【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:キログラム原器見直し」から
2012/01/24
2012.1.20 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:キログラム原器見直し」から
原器の見直し、精密計測技術が背景に
コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)が語るのは、長さや重さの標準についての変化である。といっても、長さや重さが変わるというのではなく、メートルやキログラムと言った単位の計測基準になる原器と呼ばれるモノについての変化である。
長さの単位、メートルは、筆者が小学生時代には「メートル原器」なるものがあって、それを元に定められていた。重さの単位、キログラムも「キログラム原器」がフランスが保管しているプラチナ合金の分銅で決められていた。
ところが、長さは真空中の光の速度が不変であるという物理法則の前提を元に、一定時間進む距離からメートルを定義することになり、「メートル原器」は不要となった。(▶参考)この時間も物理法則から導き、他の基本量である電圧や電気抵抗も定義も物理法則から導き出されているという。
原器として利用され続けてきたのが「キログラム原器」である。(▶参考)ところが、実際は、原器の質量を精密測定できることになり、その増減が明らかになると、普遍的な物理法則による量としての定義が必要となってきた。
計測標準が経年変化や環境によって変化してはならないことから、時代の最先端の知見と技術を使用して、変わらないものを探索し、原器の代わりに物理量の数式モデルを使って、それを支配する定数を固定化することで、変わらない標準量を定義することとなった。
質量のキログラムも、多くの代替方式が複数提案されてきたが、原器の安定性に勝るものがなかった。今回取り上げられたプランク定数による物理モデルで決められた数値も、6ケタまで確定しているが、下の桁は未定になっている。(アボガドロ定数を使う提案もある。)これから実験で最も確かな数値が確定すれば、キログラム原器の寿命も決まるという。
時代は、原器というモノから、物理学によるモデルを信頼し、環境条件に依存しない計測標準へ変化しつつある。
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