Previous month:
2016年9 月
Next month:
2016年11 月

2016年10 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:原料炭高騰、鉄鋼業界追い打ち」から

2016.10.12   日経産業新聞の記事「眼光紙背:原料炭高騰、鉄鋼業界追い打ち」から

製品だけを中国が揺さぶっているわけではない

コラムの著者は、資源の多くは供給過剰であるが、価格が低迷している温度差が中国経済に与える影響を鉄鋼業界を事例としてみている。

◯資源の多くは供給過剰で価格は低迷

ただし、こういった局面でも価格が急騰する資源はあるという。その事例が希少金属であるリチウムであるという。電気自動車の生産増加などで需要が急増している。問題は、製鋼材料の石炭である。

原料炭の価格もスポット市場では年初の3倍近くに急騰している。ただ、製品である鉄鋼製品の回復したわけではなく、リチウムなどの資源だけである。

この要因は、中国政府の石炭産業の過剰整理が主因である。ところが、悪天候などの影響で需給バランスが崩れ、いきなり供給が間に合わない。アジア地域の鉄鋼需要も持ち直しているが、中国の過剰供給は変わらず、先行した石炭産業の過剰整理の時期に対して鉄鋼産業が大幅に遅れ「原料高・製品安」を招いている。どうやら鉄鋼業界で強大化した中国が製品のみならず原材料市場も揺さぶっている。

camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:日銀批判続出、でも投資の好機?」から

2016.10.10   日経産業新聞の記事「眼光紙背:日銀批判続出、でも投資の好機?」から

日銀の金融緩和策

コラムの著者は、企業の統合報告書が多く発刊されるこの季節、これまでの財務情報にとどまらず、長期投資を促すための統合報告書は非財務情報もふくめ、企業の価値創造に対するコミュニケーション手段として重要視されていることについて語っている。

◯デフレ脱却を確かにする政策?

アベノミクスで確かに日経平均は8000円から20000円と2.5倍にはなったが、経済に活力がない。その第2弾として日銀は、金融緩和を短期金利だけでなく、長期金利についても日銀がコントロールするという新政策である。市場が決める証券価格を日銀が決められるのか、決めていいのかと批判は散々で、暴論だという声もある。逆にうまくいけばサプライズで、投資のチャンスでもある。

批判を承知の上で日銀は新政策に踏み出したのは、デフレ脱却を確かにする最善策と見たからである。そこには日銀と世論との大きなギャップがある。

どうやら日銀は、資産インフレを狙い、それができると踏んでいるようだ。市場価格を動かせるほどの実弾を際限なく準備できる、つまりバランスシートの膨張による貨幣供給は際限がないからである。そういった意味で今回に限れば資産価格の押し上げ政策は正当だという。

日本では過去最高水準の企業業績(=価値創造)と世界最大級の資本貯蓄があるのに対して、経済に活力がない。金融市場が機能せず貯蓄がゼロリターンの預金や国債が寝ている状態である。この是正が日本経済の復活にかかっているのなら、日銀の政策は、国益に沿ったものと言える。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:価値創造を語る大切さ」から

2016.10.7   日経産業新聞の記事「眼光紙背:価値創造を語る大切さ」から

企業の統合報告書などを使い非財務情報もうまく伝える必要性

コラムの著者は、企業の統合報告書が多く発刊されるこの季節、これまでの財務情報にとどまらず、長期投資を促すための統合報告書は非財務情報もふくめ、企業の価値創造に対するコミュニケーション手段として重要視されていることについて語っている。

◯2008年の金融危機以後の国際的な動き

 これまでの企業の財務成果などを述べるアニュアルレポート(年次報告書)が主流であったが、世界の潮流は、統合報告書になってきている。

統合報告とは、企業の価値創造についてのコミュニケーションプロセスであり、作成される媒体の1つが統合報告書である。2008年の金融危機以後、統合報告が国際的な動きとして広まった。この背景には、金融危機を招いた原因の1つである投資家の短期投資志向への反省がある。投資家が長期投資できるように、企業が持つ独自のDNAを解説し、過去・現在・未来をつなぐ企業の価値創造ストーリーを自らの言葉で述べることが肝要だという。

最近は財務情報の開示だけでなく、財務情報を生み出す背景の非財務情報に関する開示がより重視されるようになってきた。ここで企業は、価値創造のプロセスをうまく説明できなければならない。

またESG(環境・社会・ガバナンス)情報や無形資産情報にも投資家の関心が寄せられている。

最近は金融庁の指導で法人関係情報などの取り扱いの規制が強化され、企業は誰もが手に入る公開情報でのみ投資判断できるようにしなければならない。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究の手段と目的、発想の転換必要」から

2016.10.7  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究の手段と目的、発想の転換必要」から

逆転発想から目的を拡大

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、前回に引き続き、研究の目的と手段の関係について語っている。

◯禁じ手をあえて理解して

研究の発端はその目的にある。さらにそこには面白そうなことも隠し持っていると和田教授は示唆する。

目的はモノやコトを理解することである。つまり要素(モノ)が何で、それらの間に相互作用がどう働いている現象(コト)が出現するか納得することだという。この場合の納得とは人類のサイエンス体系に矛盾なくはめ込めるということである。

理解や納得には物事を観測し解析することが必要となる。今日の科学技術では、理解の基礎となるデータ整理と解析はコンピューターに頼ることが多い。

昨今の計測技術やコンピューターの発展で、研究にも発想の転換が必要だと和田教授は示唆している。つまり、「手段から目的を決める」という発想で、過去では禁じ手であったという。つまり、手段が手近にあるからという理由で目的を安直に決めてはいけないという戒めである。

しかし、和田教授は、この発想の逆転をもって、最先端の生物物理学を始めた。禁じ手ではあったが、手段によって目的が広がり、より高い価値をえることもできるという結果が得られた。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:規制緩和と安全、対立項再び」から

2016.10.6   日経産業新聞の記事「眼光紙背:規制緩和と安全、対立項再び」から

運輸行政の止揚

コラムの著者は、このところのバスの安全性認定が急増し、規制緩和と安全性の両方で揺れ動く運輸行政について触れている。

◯バス運行業界は参入規制緩和から一転し大競争時代へ

「セーフティバス」というバス会社の安全性を認定する制度がある。長野県軽井沢町で今年1月におきたツアーバス転落事故を受け、申請が急増しているという。

バス事故対策について国土交通省は検討委員会の議論を踏まえ、事業者に再発防止策を促している。その対策は;

  • 運行管理・車両整備の強化
  • 安全投資計画の実効性
  • 最低保有車両数の引き上げと車齢制限
  • 先進安全車(ASV)への切り替え促進

など、安全のための投資を求める文言が並んでいる。安全対策への投資余力がない事業者は市場からの退場を余儀なくされるという警告も聞こえているという。

20年ほど前は、同省の運輸行政は経済規制の緩和圧力と安全確保のせめぎあいにさらされた。かたや海外ではウーバーやエアビーアンドビーといった運輸・観光には新しい役者が登場し、安全と自由の対立項が見えてきたという。この対立項をいかに止揚するかが、日本の大きな課題である。camerahappy01