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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:出光問題、本当のリスク」から

2016.7.14   日経産業新聞の記事「眼光紙背:出光問題、本当のリスク」から

中東問題が絡む同社の合併

コラムの著者は、昭和シェル石油との合併をめぐる出光興産の経営陣と創業家との対立には一企業の合併問題とは異なり、日本の資源戦略が絡んでいることを示唆している。               

◯サウジアラビアとイランとの関係

創業家の代理人の発言がペルシャ湾岸の英字紙に掲載された。内容は;

「サウジアラビアとの関係の深い昭和シェル石油との合併は地雷原に足を踏み入れるようなもの」

といったものだという。

過去の経緯から創業家はイランとの関係を重視している。だが、出光興産の輸入原油の4割はサウジアラビアから調達しており、日本全体でも輸入量の3割は同国からの輸入で最大である。

このような微妙な状態で創業家の発言は、出光問題だけでなく日本の資源戦略に大きな影響を与える。サウジアラビアの実権を握るムハンマド副皇太子が主導する外交・安全保障政策が中東地域での軋轢を生んでいる。一方、サウジアラビア国内では大胆な経済・社会改革にも期待が集まっている。幸い副皇太子は親日派と言われ、その改革を支援することが、日本の商機にもつながる。

日本は欧米と異なり、イラン、サウジアラビアとも双方に良好な関係を維持してきた。この歴史的な関係をどうするか、出光問題だけにとどまらない。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:くすぶる脱原発のマグマ」から

2016.7.13   日経産業新聞の記事「眼光紙背:くすぶる脱原発のマグマ」から

鹿児島知事選のうねり

コラムの著者は、鹿児島知事選で、原発再稼働に慎重な三反園訓氏が現職を圧倒した結果を踏まえて、原発への不安は都市部だけでなく地方の多くで住民の不安のうねり(マグマ)となっていることを指摘している。

◯国内唯一で稼働している九電川内原発のお膝元での結果

川内原発のお膝元での知事選であっただけに注目されたが、結果、再稼働に慎重な三反園訓氏の勝利となった。脱原発のマグマ(住民の不安)が小さくないことを裏付けた。原発事故時の避難対象地域を政府は半径30kmに拡大。しかし、伊藤祐一郎前知事は、その避難対象領域を薩摩川内市と鹿児島県だけで決め、周辺自治体の住民の不安は事実上聞き流したという。福島第一原発事故を受けた不安を軽視し、同事故と同じ対応をした結果、伊藤知事への不信は高まったとコラムの著者は見ている。そうした中で、バランスのとれた穏やかなイメージの対立候補が現れ、安心して脱原発候補へ投票したのではないかという。

現状、関電の高浜原発は仮処分で稼働停止に追い込まれ、川内原発も10月以降の定期検査後の再稼働は不透明である。安全基準に合格した原発から再稼働するというだけでは、マグマの動きは止まらない。過酷な事故時の実効ある避難計画や賠償制度などを真剣に検討する必要があろう。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:明治維新の木戸孝允、開明性・精神力で日本近代化」から

2016.7.12  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:明治維新の木戸孝允、開明性・精神力で日本近代化」から

明治維新の三傑

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、木戸孝允を評し、彼の強烈な人間精神に対する関係者の共鳴と信頼があって日本の近代国家建設が実現できたことを語っている。

◯徳富蘇峰の三傑評

徳富蘇峰の明治維新の三傑評は;

「非常の場合に於いて、非常の難に当たるには、西郷其の人あり、

国家の秩序を定め、統制の周到に就ては、大久保其の人あり、

然も国家の大計大略を定め向ふ所を指示したるは、木戸其の人である。」(「三大人物史」読売新聞社)

とある。明治維新を起こした桂小五郎は、明治新政府にあって木戸孝允(きど・たかよし)と改名し、その完成を目指す。

政治の実質的な最終決定責任者として、各重職を担たが、教育は国家の最重要課題と考え木戸自ら望んで文部卿に就任。女子教育の必要性をいち早く洞察し、東京女子師範学校(現、お茶の水女子大学)を創立している。その他、国家の骨子を示した「五箇条の御誓文」の作成を主導したり、廃藩置県の地ならしを行った。

