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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:量子もつれと新時代の革新技術」から

2020.7.6   日経産業新聞の記事「TechnoSalon:量子もつれと新時代の革新技術」から

量子の世界では非常識が常識で、新発見が続いている

 コラムの著者 筒井 泉氏(高エネルギー加速器研究機構・准教授)は、コロナ禍で加速された社会のインターネットを通じた情報通信に依存することは確実で、その中でも「量子」を冠語とする技術は今後実用化するものが出てくるという。

◯特異な「量子もつれ」を利用した応用

  今後は人工知能(AI)の活用と並んで、量子計算や量子暗号など、量子を冠語とするイノベーションで実用化の進展が期待されると筒井准教授は語っている。このイノベーションの多くは、「量子もつれ」と呼ばれる特異な性質を利用するものだという。しかも、それが何を意味するかを理解するのは極めて難しく、アインシュタインでさえ生涯、その理解に悩み続けたという。

そこで筒井准教授は、その奇妙さを簡単な状況で説明してくれている;

  • 赤と白の2つの玉を入れた箱を準備する。箱の中身を見ないで無作為に1この玉を取り出すとする。
  • 取り出す玉の色は予め決められない。結果、取り出す玉の色は赤か白か全くわからない。
  • 以上のような箱をもう1セット用意する。そこで離れた場所にいる人が、別々に玉を取り出してみる。
  • 結果、二人の玉の色が一致する場合(赤赤または白白)と一致しない場合(赤白または白赤)が半々の確率で現れることになる。ここまでは奇妙なことではない。

ところが、ミクロの世界、つまり量子の大きさとなると2つの箱の間に特定な関係を持たせることができるという。これが「量子もつれ」である。

  • ミクロの世界では、2つの箱の間で「量子もつれ」がおこり、その結果、二人の取り出す玉の色を常に一致させることができるという。何度も繰り返すと赤と白の不規則な列が得られるだけで、それ自身では無作為で通信のような意図ある情報には使えない。
  • しかし、この不規則な列は二人だけが共有していることになり、通信文を暗号化したり、元の文に復号化できる暗号鍵に利用できる。しかもこの鍵は決して盗まれることはない。なぜなら、この鍵は二人が箱を開けるまではこの世に存在しないからである。

これが、「量子もつれ」を利用した絶対的な安全性を保障する量子暗号の原理だという。まさに常識を超えた現象にイノベーションの元がある。✉️☕️💺💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎✈️


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:リスクに備えデータ利活用」から

2020.7.3   日経産業新聞の記事「SmartTimes:リスクに備えデータ利活用」から

日本独自の情報銀行を活用して感染症リスクに対策を打つ

コラムの著者 石黒 不二代氏(ネットイヤーグループ社長)は、新型コロナウイルスで世界各国が個人データをどう扱うかを注目し、日本では欧州型に近いが、データ利活用を情報銀行の仕組みを使って感染症に対するリスク対策を提案している。

◯感染経路の割り出しなどデータの利活用は有効だが、プライバシーの課題がある

 スマートフォンの普及は、我々の生活を変えたと、石黒氏は語っている。つまり、行動の多くはログデータとして記録でき、位置情報やSNS、買い物履歴などが記録されていく。これを第三者が全て取得すれば、生活や暮らしぶりまでもわかることになる。音声データが大量にあれば音声合成により、他人がなりすますこともできる。まさに個人データの活用と悪用は紙一重であって、各国はこの特徴を想定して個人情報の取り扱いを規定してきた。

