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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:トラブル対応、顧客呼ぶリカバリー」から 

2016.10.20  日経産業新聞の記事「小野譲司の目:トラブル対応、顧客呼ぶリカバリー」から

苦情対応を超えたロイヤルなお客さまを生み出す源泉

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、あるホテルでのトラブル対応から「リカバリー・パラドクス」について触れている。

○問題を経験しながら不満客が何も言わないことが最大の不幸なシナリオ

小野教授があげたトラブルは、初秋の週末、京都市内のビジネスホテルで、多くの観光客がビュッフェで列をなす朝食会場での出来事である。

惣菜の皿に母親が気をとられている間に、自分で味噌汁をよそおうとした5歳くらいの男の子が、お椀を倒してしまったのだ。

叱りつける母親と泣き出す少年。

そのとき、スタッフが「だいじょうぶですか?」と声をかけ、すぐさま駆け寄って手にした氷袋は手渡した。ここで状況は好転。少年は泣き止み、やけどはしていないと、両手で氷袋を握りしめた。母親はスタッフの対応に感謝し、「自分でやってみたかったんだよね」と息子に語りかけたという。

何が原因であるかにかかわらず、サービスのトラブルを経験した人は、その記憶が残り、再度利用しようとはしなくなる。しかし、企業が適切な処置をして問題解決をしたときは、再利用の可能性が高くなるという。この現象を「リカバリー・パラドクス」という。

小野教授はいくつかのデータでもそれが裏付けられているとし、迅速で適切な対応、修理や交換・返品、補償や弁償といったリカバリー対応は、顧客にとって印象深い記憶として、後々、思い出しやすいブランド経験となり、将来の購買決定にも影響を及ぼす。それゆえに、リカバリー対応は苦情対応を超えた、ロイヤルな顧客を生み出すもととなる。問題を抱えて何も言わない顧客がもっとも企業にとっては不幸なシナリオであるという。

現場のサービス改善だけでなく、他者への伝搬や影響を考え、注目すべき現象だという。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:真の読書革命の条件」から

2016.10.20   日経産業新聞の記事「眼光紙背:真の読書革命の条件」から

国内出版業界の警戒感からパートナー関係になれず

コラムの著者は、2007年に国内で電子書籍サービスに乗り出した米Amazonについて、読み放題サービスでの同社と国内の出版社の間に起こったゴタゴタが、真の読書革命に水を差すのではないかと示唆している。

◯新しい読書のスタイルを与えた同社独自端末「Kindle」

2007年以来、コラムの著者は、Kindleを利用して、満足度は悪くないという。紙では分厚い本も電子書籍なら手軽に持ち運べ、必要なところに線をひいて検索したり、残したメモをさっと一覧できる。また、ソフトもアップデートされ、機能が追加されるのも魅力だという。

読み放題サービスを巡って国内の出版社のとのゴタゴタが起こったのは残念で、読者だけでなく、作家や編集者などコンテンツの作り手にも損失を与えることになる。

本とITとの融合は、まだ始まったばかりで、これまでになく、読者に新しい本との出会いを容易にし、読書体験を共有するなど新しい楽しみ方を提供した。それでけに、市場創出の機会をフイにする事態だけはいただけない。日本の出版社は、Amazonに主導権を奪われることへの警戒感から、本来は新市場開拓へのパートナーとなるべき機会を失っているという。相互不信では真の読書革命を実現できない。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:電気の獲得、照明、電車…輝かしい活躍」から

2016.10.18  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:電気の獲得、照明、電車…輝かしい活躍」から

「電気の世紀」としての20世紀

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、生活に欠かせない電気について歴史を紐解き、人類が輝かしい世紀を迎えるまでを振り返っている。

◯人類に輝かしい世紀をもたらした電気

電気の歴史の起源は、ギリシャに琥珀の摩擦電気に関する記述が紀元前600年にあるという。しかし、人類の活用には程遠い。

発端は、オランダの静電気を貯めるライデン瓶の発明である。(1746年)6年後、米国のフランクリンが凧をあげて、雷の電気を取り込んでいる。

電気に関する諸法則の発見は;

