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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:説明のポイント、歴史や社会的側面も重要」から

2016.6.7  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:説明のポイント、歴史や社会的側面も重要」から

理解と説明が連なり知識を形成

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、人類の知識体系で理解と説明が密接な関係になり、それを組織的に行う文化活動である教育の重要性について語っている。

◯説明には背景となる歴史や社会的な側面も重要

人類はその歴史で、物事を観察しては理解する努力をしてきた。さらに、それを周りに説明してきた。理解は、それぞれの頭の中で行い、説明は、それを他人に伝える。伝える言葉は、その意味が相手の言葉と正確に一致しないと知識として蓄積されない。さらに、この知識を組織的に行う文化活動である教育がないと、この蓄積されたものをさらに伝えることができなくなる。

和田教授はハーバード大学での市民講座やセミナーで次のようなポイントを示唆されたという;

  • 「聴衆・読者は、発表者の話題に関して知識は持っていないと思え」
  • 「聴衆・読者の知性は様々だと考えよう」
  • 「聴衆・読者一人ひとりの知性が、一段上のレベルに高まるように説明する努力をせよ」

といったものであったという。さらに和田教授は、

  • 説明に多面性を持たせるために、歴史や社会的な側面を欠かさない

ことも重要だという。世界の知識は、すべてつながりを持っており、ネットワークを作っていて網の目につながっている。これを高い視点で俯瞰して全体を把握し、さらにその詳細を説明して、またそれが全体にどう繋がるかをしめす構造も必要だという。

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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:サイエンスの『絶対』、根拠なく使われたら眉唾」から

2016.6.3  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:サイエンスの『絶対』、根拠なく使われたら眉唾」から

あらゆる制約から自由な状態

コ ラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、サイエンスの「絶対」について解説。これまた、いろんな分野で使われている「絶対」をみながら、絶対を利用する際の注意点を語っている。

◯物事の本質をみるには絶対な状態

絶対は、たしかいにあらゆる制約から自由で、比べられたり競争するものがないから、物事を考察する時の出発点となると、和田教授は指摘している。つまり純粋で、余計なものが一切ないから本質が見え、明快に理解できるという。

そこで和田教授は、絶対を接頭辞にするような単語をだしてみた;


温度、湿度、空間、回転、過度、音感、屈折率、誤差、真空、重力、測定、等級、年代測定、配置、反応速度論、連続など

がでてきたという。

ここから、絶対の対立する概念である相対を取り上げてみると、例えば、

  • 温度;日常使っている摂氏温度は1気圧での氷の融点をゼロ度とする相対値。絶対温度は、熱運動の完全消滅状態という物理学の基本料に基づく完全な定義をもっている
  • 真空;工学的・技術的には、大気圧よりも低い圧力の状態を広い意味での真空というが、物資のまったくない空間が絶対真空で、この状態を作り出すことは、現在は不可能とされている

という。こう考えると、絶対という言葉を議論の中で使う場合は注意しなければならないと、和田教授は示唆している。さして根拠もないのに絶対が主張されたら、それ以外に頼るところがなくなったということを白状しているようなもので、眉唾物だという。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:因縁のアップルとインド」から

2016.6.2   日経産業新聞の記事「眼光紙背:因縁のアップルとインド」から

共同創業者ジョブズ氏も創立前にインドを放浪

コラムの著者は、米アップルが中国に続き有望市場とみるインドの攻略を表明したことで、同社とインドの関係についてふれている。

○強敵のグーグル、マイクロソフトはインド出身者のCEO

インドの攻略は、米アップルの経営戦略に大きな影響を与える。思えば、創業から同社はインドと因縁があるという。

共同創業者のスティーブ・ジョブス氏は米アップルを創業前に、自分探しの旅に出たのがインドであったという。そこで彼の伝記小説を見ると、直感で生きるインドの人々との出会いについて語っているという;

「直感はとってもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた」。

ここにアップルのモノづくりの土台がある。

若き日のジョブズ氏はインドの人々の影響を受けて40年。今度はアップルがインドのエンジニアを魅了し、アプリの開発を拡張できるかがキーだという。ただ、そこにはライバルのグーグルやマイクロソフトも進出しており、ともにインド出身のCEOで動いている。優秀な現地の若者が、米アップルにいくら採用できるか、強敵は多い。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:自動運転、国民的議論を」から

2016.6.1   日経産業新聞の記事「眼光紙背:自動運転、国民的議論を」から

米国ではグーグルが実力を貯めている

コラムの著者は、自動運転をめぐる動きで、米国がパブリックコメント(意見公募)を始めたことで、日本ではどうなのかについて語っている。

○完全無人運転を想定した質問内容

米国運輸当局を動かしているのは米グーグルではないかという。グーグルはすでに何十万キロメートルと実証実験でくるまを走らせ、それを解析して開発したAIを用いつつ、「高いレベルの無人運転技術をすでに確立している」というのはエンジニア仲間では共通の認識だという。

ここで国連で議論になっているのが、ジュネーブ条約である。同条約では、乗り物を乗る時は、危険を察知した時に人間がいつでもハンドルや操縦桿を握れ制御できる状態でなければならないとしている。無人運転を実用化するには、これを改正しなければならない。

無人運転の開発は日本メーカーでも進んではいるが、いざ事故が起きたら誰が責任をとるのかといった根源的な問題はまだ議論になっていないという。自動運転が必要と思う人も、今のまま、製造メーカーだけが製造物責任(PL)をとる形になり、負担が大きく、実用化が阻まれる可能性がある。夢と同時に現実を語るといった、国民的な議論が、今の日本には必要であろう。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:チェーンストア、効率性と多様性両立へ」から 

2016.4.21   日経産業新聞の記事「横山斉理の目:チェーンストア、効率性と多様性両立へ」から

大規模チェーンストアのジレンマ

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、チェーンストアの市場占有率の高まりから、そのジレンマについて語っている。

○チェーンストア経営は小売業の主要な戦略をリードし続けてきた

横山教授によれば、高度経済成長以降の流通近代化の起爆剤としてチェーンストアは常に小売業の主要な戦略をリードし続けているという。ただ、最近は、チェーンストア経営に邁進するだけでは、顧客満足が得られないという時代となってきたという。

背景にチェーンストアの市場占有率が高まってきたことで、消費者にとっては、同じような商品を買わざるをえなくなり、顧客満足が低下しているという。確かに、共通の商品・サービスを共通の価格・店舗・オペレーションを提供することで標準化を行い、コストをさげ、仕入れサイドをコントロールし、時代を席巻してきた。ただ、消費者の好みは多種多様で、標準化が進むと確かに効率は上がるが、多様な顧客に対応しにくくなるという欠点が出てきた。

この間隙を縫うのが、地元のスーパーなどの中小小売商業者で、特定の顧客に合わせて、その顧客が喜ぶような対応を高いレベルで追求することで、最大公約数的な顧客対応になりがちな大規模チェーンストアに対抗している。

ユニクロを展開しているファーストリテイリングが「チェーンストアを超える」をスローガンに、店舗ごとに最適な品揃えを実現して地域の顧客に喜んでもらおうとしている流れは、顧客の多様性への挑戦である。効率化と多様性の間のトレードオフの戦いはまだまだ続きそうだ。cafehappy01