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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル①」から

2011.9.15 日経産業新聞の記事「グローバル人材、育成モデル①」から

グローバル人材育成の”勝利の方程式”を持たない日本

コラムの著者 プライスウォーターハウスクーパーズ シニアマネージャー 太田智氏によると、日本はいまだ、場当たり的な方法で、兵站線の伸びきった人材戦略で国際舞台に不利な競争を行っているという。

多くの経営者が、グローバル人財の育成を課題として挙げている。国内市場の縮小、新興国市場の台頭、東日本大震災で生じたエネルギーへの不安、止まらない円高。すべてが、海外シフトを促している。

経営者も人事部も、海外で活躍できる社員と見れば次々に日本から現地に送りだしてはいるが、現地との兵站線は伸びきって、派遣された社員は大きな苦労をする。さらに有能なスタッフは、仕事が任せられると思ったときは転職してしまう。このように、グローバルな人材育成に未だ”勝利の方程式”がないのが現状だという。

太田氏は、欧米、韓国での施策を考えるべき人材モデルの参考に示している:

【米国企業 GEの場合】

  • 財務諸表の見方から業務改善の手法まで、自社流の仕事の進め方をグローバルで共通化し、経営幹部が短期に習得できる研修プログラム持っている
  • 気にや事業を超えた異動、外部人財の即戦力化は周到な準備の上で行われている

【欧州(スイス) ネスレの場合】

  • 国籍に依らず世界中から優秀な人材を集め、撤退した教育と計画的な海外経験を与えている
  • グローバルコースの社員は、複数の国や地域のマネジメントに対応できる。従って、現地人トップに頼りっぱなしということがない

【韓国 サムスン電子の場合】

  • 韓国人社員を現地に10年以上派遣し、現地語から文化、習慣まで身に付ける
  • 現地法人のナンバー2とチームを組み、戦略を練り上げる

さて、世界中から優秀な人材を確保する欧米型、徹底的に現地に溶け込ませる韓国型、日本企業はこれらを参考に育成モデルを早急に組み上げることが急務だ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:マジョリカマジョルカ」から

2011.9.15 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:マジョリカマジョルカ」から

ブランド創造の秘話

コラムの著者 法政大学経営学部教授 西川英彦氏が、紹介するのは、資生堂の若年層向けメーカップブランド「マジョリカマジョルカ」を通じて、比較市場調査でブランドを創造した事例である。比較事例調査とは、この事例の場合、既存ブランドであった「ピエヌ」との差別化投入の研究だ。

  • ピエヌは20から30代のメーキャップブランドで、そのままでは、「マジョリカマジョルカ」にカブる。
  • マジョリカマジョルカの2003年発。当時、流行よりも自分らしさを表現しようという新しい価値観をもつ若年層が増えつつあった。
  • ピエヌとマジョリカマジョルカの二つの価値観を持つターゲットを並列して調査する(比較事例調査)をおこなった。具体的には、2つの顧客群に、事前になりたい女性増のコラージュや写真を準備してもらった上で面接で分析を行った。
  • 違いが明確になったところで、企画部門だけでなく、広告クリエーター、パッケージデザイナー、コピーライターなどの横断プロジェクトで、曖昧なイメージを理解し、マジョリカマジョルカとして具体化した。

通常は、差別化の検討を企画部門だけで行い、コンセプト開発をおこなうのがマーカティングの定石とされるところを、あえて差別化を抽出して、横断的に商品をイメージする手法は画期的であった。

マジョリカマジョルカは、魔法の呪文のような名前、秘薬のようなパッケージ、店頭のイメージは秘密の宝箱、コミュニケーションは、秘薬によって変わり続ける女性というブランディングはこうして生まれた。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:グループ・ブランド・プログラム」から

2011.9.14   日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:グループ・ブランド・プログラム」から

