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2011.9.14  日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑯マイケル・ポーター」から

儲けの市場領域を明確化し、選択と集中を行う

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー ディレクター岸本義之氏が示す今回の人物は、戦略論が懐疑的だった1980年代に知的進化をもたらしたマイケル・ポーターだ。(▶参考)80年代は、短期収益よりも顧客志向を重んじ、デミングを始めとする、品質向上で急速に力をつけた日本とは対極で、米国は不振であった。

Michael_Porter

当時最年少で米ハーバード大学ビジネススクールの教授となったマイケル・ポーターは、80年代に出版された『競争の戦略』では、産業組織論の「構造‐実践‐成果」という枠組みを、もともと独占防止であった超過利潤の最小化を最大化させることで事業戦略へ適応した。

さらに「5つの力」モデルによる分析で競争圧力が強くない領域に食い込むことで資本コストを上回る利益率が出るとした:

  • 新規参入の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力
  • 業界内部の競合関係

さらに、これに対する対策として

  • 価値を付加する⇒高価格の維持
  • コスト・リーダーになる⇒顧客の拡大
  • 集中⇒ライバルの少ない小規模市場を固める

といった具体的な戦略を示した。つまり、自社が優位に立てるポジショニングを明確化した。

85年の著書『競争の優位』ではおなじみの価値連鎖(バリューチェーン)の概念を導入した。企業の活動を分類し、それぞれから競争優位に持っていこうという考えだ。これらの優勢な機能をつなげ、より優位に持っていく考えでもある。最初は、企業内活動でバリューチェーンを考えたが、複数企業にまたがる業界にも適用されるようになる。パートナーシップ戦略もここから生まれた。

何れも儲かる領域を明確にして、選択と集中で戦略を立てるものであった。欧米では比較的早くこの考えを基づいた戦略が使われたが、日本では、導入が進まなかった。

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