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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:『情報誌ぴあ 21日休刊』」から

2011.7.13   日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:『情報誌ぴあ 21日休刊』」から

ネット社会にはない横断的な媒体の休刊

コラムの著者でジャーナリストの中本千晶氏は、ネット社会の発達で、チケット販売の変容と雑誌ぴあの休刊について語っている。

雑誌ぴあ(首都圏版)は1972年以来39年間続いてきたが7月21日に休刊する。 中本氏が危惧するのは、ノスタルジーではなく、エンターテイメント雑誌の機能が、ネットで実現できるかといった視点だ。

ページをめくることで、チケットの情報を得て、予約するといった手順が必要であった時代は、デート用のチケットを得ることが、公私ともリスクがあったという。公は、チケットの売れ切れリスク、私のリスクは、開演当日まで、相手と別れないかというものであった。ネット社会は、このリスクは回避できた。

しかし、高いチケット代を投資するなら、お目当てだけのピンポイントだけでなく、幅広い横断的な検索がさっとてきる雑誌の機能は大きいという。こういったま直感的、偶発的な楽しみはネットでは味わえない。

エンターテイメント雑誌は電子書籍化され、こんな機能を誰かが入れてくれるのだろうか?happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑨エドワーズ・デミング」から

2011.7.13   日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑨エドワーズ・デミング」から

デミングは戦後日本の奇跡を実現

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー岸本義之ディレクターが示す今回の人物は、エドワーズ・デミングだ。(▶参照 前回のウォルター・シューハートの統計的な品質管理法は、日本科学技術連盟(日科技連)の招きでデミングが行った講義から21社の日本企業へと発展する。

W._Edwards_Deming

デミングの主張は、品質が統計的であれば、経営者が指導しなければならないというものである。「私は単に品質についての話をしに来たのではない。経営者に対し、彼らの責任を説明したのだ。日本の経営者は自分の責任を何たるかを知り、責任について多くのことを学び、行動を起こした」と講義で語ったという。

デミングに関しては幾つかの逸話がある。品質管理での名誉あるデミング賞は、彼が講演の謝礼を断り、著作の印税を元に設立されたもの。また、米国では無名の学者であったため、米国メディアが日本の躍進を番組にする際に、デミングは認知されていなかった。

デミングのメッセージは、

  • 品質管理は経営トップ主導で行え。
  • 顧客は王様だ。
  • 製造プロセスは製品に勝る重要性を持つ。
  • 組織に関わるすべてに人を巻き込め。
  • 人を訓練せよ。

QC(品質管理)サークルの導入とその本質を手に入れた日本は、デミングによって奇跡的な戦後復興をもたらせたのである。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『社会的責任』世界の視点①:大震災、みえた企業の役割」から

2011.7.12   日経産業新聞集の記事「『社会的責任』世界の視点①:大震災、みえた企業の役割」から

企業は、利潤の追求から多様な社会的価値を生む存在へ

コラムの著者 損害保険ジャパン理事CSR統括部長 関正雄氏が指摘するのは、大震災後、普段は気付かなかった企業の社会とかかわりである。

震災の被災地を応援する動きが日本中に広まる中、企業の社会貢献活動も空前の規模だという。日本企業は、緊急支援として1000億円にのぼる資金を提供し、多くの物資を送った。事業の特徴を活かした被災地支援や社員ボランティアの派遣など多くの取り組みが行われている。

今年の株主総会も株主の価値感が変容したという。これまでは、利益を配当に回すべしといった意見が重視されたが、被災地への社会貢献支出を増やすべしといった、企業の社会的役割に目覚めた株主も増えたという。

短期的に利益を圧迫しても被災地の雇用確保を重視する必要性も出てきている。つまり、従来の株主重視だけでなく、多くの社会的な価値を生む存在として再認識されている。これは、2010年9月の経団連の企業行動憲章と実行の手引きの改定にも表れているという:

【改定前の前文】「企業は、公正な競争を通じて、利潤を追求する経済的主体・・・」

【改定後の前文】「企業は、公正な競争を通じて、付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担う・・・」

