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2015年12 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:『ニフレル』の挑戦、生き物を美しく見せる」から

2015.12.10  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:『ニフレル』の挑戦、生き物を美しく見せる」から

カテゴリーキラーとなるかニフレル

コラムの著者 三浦 俊彦教授(中央大学商学部)は、11月19日に開園した大阪・万博記念公園内の「エキスポシティ」のメーン施設が、水族館、動物園、美術館を融合した「ニフレル」であり、この施設がこれまでの同様な施設に一石を投じるとみている。

○水族館・動物園は自然科学系博物館、美術館は人文科学系博物館

この分類は、博物館学によると三浦教授は語っている。これらの博物館の大きな違いは;

  • 自然科学系博物館:事実の提示、客観性が基本。
  • 人文科学系博物館:客観性よりも主観性、論理性よりも創造性を重視

といったコンセプトの違いがある。この違いを知って、今回のニフレルは、水族館はこれまで自然科学系に属していたが、ニフレルでは、魚などの生物をアートの一部と見る。さらに感性に訴える形で、事実をアートするという大きなイノベーションだと三浦教授は示唆している。ちょうど、旭山動物園(北海道旭川市)の「形態展示から行動展示」(動物の面白い姿勢の展示から、自然の面白い動きを展示)というイノベーションが全国の動物園などに大きな影響を与えたと同様のことが起こるのではないかと考えている。

ニフレルのイノベーションは、同館が主張する「生きているミュージアム」という言葉に現れている。

  • 「いろ」ゾーン:カクレクマノミのような多彩な色をもつ魚たちが水槽で泳ぐなか、様々の色の光が当てられて感性を刺激する
  • 「わざ」ゾーン:魚の巧みな餌とり
  • 「すがた」ゾーン:美術館的な展示
  • 「うごき」ゾーン:おりがなかったり、水槽の上部が開いていたり、来訪者と生き物たちとの距離を短くしている

このようにニフレルは、水族館・動物園をアートしている。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:薄型エアコンへ背水」から

2015. 12.9   日経産業新聞の記事「眼光紙背:薄型エアコンへ背水」から

研究施設に負けない開発

コラムの著者は、ダイキン工業が総事業費380億円を投じて大阪府摂津市に新しい技術開発施設「テクノロジー・イノベーションセンター」を完成させたことに触れ、日本メーカーがなすべきことについて語っている。

○創業以来の歴史と製品開発思想のDNAに触れられる「啓発館」を設置

同社の啓発館は、イノベーションの創出に全力をかけるところから出ている。展示品の1つに欧州向けエアコン室内機があり、薄型でじつにかっこ良いという。ところが日本では未発売。その要因が、省エネ基準の横幅を超えていることから国内の住宅には設置しにくいという。数年前から社長以下の催促にも応えられず、製品開発は進んでいない。しかし、立派な研究開発拠点ができたからには逃げられず、担当の開発担当役員は、商品化を公約させられた。

日本の液晶テレビが外国勢に負けたのは、画質ではなく、額縁部分のデザインであったという。エアコンの薄型も立派なイノベーションである。この意識改革が、啓発館を単なる継承館にするか、警鐘館にするかの瀬戸際である。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ネジの原理、らせん構造から広がる世界」から

2015.12.4   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ネジの原理、らせん構造から広がる世界」から

偉人の知恵が万能性を引き出す

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、あらゆる機器機械や構造物の基本となるネジについて、その万能性について触れている。

◯簡単だが万能性を持つネジ

ネジはボルトとの組み合わせや単独で先細にして木材にような柔らかい素材との間で固定することに使われる。らせん構造の応用として、無限と思われる多様さが広がる。

ネジは回転運動を、その回転面とは垂直な方向の運動に変換するという基本構造で出来ている。

回転角が推進距離に変わる幾何学と、回転力が推進力に変わる力学を応用できる。

回転から推進への変換とは逆に、推進から回転への変換もできる。

この変換お割合は、一回転ごとのネジ山の進む距離、ピッチである。ピッチが高いと、回転角度に比べてネジの進む距離は短いが、逆に、回転力は大きな推進力になる。

ネジの応用は、

  • 機械や構造物を固く結合する締結用
  • 工作機械の送りネジのような回転運動を直線に運動変換
  • コンパスの開きの調節といった精密な位置決め

など、さらに

  • 風車やタービンブレード(羽根)は直線的な流れを回転力に変える
  • プロペラやスキュリューは、空気や水を相手にする「ネジ」である

といった応用もある。すでに紀元前4〜3世紀にギリシャ人が発明したといわれるネジ。敬意を表す対象だと和田教授は語っている。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「パッケージNOW:箱もトマトも無添加」から

2015.12.8   日経産業新聞の記事「パッケージNOW:箱もトマトも無添加」から

パッケージにも企業コンセプトが

コラムの筆者 竹原あき子氏(工業デザイナー)は、前回に続いてフランスの食品パッケージで、トマトの包装について語っている。

○フランス最大のトマト栽培ブランド「Saveol」

1982年フランス国外のスペインやモロッコからの安いトマトに対抗しようと、フィリップ・ダレ氏がオランダで温室栽培を学び、ブルターニュで付加価値の高いトマトの栽培を始めた。

一旦は市場から姿を消した心臓型のトマトや紫、黄色、オレンジ色などを蘇らせ、少なくとも27種のトマトを栽培し、141の栽培農家と協同組合を組織した。さらに、害虫を食べる蜂やてんとう虫などの昆虫を使って、受粉と無農薬を達成し、エコロジーとバイオ栽培という時代の流れに乗って経営は成功しているという。

さて、パッケージでは、商品のトマトが見えるようにレース風の穴が開き、中央にてんとう虫を書いて無農薬のコンセプトを伝え、上下ぴたりと蓋ができるようにして、無駄なノリを減らし、中身も顧客がチェックできるようにしている。組み立ても解体も簡単でしかもエコであることから、竹原氏も褒めている。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『カーボンバブル』しぼむ?」から

2015. 12.3  日経産業新聞の記事「眼光紙背:『カーボンバブル』しぼむ?」から

世界の潮流は脱石炭

パリで行われているCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で、すべての加盟国が参加する新しい枠組みは注目の的であり、関心は温暖化ガス削減の具体策に進みつつかるという。コラムの著者は、その中で二酸化炭素の排出量の多い石炭火力発電の規制について語っている。

○世界の動きに逆行する日本の電力需要

英国は脱炭素、脱石炭を2025年までに行うとし、OECDも加盟国の効率の悪い石炭火力の輸出で公的金融機関の融資を禁止するとした。バーゼル銀行監督委員会も自己資本比率規制に気候リスクを盛り込んだ。

世界各国が「脱石炭」を加速し、これまで増額を続けてきた石炭火力向け投資(カーボンバブル)がはじけるのではないかと警戒感が強まっている。

その中で、日本の電力自由化で電力各社は、この流れに逆行し、燃料費の安い石炭火力発電の増設計画を相次いで公表している。世界の潮流に逆らう日本に経済の高揚はありえるのか。pchappy01