コロナ禍以前から各国の個人情報の取り扱いは違っており、コロナ禍でその差異がクローズアップされたという。中国では、国や企業が大量の個人データを集めて利用しても構わないという立場をとっている。コロナ禍では、感染経路の割り出しなどに使われた。一方、EUでは、いち早く個人データ活用のガイドラインを設け、GDPR(一般データ保護規制)としている。個人の権利を強化し、データを扱う企業への制裁を厳格化している。よって、コロナ禍では、個人データは使われていない。日本は欧州と同様、個人データをコロナ禍の対策には今のところ利用していない。ただ、米国でもコロナ禍で、感染者追跡用のAPIを提供を始めるなど、平時に作った規定をコロナ禍のような緊急時にそのまま利用というわけではなく、見直しが行われ始めた。ただ、今すぐというよりは、日本は今後も感染症の拡大はあり得ることからリスク管理として、即応対応できるガイドラインを作っておき、技術検証を進めるといった対策は当然必要だろう。

石黒氏が注目しているのは、日本の独自モデルとして個人データを預かり、運用していく「情報銀行」の仕組みである。個人データが預金のように情報銀行に委託する、個人との契約によって他の事業者とも情報を共有しようというものである。確かに、例えば、自分の過去の病歴、食事、運動、体重の変化など、特にメリットがなければ第3者に渡したくないものだが、そのデータに基づいて、運動や食事について最適なアドバイスをしてくれるなら、どう考えるだろう。😷👨‍🎓💊💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:半導体から退場する日本」から

2020.7.2   日経産業新聞の記事「眼光紙背:半導体から退場する日本」から

裏路地の写真も燃えてしまったのか

 コラムの著者は、東芝がキオクシア(旧東芝のフラッシュメモリ事業部門だった)の持ち株を売却することについて、日本からまだ強みのあった半導体事業からの撤退について語っている。

◯裏路地の馴染み客で賑わう老舗写真館も今はない

 次世代高速通信、人工知能、自動運転、8Kテレビ、IoT、ARなど、いずれの技術も産業のコメ、半導体に支えられている。最近は産業のコメから、経済の必須アミノ酸とも言われている半導体は世界経済の大きな下支えでもある。

ロジック、メモリー、撮像素子、パワー半導体など多少な半導体の産業界で、日本企業が存在しているが、シェアを握る分野は残念ながら一部となってきているという。その状況は、まるで人通りの多い「大通り」の写真館であったが、店を畳み、裏路地に写り馴染みの客を相手にそこそこ繁盛している老舗写真館のようだという。

キオクシアの状況は、老舗店の運命に似ている。いまや、親会社も株を売却するとの経営陣の判断である。確かに経営戦略であり自由だが、1枚の写真のように、燃えてしまっては2度と元には戻らない。開発を止め技術を放棄すると貴重な資産は失われていくだろう。経営陣の売却理由は、市況変動が大きい半導体事業は経営の不安定要素であるというが、逆に市況変動を避けるような事業は一握りしかないいのではないのか。日本の製造業の劣化は、研究開発やマーケティングになく、経営陣にあるのではないかというのは、コラムの筆者の厳しい言葉である。📷💺💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「WAVE:コロナ禍と新興勢支援」から

2020.7.2   日経産業新聞の記事「WAVE:コロナ禍と新興勢支援」から

コロナ禍で大変な時だからこそ常識を超え前向きに乗り越える新興勢

コラムの著者 室田 浩司氏(京都大学産官学連携本部長)は、新型コロナウイルスで大きな影響を受けた京都市ではあるが、厳しい状況の中でも大学発のベンチャーが身軽さや社会貢献を通じて新しいビジネスモデルを打ち立てようとしていることに支援の手を差し伸べている。

◯ようやくベンチャーエコシステムが出来始めたときにコロナ禍

 新型コロナウイルスの感染拡大は、京都のような観光都市では大きなダメージを受けているという。地域の金融機関や行政は、地元の中小企業の支援で奔走している。一方、中小企業の苦境に隠れて、スタートアップを取り巻く環境も同様に厳しい。確かにビフォアコロナでは、京大発ベンチャーの数は増加したという。そこでようやくベンチャーエコシステムが出来軌道に乗り始めた矢先にコロナ禍が発生した。すでに、多くの新規ブロジェクトは中断状態で、開発計画の大幅な見直しが迫られている。資金面でもVCからの投資も急速に縮み、大手企業の契約も頓挫しているという。