国内に留まらず、企業の社会的役割を重視する考えは、欧米では10年以上先行し、新興国でも議論が急速に盛り上がっているという。中国も「世界の工場」としてその地位を守るためにもグローバルな視点で社会的役割に国家的な課題として取り組んでいるという。

企業は、経済的な価値創造だけでなく、企業を軸とした多様な活動の原動力となり、それが企業の競争原理に打ち勝つ手段として震災後、多くの国内企業で再認識されたようだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「Newsアルファ(α):ソーシャルの力、企業覚悟を」から

2011.7.8   日経産業新聞集の記事「Newsアルファ(α):ソーシャルの力、企業覚悟を」から

ネットで世論や意見を筋書き通り伝わることは幻想

コラムでは、九州電力の「やらせメール」問題が7日に明らかになったことに触れて、自社に有利な情報を一気に広められるという誘惑に負け落とし穴にはまった、と手厳しい。ネットを巧みに利用するつもりが逆に窮地に陥った。

送り手の筋書き通りに情報が伝わると考えるのは幻想だ。受け手の立場や感性で解釈は異なり、意図とは違う形で増殖することもあるという。”監視”の目が光るネット空間で「都合のいいことをこっそり」は通用しない。最近は、ソーシャルメディアの動きを分析し製品情報や広告の効果や広がりに注目する企業も増えてきている。

顧客がユニクロの服を着た自分の写真を投稿するサイトをつくったファーストリテイリング。販促をネットに活かす考えであるが、実名前提のフェイスブックを採用した。同社社長の柳井正氏は「匿名では責任ある情報を交換できない」と語ったという。ネットの利便性と無名の参加といったリスクを考慮しての苦渋の判断だ。ネット社会のリスクを理解することが、企業がソーシャルに参加する条件のようだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の特集記事「ネットのチカラ第7部進化するデジタル世代(下)」より

2011.7.8   日経産業新聞の特集記事「ネットのチカラ第7部進化するデジタル世代(下)」から

教室のオープン化がデジタルネイティブを飛躍させる

前回のコラムではデジタルネイティブの指導側、つまり教員の課題がクローズアップされたが、この課題を解き、ビジネスに活かそうという動きもある。

アメリカが先進技術を持つ半面、世界経済フォーラムによる「数学・科学教育の質」の国別順位では52位。日本の28位に対して低い。ビジネス史に名を刻むビル・ゲイツの目にも、教育はテコ入れの余地の大きフロンティアと映るようだ。彼が絶賛する教育サービスが米シリコンバレーにあるという。金融アナリストだったサル・カーン(34)が行う遠隔教育。カーン・アカデミーでは無料動画サイト、ユーチューブに10分完結の数学や科学の教材ビデオを投稿して、単元ごとに内容を簡素化して要点を押さえた教材を提供している。視聴者数は、6300万回。ゲイツはカーンを称して「IT学習の先駆者」といい、資金支援を行っている。

日本では現役東大院生 清水章弘氏(24)がスカイプを使って、知識というより学び方に重点を置いた指導を行ってる。彼は、学部生時代にプラスティーを起業し、著書も09年のベストセラーになる程。生徒さんは全国に60人で盛況だ。そこにはデジタルネイティブ世代がネットもリアルも区別せずに受け入れる姿勢があるという。

日経のアンケート調査で「学校教育を改革するために必要なことは何か?」(複数回答)を行ったところ、「IT活用」と「社会人の先生の招へい」がダントツであった。つまり、「教室のオープン化」が重要だというわけだ。

既成の枠にとらわれず、教室の外にある人財やノウハウを積極的に活用することが、デジタルネイティブ世代の「チカラ」を引きだすのだという。CGやプログラミングを学ぶ大学を運営するデジタルハリウッド大学では、3月に5万人が累計で卒業したという。進路は、ITに留まらず、金融や流通などあらゆる業種に広がると、ファイ学学長の杉山知之氏が語っている。私もデジタルハリウッド大学大学院の教員として、ITがデジタルネイティブの必須科目という感覚は理解できる。happy01