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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:万能細胞ビジネス、行方に暗雲」から

2011.11.18 日経産業新聞の記事「眼光紙背:万能細胞ビジネス、行方に暗雲」から

ES細胞の治験から撤退した米ジェロン社の特許の行方

コラムの著者は、同社が持つ特許が、万能細胞を各種細胞に変化させる際に必要なもので、悪名高きパテントトロールの手に移るのではないかと危惧している。

パテントトロールは、有望な特許を買い集め、企業に特許侵害を訴えて、訴訟を下げる代わりに、ライセンス料などを得る組織的なものだ。米ジェロン社の保有するES細胞やiPS細胞に関する実用化時に有効な特許が、パテントトロールに移ると、実用化も研究も今以上に遅れるのではないかという。

そもそも、米ジェロン社も、この領域で最先端企業の1つであるにも関わらず、莫大な研究開発費を投入することは困難であった。実用化にはまだまだ長い道のりが必要で、今回の撤退も民間企業での研究開発の困難さを示しているという。

日本も他人事ではなく、同社の特許の行方では実用化や研究開発に大きな影響を与えかねない。研究自身は「万能」ではあるが、特許の複雑な権利関係の解決には、万能薬はないらしい。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から

2011.11.17   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から

時間の流れが速い時代こそ、過去のエピソードが力を持つ

コラムの著者 中央大学商学部の三浦俊彦教授は、地域おこしとして成功している大分県国東半島にある豊後高田市を例にエピソード・ブランディングについて解説している。

豊後高田市の取り組みは、「昭和の町」というコンセプトで地元商店街が2001年に昭和の風情や街並みをてこに活性化を行った事例である。(▶参考)この事例は、江戸克栄氏(文化学園大学准教授)が提案した「エピソード・ブランディング」の概念で行ったものである。この概念は、認知科学で取り上げる「エピソード記憶」に原点があるという。

認知科学では人間の記憶は、意味記憶とエピソード記憶があるという。エピソード記憶は、意味記憶に時間軸が入った記憶である。

  • 意味記憶の例:法隆寺
    • 世界最古の木造建築
    • 奈良にある
    • (暗記科目的で共通概念)
  • エピソード記憶の例:
    • 今年の初詣に彼女と行った寺
    • (個人的なエピソードが詰まった特別な意味のある記憶)

これを応用すると、個人的なエピソードが多く見受けられる昭和という時代の記憶を「昭和の町」としてブランディングしたといえる。40歳以上にはノスタルジーがあり、その時代を知らない若者には、貧しくてもどこか温かい、日本人の心の故郷のいうな感覚えるのだという。意味記憶のような記号的な論理ではなく、こころに通じるところがミソであろう。(同様に映画「三丁目の夕日」が若者に支持されている現象もある。)

エピソード・ブランディングには、①生活者が持つエピソードを基礎にブランディングする、②生活者にエピソードを作らせる方法があるという。特に②は小売りやサービス業では有効で、レストランにおける誕生日サービス、鉄道のスタンプラリー、スーパーでの親子料理教室など、生活者に思い出やエピソードを新規に創ってもらい、そのブランドへのエンゲージメントをあげる方法などがある。

時間に追われている現代では、反って個人的記憶で生活者の心の中に深く刻まれているエピソードに的を絞ったブランディングは有効だと、三浦氏は語る。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル⑧」から

2011.11.17 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル⑧」から

『選抜プール』型人財育成モデル

コラムの著者 プライスウォーターハウスクーパーズパートナー若林豊氏が、今回解説するのは、現在のグローバル人財育成術だ。

M&Aなど経営のグローバル化が進む中で、逆に人財のグローバル化が遅れ、現地任せのリーダ不在で危機感のあるメーカをクローズアップ。そこで採られた方法は、若林氏がいう選抜・集中投資型のグローバルリーダの育成だ。

