【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:トラブル対応、顧客呼ぶリカバリー」から
2016/10/26
2016.10.20 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:トラブル対応、顧客呼ぶリカバリー」から
苦情対応を超えたロイヤルなお客さまを生み出す源泉
コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、あるホテルでのトラブル対応から「リカバリー・パラドクス」について触れている。
○問題を経験しながら不満客が何も言わないことが最大の不幸なシナリオ
小野教授があげたトラブルは、初秋の週末、京都市内のビジネスホテルで、多くの観光客がビュッフェで列をなす朝食会場での出来事である。
惣菜の皿に母親が気をとられている間に、自分で味噌汁をよそおうとした5歳くらいの男の子が、お椀を倒してしまったのだ。
叱りつける母親と泣き出す少年。
そのとき、スタッフが「だいじょうぶですか?」と声をかけ、すぐさま駆け寄って手にした氷袋は手渡した。ここで状況は好転。少年は泣き止み、やけどはしていないと、両手で氷袋を握りしめた。母親はスタッフの対応に感謝し、「自分でやってみたかったんだよね」と息子に語りかけたという。
何が原因であるかにかかわらず、サービスのトラブルを経験した人は、その記憶が残り、再度利用しようとはしなくなる。しかし、企業が適切な処置をして問題解決をしたときは、再利用の可能性が高くなるという。この現象を「リカバリー・パラドクス」という。
小野教授はいくつかのデータでもそれが裏付けられているとし、迅速で適切な対応、修理や交換・返品、補償や弁償といったリカバリー対応は、顧客にとって印象深い記憶として、後々、思い出しやすいブランド経験となり、将来の購買決定にも影響を及ぼす。それゆえに、リカバリー対応は苦情対応を超えた、ロイヤルな顧客を生み出すもととなる。問題を抱えて何も言わない顧客がもっとも企業にとっては不幸なシナリオであるという。
現場のサービス改善だけでなく、他者への伝搬や影響を考え、注目すべき現象だという。
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