しかし、希望もある。「この非常事態時こそ、京都大学や関連官民ファンドが中心となって、地域のベンチャーエコシステムを支えていただきたい」との訴えが届いているという。室田氏もこの訴えに応え、地域のみならず次世代の方々への責務を担いたいとしている。その一つが、臨時GAPファンドで、ポストコロナ釈迦の課題解決に焦点を絞った京都大学内向けの研究開発助成金の設立である。研究開発は、理系のみならず、人文・社会系も含めた文理融合の研究開発を誘発するものだという。厳しい状況でもスタートアップの支援者やアントレプレナー達は、真っ先にボランティア活動を行い、普通の企業なら追従できないスピード感と行動でコストを含む事業計画の見直し、資金確保の早期の活動、ビジネスモデルの機敏な変革といった動きも活発である。このような活動で生まれる成果を生かして従来の常態を超えて新常態でも生きれる気概と支援者とそもに歩く前向きな姿勢には支援を続けたいと、室田氏は語っている。😷👨‍🎓💊💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:教育格差をITが解決」から

2020.6.30  日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:教育格差をITが解決」から

米国での黒人差別問題をコロナ禍を契機に変えられないか

 米国の警官の黒人殺害事件を契機に揺れる米国で、新型コロナウイルスの感染が拡大し未曾有の人種差別問題が起こっている。コラムの著者 伊佐山 元氏(WiL共同創業者兼CEO)は、この構造的な差別問題をICTによる教育環境の整備で変えられないか提言している。

◯危機は「危険」と「好機」の組み合わせ

 佐和山氏は、米国の混乱が複雑で構造的な黒人差別問題をインターネット環境を黒人の子供たちすることで、負のスパイラルから脱出できるきっかけになるのではと考えている。

シリコンバレーでも連日ようにBLM, Black Lives Matterをテーマにした、デモ行進が行われているが、具体的に何を求めてるのであるのか明確でないという。米国建国の歴史に始まる、黒人に対する社会システムの偏見や差別は、構造的な人種差別で今のところ解決手段がない。そもそも、ある意味で米国社会は黒人を卑下し、差別する空気を前提にこれまで発展してきた。実態はそれ以上に複雑だという。それは、奴隷制を背景にした黒人を取り巻く環境は、その他の人種と比べると、あまりにもハンディキャップだらけの境遇であることに愕然とするという。

負のスパイラルは、黒人が住むエリアから始まる、つまり、

  • 住む場所はスラムなどの貧困地区
  • その地域では税収も少なく、公共サービスも劣る
  • 特に、公立学校の運営費は、その地区の固定資産税から賄われるから、教育の設備の水準も低くなる。エリート大学への進学は夢のまた夢となる
  • 良い教育が受けられないことは、高収入な仕事には就けない。両親は共働きで、子供はファーストフード中心の生活になり、不健康、非行や犯罪に走る
  • 結果、他の人種よりも、明らかに失業率は高く、平均寿命も短く、新型コロナウイルスによる死亡率も高い
  • アジア系に比べ、平均所得は半分以下、貧困率は倍以上、大学進学率も半分となっている

という負のスパイラルに出口はない。法的な優遇措置や財務的な支援ではなく、黒人に対する教育制度を如何に充実させるかが、この問題の解決につながると、伊佐山氏は期待している。新型コロナウイルスの感染防止でICTが教育現場に普及した今こそ、黒人の子供たちにインターネット環境を保証し、学ぶことの意義を啓蒙することが根本を変えるかもしれない。アフターコロナでICTのベンチャーが、教育格差を平準化し、誰もが社会で活躍できる礎となるかもしれないと伊佐山氏は期待している。😷🦠💺💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇺🇸