサリー類を中心に制作と販売を行っているという。原料は確かに端材ではあるが、職人の丁寧な仕事で上質であることことは折り紙付き。問題はこれまで売り方とデザインがよくなかったことから、デザイナーやアーティストとコラボしたり常時クリエータを募集している。また制作にはアクセサリー作りが趣味な主婦や会社近くのシニアと協力し、地域の活性化にも一役買っているという。サイトの海外仕様で海外からの注文にも応じられるようにしている。

アップサイクルの手法は、日本の伝統工芸にある後継者問題の解決につながるかもしれない。その一環として気軽に触れられるWAKURAは同時にイベントも主催。今後の活動に面川氏も期待している。🌍camerahappy01