【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から
2024/07/31
2024.7.30 日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から
日本の国際標準からを憂う以上に大きな危険性もある歴史観
コラムの著者 村田 勝幸氏(北海道大学大学院教授、アメリカ史)によると、人気ロックバンド"Mrs. GREEN APPLE"の新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)を巡る論争が、見た目より厄介な問題を含んでいるという。その問題とは。
○人気ロックバンドの新曲のミュージックビデオが巻き起こした騒動
村田教授によれば、MVはコロンブスの衣装を着たアーティストが、押しかけた館で開いたパーティーで類人猿を啓蒙し、導くといった内容で、確かに入植者植民地主義やレイシズム(人種差別)を思い起こさせてしまうという。
今はコロンブスに対する歴史観は、アメリカ大陸の発見者ではなく、先住民支配の先駆者、つまり支配者第1号と捉える見方が定着している。そこに見る見方を政治的妥当性という観点で見た結果である。今回のMVの騒動は、人種的正義に関する認識で、日本が国際標準に比べて遅れていることを露呈してしまったことによる。
一方、当事国である米国ではそんな単純な結果ではない。近年米国での自国史において白人によるレイシズムが果たしてきた一連の影響や役割を学校で教えることを禁じる動きがあるという。その際に、批判の中心的な標的となっているのが、「批判的人種理論(CRT)」である。CRTでは、米国の歴史や社会構造の基盤にレイシズムがあると解く。これに対して、トランプ前大統領らは白人に罪悪感をもたらす分断的な主張だと、激しく批判を展開してきた。
興味深いことに、政治的妥当性に関する理解が米国では一定程度共有されている一方で、米国の歴史でレイシズムを教えることを禁じるという、一見矛盾したいるが、政治的妥当性の裏にレイシズムがあるというCRTととらえるなら、2つの対照的な動きは原因と結果として捉えることもできる。当該のMVを読者はどうと捉えるか。🎵🎶🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵🇺🇸