チームの目標は1つ、個性は多様が強み

コラムの著者 ジャパンライフデザインシステムズ社長 谷口正和氏は、ワールドカップで優勝、オリンピックの出場も決めた「なでしこジャパン」、夏の甲子園で優勝した日大三高を掲げ、個性の多様化とチームの団結が結果を出したと指摘する。

チームスポーツの応用問題として、企業内のチームや組織で考えてみる。果たしてチームの目標は明確だろうか?個々の役割はどうであろうか、個々の力が出ているのか。

多くの個性が眠ったままでは、類いまれなパワーを持った選手でスポーツでの勝敗は決まってしまう。パワーのある選手を束になって倒すことにチームとしての力がある。目標は一つで、個性を多様にすることで、この一人では達成できないことを達成できるといえる。

集団のコンサプトを明確にし、それぞれの役割をしっかり決めることが肝要だと谷口氏は諭す。目標のもとで個性が爆発すれば、一気にチームのレベルも飛躍する。ビジネスリーダーもそのかじ取り役として、チームづくりを目標と個性を把握しておこう。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:製品の命運握るSNSパワー」から

2011.9.14  日経産業新聞の記事「眼光紙背:製品の命運握るSNSパワー」から

製品寿命に影響を想定外で与えるSNSパワー

コラムでは、技術革新による研究開発競争の激化で、業界内の企業がお互いの首を絞める「テクノロジー・トレッドミル」について触れ、製品寿命が近年ますます短くなってきていると語っている。

1960年代の日本では、企業が製品から利益を得られる”製品寿命”は20年前後であったという。2000年以降は、5分の1以下。テレビは1990年代に13年。2000年以降は4年になった。

通常は、耐久消費財の買い替えサイクルは、景気の停滞で長くなり、回復すると短くなるとされてきた。製品寿命もこれに沿った形であった。ところが、このセオリーもSNSなどソーシャルメディアによって起こ口コミの力で、SNSを味方にすれば、製品は長寿命、敵に回すと、あっと言う間に市場から撤退を余儀なくされ短命に終わるという。

経済予測もソーシャルメディアの背後にある消費者ニーズの動向を読まないと、とんでもないブレが生じるかもしれない。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑯マイケル・ポーター」から

2011.9.14  日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑯マイケル・ポーター」から

儲けの市場領域を明確化し、選択と集中を行う

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー ディレクター岸本義之氏が示す今回の人物は、戦略論が懐疑的だった1980年代に知的進化をもたらしたマイケル・ポーターだ。(▶参考)80年代は、短期収益よりも顧客志向を重んじ、デミングを始めとする、品質向上で急速に力をつけた日本とは対極で、米国は不振であった。

Michael_Porter

当時最年少で米ハーバード大学ビジネススクールの教授となったマイケル・ポーターは、80年代に出版された『競争の戦略』では、産業組織論の「構造‐実践‐成果」という枠組みを、もともと独占防止であった超過利潤の最小化を最大化させることで事業戦略へ適応した。

さらに「5つの力」モデルによる分析で競争圧力が強くない領域に食い込むことで資本コストを上回る利益率が出るとした:

  • 新規参入の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力
  • 業界内部の競合関係

さらに、これに対する対策として

  • 価値を付加する⇒高価格の維持
  • コスト・リーダーになる⇒顧客の拡大
  • 集中⇒ライバルの少ない小規模市場を固める

といった具体的な戦略を示した。つまり、自社が優位に立てるポジショニングを明確化した。

85年の著書『競争の優位』ではおなじみの価値連鎖(バリューチェーン)の概念を導入した。企業の活動を分類し、それぞれから競争優位に持っていこうという考えだ。これらの優勢な機能をつなげ、より優位に持っていく考えでもある。最初は、企業内活動でバリューチェーンを考えたが、複数企業にまたがる業界にも適用されるようになる。パートナーシップ戦略もここから生まれた。

何れも儲かる領域を明確にして、選択と集中で戦略を立てるものであった。欧米では比較的早くこの考えを基づいた戦略が使われたが、日本では、導入が進まなかった。