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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:『補完』が生む美味しい関係」から

2011.11.28  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:『補完』が生む美味しい関係」から

「補完」関係に結び付ける商品企画

コラムの著者 法政大学経営学部教授 西川英彦氏が、紹介する事例は、味の素の「クノール カップスープ」である。スープにパンをつけて食べる朝食のスタイルを昨年よりテレビCMやインターネット、店頭を通じて訴求した結果、売る上げは前年比20%も上昇したという。いわゆるモノではなくコトでの訴求である。

スープ自身が簡便な朝食になりうるという朝食の訴求がポイントであった。言い換えれば、パンなどが競争相手となる。このような「代替関係」では、両方が売上を伸ばすことは難しい。そこで、朝食にパンを食べている人の12%しか一緒にスープを飲んでいないという朝食の実態調査から、パン朝食党にスープを加えてもらう両者の「補完」関係を訴求することに切り替えた。スープはパンをしっとりさせ、パンは熱いスープを飲みやすくするという「補完関係」である。

このような商品企画は、稀かも知れないが、代替関係からの脱皮を考える上でのヒントとなりそうだ。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「コスト削減「仕組み化のススメ①」から

2011.11.24  日経産業新聞集の記事「コスト削減「仕組み化のススメ①」から

コスト削減の要になる営業・サービス部門

コラムの著者 A・T・カーニー プリンシパル 糸田哲氏が指摘するのは、生産現場での合理化が世界的にも進んでいるにも関わらず、営業部門やサービス部門が足を引っ張っているため、経済協力開発機構(OECD)の長あでも米国やドイツに比べて30%も労働生産性が低いという。海外は移民に頼っている例が多く、人件費も低いが、グローバル競争で、個々の努力だけでは厳しく、組織として対策を考える必要がある。

匿名会社A社を例にあげ、糸田氏は、営業やサービス部門での”行き当たりばったり”で正しい情報に基づかず、高コスト、非効率、低収益を生むという。このような非効率に対処するには、糸田氏は3つの要素が重要と言う。

①「見える化」

数値モデルで常に考え、積み上げ計算などを行うことが重要だという。モニタリング(監視)の仕組みを構築することも必要である。

②「プラットフォーム化」

見える化の取り組みが無理なく日常業務に定着するようにする。

③「人財育成」

仕事が理にかなったものかどうか常に考える人財を社内で再生産することである。

属人的な取り組みが組織的な動きに代わるという。また、業務マニュアルのように、①~③についても更新をすることを怠ってはいけないという。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『社会的責任』世界の視点⑱:2050年を見据えて」から

2011.11.22  日経産業新聞集の記事「『社会的責任』世界の視点⑱:2050年を見据えて」から

世界的なCSRのリーダー ビョン・スティング退任後の課題

コラムの著者 損害保険ジャパン理事CSR統括部長 関正雄氏による執筆も今回が最後である。CSRを国連でも高い評価を得たWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)事務総長のビョン・スティング氏のリーダーシップを関氏は称賛する。スティング氏は、

  • 「社会が栄えなければ、企業は成功しない」:企業がなぜ持続可能な発展に取り組む必要があるかに対する答えの1つ。
  • 事務総長としてメンバーを鼓舞した言葉:「世界は、ソリューション(解決策)提供者としてコミットする企業なしには存在しない」

と語ったという。

今WBCSDは、ビジョン2050を策定し、「2050年に90億人がこの地球の資源の許容範囲内で豊かに暮らすにはどうすればよいか?」をテーマとしている。先ずは、都市化問題が挙げられ、そこには今から「スマートシティ」の青写真を準備しなければならないという。これを産業界がイニシアティブをとって政策提言しようというのだ。

日本企業も都市インフラの問題に対し、人財・技術・経験の総合力で積極的にリードをおこなっている。ここでリーダーとなる企業は、大きな変化をビジネスチャンスにするためにも、初期段階から国際的な議論や政策提言を行ってプラン作りに参画し、事実上の標準を勝ち取っていくことに本腰になっているということだ。

一見50年先は遠い将来のように思えるがそうでもない。CSRの起源となったローマクラブの報告書「成長の限界」も発表されて約40年。気候変動や生物多様性の国際条約が採択・調印されたリオの地球サミットも、早くも20年経過しようとしている。これからのグローバルな企業経営の転換期がすでに始まっている。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:歴史に学ぶTPPの行く末」から

2011.11.21  日経産業新聞の記事「眼光紙背:歴史に学ぶTPPの行く末」から

自主的な開放貿易のうねり

コラムの著者は、歴史の事例をあげて、今回の環太平戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement; TPP)(▶参考)についての反対論に対して懐疑的だ。

さらに、西洋史家の樺山浩一氏のエッセイ集「世界史への扉」に「開国の機会を逃した日本」という一文から、18世紀後半、江戸幕府の実力者であった田沼意次は、腐敗政治家の印象が強いが、実は日本開国の構想を持っていたのではないかという。失脚後の松平定信の改革でとん挫したが、ペリー来航による開国の70年前に「自主的な」開放貿易が出来たていたら、英国の産業革命以前に、アジアでそれが実現したかもしれないという。

歴史での「もし」は語れば夢が膨らむが、本質は、大きな流れではないだろうか?グローバル化が一段と進んだ中、この流れを日本がどう受け止めるかだが、TPPだけでなく、アジアにおける役割がもう見えているのではないだろうか?happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:閉塞破る大局観」から

2011.11.18  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:閉塞破る大局観」から

科学者の分析や判断も尊重しては

コラムの著者四日市大学の新田義孝氏が論じているのは、大局観である。日本人が縮み思考と呼ばれる中で、10年以上の長期的視点で、日本はどうあるべきかを理念として、政治・行政、企業経営、教育などに人生を捧げるという意識が乏しいというのだ。反対したいところであるが、科学技術も新田氏によれば、目標が与えられた場合には強いが、自らの大局観に基づいて分野を開拓するという面で弱い。

最近、大局的に歴史を語り将来への提言する著作も生まれつつあるという。さらに特徴として、その道一筋の専門家ではなく、多種多様な分野で薀蓄のある視野で語る方たちだ。

  • グローバルな食糧や資源問題を論じる(商社マン)
  • 世界の食糧不足を国連食糧農業機関(FAO)のデータを解析し、未利用な農地から論じる(工学博士で農学系大学院教授)
  • 地球温暖化・寒冷化を8万年前から論じる(農林漁業の財団勤務で経済学部出身、気象予報士)

多くの課題で閉塞感のある日本において、現実の諸問題を包み込んで、なおかつ仕事として励みたくなるような大局観からの発想は、まさに「大風呂敷」であると新田氏は語る。そのヒントは、これらの著作や成果にあるのだろう。何事も1つの解決策から答えをだそうとするのではなく、大局的な発想を創りだして、マクロ・インジニアリングとして実現させることだ。sun