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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「短め電子書籍新市場生む:『イーシングル』米で続々」から

2012.2.10  日経産業新聞の記事「短め電子書籍新市場生む:『イーシングル』米で続々」から

電子書籍先進の米国ではオリジナル短編で格安が新潮流

コラムの著者 清水石珠実氏(日経・ニューヨーク発)の記事から、最近の米国での電子書籍の新しい動きが読み取れる。

「イーシングル」。聴きなれない単語だが、元は書籍で「他の章建てとバランスが悪いといった理由で削除された章を、イーシングルとして発売」した、キース・デブリン氏(スタンフォード大学教授)が由来のようだ。かつてならお蔵入りとなる作品を世に出せたと同氏はご満悦である。このように、雑誌にするのは長すぎ、本とするには短すぎるといった理由で、読み物としては質が高いのに、発表先がないと言ったことからお蔵入りとなっていた。供給側(作家や書き手)からは、この受け皿としてイーシングルがあるという。

【イーシングルとは】

・価格:1冊分が約1~3ドル(250円以下)。通常の電子書籍が10ドル前後より格安。

・ページ数:数時間で読める量

・出版:通常は、話題の設定・執筆・編集・出版まで年単位だが、イーシングルは、3か月以内

・出版社:米国では新興出版社が手掛けている。記事での紹介は、

バイライナー社(サンフランシスコ):▶参考

アタビスト(ニューヨーク):▶参考

がある。すでに両社とも蔵書と販売部数が急速に伸びている

【イーシングルの需要と大手】

・需要側(消費者、読み手)の反応は良好で、飛行機の乗っている間や寝る前のひとときで読み終えてしまう手軽さが受けている。

・話題の即応性も大きい。東日本大震災のときがベテランの米国人ジャーナリストを被災地に派遣、現地でのルポをイーシングルで発売、帰国してから7日間で出版できたという。

・制作コストも、印刷代が電子書籍でゼロ。宣伝は自社サイトからのツイッター等の口コミで広告費もかからない。1冊2.99ドルで販売すると、その30%をamazonなどの販売経路に払い、残り70%を作家と出版社で分け合う。

・こうした「短めの電子書籍」人気を受けて、米アマゾンは「キンドル・シングルス」、米アップルでは「iブックストア」に「クイック・リード」コーナーを設置している。米ランダムハウスは政治サイト「ポリティコ」と組んで、米大統領選に関係する人物を取り上げたノンフィクション発売している。

さて、愛の告白にチョコレートと本。その本も電子書籍化してイーシングルで行われる時代が日本でも到来するかもしれない。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:うるう秒の賛否、たかが1秒されど1秒」から

2012.2.10  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:うるう秒の賛否、たかが1秒されど1秒」から

時刻の取り扱いの差異が生む論議

コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)が指摘するのは、前回触れられた計測技術の発達と標準の関係で特に時刻についての話題である。

計測技術が進むと計測標準のあってはならない変動が目立ち始め、より安定的な標準への置き換えが行われるという。

【時の単位の変遷】

・地球の自転:1日から1秒の標準が決まる

・地球の公転:水晶時計が開発された結果、地球の自転の揺らぎが顕在化

・原子時計:安定的な周期現象として利用。セシウム133原子が約9ギガヘルツの周波数の電波と相互作用を起こし、エネルギーの吸収あるいは放出を行う性質を使い、原子の固有のエネルギー遷移であることを使って、安定的な周波数発振器を利用。誤差は、10のマイナス15乗。この時刻を国際原子時という。

【世界時と国際原子時との差異】

・日常生活は地球の自転による時刻を使っていて世界時という。実は世界時と国際原子時が一致しない。と級の自転のゆがみや月の引力によって起こる潮の満ち引きの影響などがあるからだという。

・差異を補正するために「うるう秒」を挿入する。問題は、この挿入が、1972年から24回も挿入したが規則性がないことで論議がある。

・規則性がないためにコンピュータープログラムなど人に依存しない方法がとれないため間違いがおこるという主張で、うるう秒を廃止してはという意見である。

・一方、今までは実質的な問題はなく、天体観測機器やアンテナの制御など両時刻の差が1秒を超えないことが前提で設計されているため問題がないという意見である。

・うるう秒廃止に関する論議は国際電気通信連合でも決着を見ず、結果修正は行うこととなり、今年7月1日午前8時59分59秒と9時の間にうるう秒が挿入されるとのことだ。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:太陽光発電の普及」から