20代後半の若手から始め、戦略立案、論理的コミュニケーション術などを集中的に学ばせ、2年ごと再度選抜する。最初は30%程度が参加できるが、40代になるころには事業部長クラスとして数十人に絞る。これまでの同年齢層の共通人材教育研修とは異なり、従来の中間管理職選抜を目指すのではなく、グローバルビシネスをリードできる「真のリーダー」と外国人社員や現地での関係者を束ねて業務を遂行する「タスクフォースによるプレイング・マネージャー」の養成を行う。つまり、グローバルな大競争時代を勝ち抜く人財の育成である。

若林氏は、グローバル人財育成のプログラムは各社の強みと風土によって大きく異なることを前提に、以下のような注意点をアドバイスしている。

  • 選外者のモチベーションを維持する施策が必要

直近の成果だけでなく、人間力を持った組織をけん引する能力をみる必要がある。「360度評価」などを活用して、対象者のふるまいを観察し、人間力の自覚を促す必要がある。また、周囲を巻き込むことで、選抜の正当性も生まれる。

もう1つはキャリア形成の道をナンバーワンを目指す上記の選抜・集中型とオンリーワンを目指す領域スペシャリストとしての道も準備する。

日本企業にあったグローバル人財の育成に対する対応は、人事、経営陣、社員を含めた変化の自覚と各々の覚悟がキーだという。sign03


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:テレビ『コモディティー化』の意味」から

2011.11.16 日経産業新聞の記事「眼光紙背:テレビ『コモディティー化』の意味」から

サイクルを創れるかTVのコモディティー化

コラムの著者は、コモディティー化を、市場での市況商品や相場に左右される商品ではなく、汎用商品の意味で解説している。

汎用商品といっても、全く同じ商品ではないが、生活者からみると、「どの商品をみても、安さに勝るほどの価値はない」と考えはじめた商品は、汎用商品とコラムの著者は語る。

供給過剰に陥りやすく、ニーズが安さのみとなれば不況時ほど汎用商品は勢いを増すという。汎用商品化には

  • 景気変動に合わせて増産
  • 供給過剰
  • 価格下落
  • 減産
  • 価格の再上昇

という市況のサイクルがあるという。畜産業のエッグ(鶏卵)サイクル、キャトル(牛)サイクル、シリコンサイクル(半導体)、クリスタル(液晶)サイクルといった波である。

ところが、テレビをコモディティー(汎用商品)とすると、この波はどうなっているのかとコラムの著者は厳しい。市況相場が上昇するには、ニーズの急増か供給能力の淘汰が必要であるが、淘汰過程が世界的に拡がってきていると言えるだろうか?happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:変わりゆくデファクト獲得の近道」から

2011.11.15 日経産業新聞の記事「眼光紙背:変わりゆくデファクト獲得の近道」から

新興国で独自発展を遂げるIT産業のデファクト

コラムの著者は、一昔前なら米国発のITが世界を席巻し、デファクトスタンダード(業界標準)となる例が多かったが、IT業界では、SNSなどのシェアをもつ企業が米国企業とは限らないというのだ。

中国、ロシア、ブラジル、ベトナムでは、世界的なシェアを誇る米フェイスブックが、各国独自のSNSサービスの企業に圧されている。注目は、こうした地域が人口の急増、経済の発展といった点で今後大きな成長が期待できる国々であることだ。

国力の向上と米国企業に対抗できる力を蓄え、それらの企業の連携次第では、トップの座にあるフェイスブックでさえもローカル企業になりかねないという。

これまでのIT業界ではデファクトは、米国市場でシェアを獲得することが近道であったが、中国やロシア、ブラジルなどの地域でシェアを獲得することも、これに並ぶ効果があると指摘する。

コラムの著者は、日本企業にこのような戦略があるかどうかを問うているがどうだろうか?筆者は、IT自身のコアが欧米で進んでいる中で、たとえ各地域でサービスが拡がっても、その知的財産によるリターンを獲得するのはやはり欧米企業ではないかと疑問視している。happy01