  • 英国のキャベンディシュ;電気力は距離の逆2乗法則(1773年)
  • ドイツのオーム;オームの法則(1826年)
  • 英国のファラデー;電気と磁気の相互変換の発見→発電機

やがて、これらは応用技術に発展し;

  • 米国のエジソン;ニューヨークの世界初の発電所
  • 英国のデービス;アーク灯の公開実験
  • 米国のエジソン;白熱電灯の実用化
  • 米国のラベンポート;直流電動機の発明
  • ドイツのシーメンス;自励式直流発電機の動力発電→木造の貨車
  • 英国のクックとホイーストン;電信機を実用化
  • 米国のベル;声を電気で送る電話
  • ドイツのヘルツ;無線通信の基礎
  • イタリアのマルコーニ;横断無線電信に成功

と急速に身近な応用で生活を支えることになった。電気の世紀はこうして20世紀から始まった。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: 料理手配、アプリで注文簡単」から

2016.10.18   日経産業新聞の記事「風向計: 料理手配、アプリで注文簡単」から

配車サービスで培ったノウハウとテクノロジーを反映

コラムの著者 岩崎 博論氏(博報堂イノベーションデザインディレクター)は、配車サービス大手のウーバーテクノロジーズが9月から東京都港区で始めた料理宅配の仲介サービス「ウーバーイーツ」について語っている。

◯スマホ普及もアプリ内完結から現実世界の利便性の向上へ変化

利用には専用アプリが必要である。手に入れたら、つぎのようにして注文する;

  • アプリから配達先の住所を入力し、配達先のエリアに応じて提示されたレストランのメニューから選択する。
  • 注文内容と合計金額を確認する
  • 「注文する」をタップすると、配達予定時刻が表示される
  • 時間になると配達員が品物を届ける
  • 支払いはクレジットカードを利用

と、アプリで完結する。現金でのやり取りはなく、配車サービスで培ったノウハウとテクノロジーが反映している。一方、飲食店からみると、配達員やバイクを抱えることなく、幅広い顧客にアプローチできるメリットがある。

国際的にも、中国では多くのVBが参入し、すでに大きな市場を作っている。米国でももともとフードデリバリーの習慣が日本以上に定着しているため普及が速い。

スマホ普及の初期は、アプリ内完結型が多かったが、いまや、第2ステージともいうべき、現実世界の利便性向上に使われるケースが増えている。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:『完全AI』巡る賛否の渦」から

2016.10.18   日経産業新聞の記事「眼光紙背:『完全AI』巡る賛否の渦」から

シンギュラリティ(特異点)を超えるか超えないかの2派

出版業界をはじめICT、広くは産業界全体でブームとなっているAIであるが、コラムの著者は、2045年前後に人間の知性や脳の処理能力をAIによって凌駕するコンピューターが生まれる「シンギュラリティ(特異点)」を信じるか信じないかで2派にわかれていることを示唆している。

◯世代の差で過去2回のブームを想起

シンギュラリティの議論ではなく、コンピューターの進化は事実としてあり得る。しかし、AIブームが現在をいれて3回あった中で、否定派は、1980年代の第2回ブームの中心にあった「第5世代コンピューター」開発で挫折を味わった研究者が多いという説もある。

さらに否定は研究者の話には、納得のいく事例もあるという。事例として、地球の環境変化で示すと、

「東京は年々温暖化しており、過去の気象データをいくら集めても確度の高い予測はできない」

というものである。最近のAI開発はビッグデータの解析が基礎にあり、過去のデータに引っ張られて、コンピューターが間違い続けるというもの。

だが、肯定派は、このような壁を越えて、人間を超えるAIが生まれるのだと主張する。まだまだ軍配があがるには早すぎるようだ。camerahappy01