日本にいた当時のオーストリアの外交官、ド・ヒュブネル男爵が木戸孝允を評して;

「これほど強烈に精神の力を感じさせる風貌に、私はこの国でかつて出会ったことのない。彼がものを言うとき、その表情は独特な生気をみなぎらせる」

と書いているという。この強烈な人間精神に対する多くの人々の共鳴と信頼が、彼の成功の裏にはあったようだ。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:家族経営商店の減少」から 

2016.7.14   日経産業新聞の記事「横山斉理の目:家族経営商店の減少」から

家族経営の商店が地域社会における結節点

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、前回に引き続き、地域コミュニティーに関連して家族経営の商店の意義についてふれている。

○経産省の統計では減る続ける家族経営

経済産業省がまとめた商業統計によると、日本全体の小売事業所数は1982年以降、一貫して減少し、ピークの40%も減少しているという。このような小売事業所の多くは家族経営の個人商店で、さらに調査によると、6割の商店主が先代から商売を引き継いでいる。しかし、その傾向は急速に変わりつつあり、家族間で事業を継承しなくなっているという。事業承継の意思は、「わからない」が36.4%、「継承しない」が34.1%と、家族経営はこのままであると、レアなケースになろう。

家族経営の商店はチェーン経営の店舗とはことなる。ビジネスとしての柔軟性が高いため顧客に対してきめ細かく対応できる。さらに、仕入れから販売、その他のオペレーションに家族が直接関わることから裁量権が広い。さらに顧客のニーズを高いレベルで把握してきめ細かい対応を可能としている。顧客を絞り込み、緊密なコミュニケーションの上でなりたっている。

密接なコミュニケーションで家族経営の商店は地域社会の情報の結節点となり、それが長く継続することで、地域コミュニティーが生まれ、個性を持つことになる。こうなると、家族経営の商店の減少は、地域社会の衰退を呼ぶことになる。不景気にもこのような商店は雇用の受け皿となることから、広い目で家族経営の商店をとらえるべきと、横山教授は指摘している。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:人材の国際化、外国人の日本語教育、戦略的に」から

2016.7.12  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:人材の国際化、外国人の日本語教育、戦略的に」から

日本人の国際化と外国人の日本化の両面

コラムの著者 近藤 正幸氏(東京電機大学特別専任教授)は、日本企業のグローバル展開で人材の国際化には2つの面があるという。今回は外国人の日本化についてふれている。

◯現地での日本語教育支援と日本でのエンジニアリング教育の連携

多くの外国での社内公用語は英語となることが多いが、日本の自動車産業など技術的なコミュニケーションでは日本語が効果的だと言われているという。

このため現地採用のエンジニアにとって日本に送って仕事の仕方も含めエンジニアリング日本語を教育するのだという。だが、日本語のできる外国人エンジニアの需要は大きいが、日本の大学の理工学部に学ぶ学生は少ないという。どうように欧州ドイツでもエンジニアリング教育にかぎって、ドイツに来る前に、提携先の現地の大学でドイツ語教育をしてもらうという。共産国のベトナムなどでは、マルクス主義を原典で学べることができるとあって、ベトナムはドイツ語に強い。

日本にも好事例があり、マレーシアで日本語による理工学の予備教育を円借款事業として進め、教育後のマレーシア人学生を日本の大学の理工学部に編入するプログラムがあるという。現在は円借款事業ではなくマレーシア政府が推し進めている。

このようなプログラムが、これから工業化が本格化し日本企業の進出が予想されるミャンマーやカンボジアで実施されれば戦略的な人材の国際化が進むと近藤教授は示唆している。さらにこれを推し進め、日本人の国際化と並行して、日本語のできる外国人エンジニアの育成にもっと戦略的に取り組んでもよいのではないかと提案している。pchappy01