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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「価値を生む創造思考②:瞬発力を高めるために、答えを出す割り切りを」から

2013.1.16   日経産業新聞の記事「価値を生む創造思考②:瞬発力を高めるために、答えを出す割り切りを」から

正解が出るまで情報収集では最善の活用が出来ず

コラムの著者 細谷功氏(クニエ・コンサルティングフェロー)は、フェルミ推定を紹介して、最後まで答えを出してしまうという割り切りが必要だという。

○膨大な情報から結論を出すツール「フェルミ推定」

すでにこのコラムではフェルミ推定については解説があるので、詳細はこちら(▶ 参考)。細谷氏が指摘するのはフェルミ推定を使って、大まかでも良いのですぐに判断できる結論を出す点を重視している。

つまり、思考の瞬発力を問うもので、短時間に現在ある情報から先ず結論を導き、最善の活用を図ることを狙いとしている。つまり、答えを追うことであり、「ある程度の正確性がなければ答えを出しても意味がない」と暗黙に考えてしまうことを排除することにある。排除を行って訓練を行えば、試行の瞬発力が鍛えられるという。必要なのは計算力より、限られた情報で最後まで答えを出すという割り切りだともいう。

○プレゼンテーション後の質疑応答も良き瞬発力の訓練

質疑応答では、迅速に答える意識を持つことが大切であり、訓練を積めば思考の新発力が向上するという。プレゼン以外の場でも「いま質問されたら何と答えるだろう」と、心の準備を行うことも思考の瞬発力を鍛えることだという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:文明はどこへ行く」から

2013.1.15   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:文明はどこへ行く」から

日本の文明や文化の意義

コラムの著者 和田昭允氏(東京大学名誉教授)は、文学的な文明や文化の考察とは異なった科学的論理で考察し、日本の文明や文化の意義を説いている。

○文明の捉え方

科学的論理では、理解したい対象を「総体」をはっきり認識することから始める。そして、その総体がもつ基本要素を漏れなく目の前に並べ、総体をそう演出するかを解析することになる。要素還元主義である。

和田教授によると、以下の分析:

  • 総体:人類の文明
  • 基本要素:文化との差異
  • 文明の定義:文化的・技術的・科学的な面での人間の発達した社会状態、文明、開化、教化
    • 意思をもった組織体
    • 知情意が支配
  • 文化の定義:栽培、飼育、教養、行儀作法、上品、高尚、優雅
    • 和田教授:「心の要素」が強い
    • 理想とする普遍的な価値である真善美(認識上の真、倫理上の善、審美上の美)
  • 現代社会では、以下の3つで抽象と現実をつなぐ秩序構造を作る。
    • 真‐知‐科学技術
    • 善‐意‐社会科学
    • 美‐情‐人文科学
  • タテ糸とヨコ糸に加え斜め糸が通って総体としての人類の文明を構成している。

○日本の文明と文化の意義

現代の文明に批判的な内容として「現代文明は人間の身体の人工的な拡張に過ぎず、魂を描いている」というものがある。この批判の対抗策は、和田教授によると、真善美と知情意、その関係学問をタテ・ヨコ・斜めの糸の更なる強化と充実に、人種や国境を越えて全力を上げることだと指摘する。高い精神性と技術力を併せ持った日本の文化と文明は、もっと世界に指導力を発揮できるはずだという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:迷路・脱出ゲームが旬」から

2013.1.11  日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:迷路・脱出ゲームが旬」から

街自体が迷路となる?

コラムの著者 関沢英彦氏(博報堂生活総合研究所エグゼクティブフェロー・東京経済大学教授)が世の中の先行きが見えないことを反映してか、迷路や謎解きを楽しむ人が増えているという。

【迷路や謎解きの人気は】

先ずはアミューズメント系で増えている。

  • 2013年3月:ハウステンボス(長崎県佐世保市)に5階建ての巨大迷路を新設する予定。370通り以上の縦横の通路を行き来し出口を探す。
  • 2012年7月:富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)は入場者数と脱出成功者の比率から「成功脱出率10万分の1」を売り物にしている
ゲームやスポーツでは、
  • 地下室に閉じ込められた設定で脱出を楽しむゲーム場が登場している。制限時間内にチームでパズルやクイズを解くというモノ
  • ボルタリング:突起の付いた垂直な壁を登る。手や足のおきどころを1つでも間違えると立ち往生するというモノ:山と渓谷社の検索サイトでは全国230以上の施設があるという