2012.2.9  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:太陽光発電の普及」から

屋根貸し発電事業が普及を押すか

コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)が紹介する事例は、今年7月に施行予定の再生可能エネルギー特別措置法で導入される「固定価格買い取り制度」に対応した太陽光発電に関わるアイデア?事業である。

民家の屋根を発電事業者に貸し、事業者が太陽光発電する「屋根貸し制度」を使った事業である。

【仕組み】

・事業者は、パネルの設置代を負担。メンテナンスや電力会社との契約に責任を持つ。全量、電力会社に売電し、その収入の一部を借り代として屋根の所有者に支払う。

・クリアする点:

①パネルの設置代の初期投資が大きい

②メンテナンスコストがかかる

③電力会社との交渉が面倒

④個人では電力会社に電力の全量ではなく余剰分しか売れない

⇒発電事業者が広く、この制度を運用すれば、天候変化の出力変動などの平準化ができ、負荷調整も楽になる。

・広域の事業となれば規模の原理で取引コストも下げられるという。

高岡教授のこのお勧め、いかがでしょうか?happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑬」から

2012.2.8  日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑬」から

たかが挨拶、されど挨拶

コラムの著者 キヤノン電子社長 酒巻氏は、コミュニケーション(同社では『通心』と呼んでいる)が業績に影響を与えることを、通心の基本の『き』である挨拶が、損益を決定することまで説明し、その重要性を訴えている。

【ありがちな以心伝心型の通達不徹底】

・相手の考えと自分の考えが符合していると思いこむことは、業務では致命的なミスを起こすことがある。こう言ったコミュニケーションロスは、製造業では、部門間や部内内部での意思疎通が悪く、設計でミスをしたり、別のラインで問題が発生してもすぐに伝わらず、最終的には不良品を大量に生む結果となる。

【「言ったからやっているはず」は、確認を怠ると大きな事故に】

・言ったから、配布して説明したからだけでは、内容まで周知徹底されない。確認をせずにそのまま進めていくと、やがて大きな事故や不良品を作ることになる

・社員は面倒なものの中身まで理解しない。管理者が、コミュニケーションをとって確認しながら内容を理解させる。

【コミュニケーションの目的は『協働』(コラボレーション)

・組織の一人一人と心を通わせて初めて、全体として効率よく知恵を出し合い、目的や目標を達成できる。

・リーダはこの心の通う組織になるように努力するもの。

・挨拶の重要性は、心を通わす基本のきで、相手を仲間と認める意思表示である。

⇒酒巻社長は就任当初挨拶が出来ない社員が多くいたことを問題視して、「朝のあいさつ運動」を始めた。一声「おはよう」と言うだけで、こころの垣根が下がり、挨拶の輪が広がってコミュニケーションが良くなった。結果として不良が減り、未然にミスを防げるようになった。不良が減れば利益が増える。つまり、挨拶をすることで、利益が上がったわけである。「挨拶ごとき」というなかれ、である。

【心を通わすことと仲良くなることは別】

・和気あいあいの飲み会も良いが、しばしばすぎると慣れ合いが生じ、癒着を生む。業務中心であることを考えると仲が良いよりも心が通じていることを重視すべきと、酒巻社長は注意する。good


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:親が反対する博士の道」から

2012.2.7   日経産業新聞の記事「眼光紙背:親が反対する博士の道」から

研究開発力の源泉に異常はないのか

コラムの著者の危機感は強い。『大学院の博士課程を進むことに高学歴な父親が反対する』と、1月に開催された「人材育成シンポジウム イノベーションスクール ~若手博士人材が日本を元気にする」(主催:産業技術総合研究所/日本を元気にする産業技術会議▶参考)のパネルディスカッションで大学側から出た発言だそうだ。

反対の理由は、『ドクターに進むと就職が難しいという認識が、親や家庭にある』あるからだという。確かに、

  • ポストドクター(ポスドク、博士研究員)の増大
  • ポスドクの活用策

の課題が指摘されているという。一方で、若い研究者を強制的にでも海外に出し研鑽してもらうという意見もある。今回のシンポジウムでは、

  • 専門以外の幅広い知識やコミュニケーション能力

が求められたという。しかも、中小中堅企業の約4割が経産省の調査の中間集計でポスドク採用の意思はあるという。

ここまでのデータが正しければ、父親の心配は不要となろうが、現実は更に厳しいらしい。

また、コラムの筆者が危惧しているように、日本の優秀な人財が博士を目指さなくては、日本の研究開発力を支えることが出来なくなるという。先がないから目指さないでは、先細りで、日本の経済力の源泉自身が枯れかねないからである。コラムの皮肉『博士になっても将来はないよ』と父子の間で交わされる国にはなってほしくない。happy01