書籍では

  • 子供向け絵本:迷路を組み込んだPHP研究所の迷路絵本シリーズはこれまで9冊を出し計200万部を売り上げているという

携帯アプリでは、

  • 東日本旅客鉄道(JR東日本):東京駅構内でスマートフォンを目印に向けると周辺情報を表示するサービスを実施している。拡張現実(AR)の応用で、迷路のような構内を分かりやすくする実験として進めているようだ。

このように、単なる迷路ゲームではなく、ビジネスや社会社会生活に応用される点が面白い。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:デザイン・マネジメント」から

2013.1.10  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:デザイン・マネジメント」から

デザインから経営までのデザイン・マネジメント

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)が取り上げるのは、一般的にデザインと経営の両立が難しいとされるデザイン・マネジメントについて新市場開拓の面から解説している。

○デザインと経営の両立課題

 デザイナーと経営者はお互いに遠慮するか過大に評価し合う傾向にあるという。西川教授は両者の深い理解こそが重要で、ときにはそれを理解できるコンサルタントの助けも必要であると説く。

○デザインコンサルタントの事例

 西川教授が示すのは、2002年設立のデザイン会社アッシュコンセプト(東京・台東)である。同社名は著名ではないが、手掛けた商品は全世界で2千万個以上売れた「アニマルラバーバンド」(315円~630円)など雑貨店にいけば見つかる商品を扱っている。

 自社製品だけでなく、メーカーがデザイン・マネジメントできるようコンサルティングにもあたる。そのメーカーが得意とする技術を見出してデザインに協力し販路を開拓、共に世界に通用するブランドに育てていくというもの。

 マーカーはコンサルを受けて自立できるように支援することも重要である。デザインと経営の両輪が回れば、相乗効果を発揮し新市場の創造の可能性を高めるという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「名経営者に学ぶ仕事術⑥:小倉昌男氏・樫尾忠雄氏の巻」から

2013.1.10  日経産業新聞の記事「名経営者に学ぶ仕事術⑥:小倉昌男氏・樫尾忠雄氏の巻」から

利用者目線で市場を切り開いた人たち

コラムの著者 吉田勝昭氏(日本ケミファ元専務)は、ヤマト運輸社長の小倉昌男氏とカシオ計算機元社長樫尾忠雄氏の『私の履歴書』から市場創造に必要な利用者の視点について紹介している。

【小倉昌男氏の利用者視点の発想】

小倉昌男氏は苦境の営業部長時代に、法人顧客ではなく個人顧客を念頭に全国どこへでもどんな量の荷物でも運べることが当時の打開策であったという。『私の履歴書』の中で小倉氏は、

宅急便の商品化計画で最も重視したのは、『利用者の立場でものを考える』ということであった。主婦の視点がいつも念頭にあった。例えば、商品貨物では距離に比例して運賃が高くなっていくが、宅急便ではブロックごとに均一料金とした。東京から中国地方行きなら、岡山も広島も同じ料金、どちらが遠いのかなど主婦の関心事ではない。分かりやすさを最優先した

とある。

【樫尾忠雄氏の利用者視点の発想】

樫尾忠雄氏は消費者が買える価格を追求し、電卓やデジタル時計の低価格化を進めて同社を急成長させた。樫尾氏は、電卓がまだ業務用の装置で、一般の消費者にそろばんかわりにつかってもらおうと考えた。

『私の履歴書』の中で樫尾氏は、当時について、

電卓の値段が4万円を切るところまでいっても個人は買ってくれない。これは、何か発想を変えない無理だぞということになった。では、いくらだったら個人が買ってくれるのか。私たちは発想を逆転させた。46年(昭和、1971年)当時、大学出の初任給は4万円前後だった。その4分の1、1万円ならなんとか買ってもらえるんじゃないか、と開発部門の若手が言いだした

とある。樫尾氏は、この若手の金銭感覚に賭け、1万円での機能や表示を絞り込み、6桁計算機「カシオミニ」を開発、1万2800円fでうった。その後電卓は一気に大衆の製品となっていった。

小倉氏も樫尾氏も利用者の視点あるいはお財布具合を見て、それを徹底したと言える。happy01