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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:はやりにとらわれない研究」から

2014. 10.27  日経産業新聞の記事「眼光紙背:はやりにとらわれない研究」から

ノーベル物理学賞受賞の赤崎勇教授のことば

コラムの著者は、青色LEDの研究でノーベル物理学賞を受賞した名城大学の赤崎勇教授の発言で、若い研究者に向けて繰り返していったことがあると述べている。

○「はやりの研究にとらわれず自分のやりたいことを」

他の研究者が見限った材料に一人取り組んで大きな成果を果たした赤崎教授ならではかもしれない。しかし、この言葉は、他のノーベル賞受賞者やこれに匹敵するような業績を上げた研究者に共通したところだという。

だが、日本では自由な研究が難しくなってきているという。企業は余裕がなく、すぐに役立つかどうかわからない基礎研究からは手を引き、政府の研究投資も多数の合意が得られやすいテーマなどに一部集中する傾向にあるという。大学もそれにならっている。

また、はやってなくても、筋の良い研究テーマを見分ける能力や予算、政策、組織上の仕組みなどにも左右されている。ここには個々の研究者の努力という枠を超えている。研究者以外も赤崎勇教授の言葉を理解し、実践することが必要だと、コラムの著者は説く。pouchhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:『理研精神』の復権、組織硬直化見直しを」から

2014.10.24 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:『理研精神』の復権、組織硬直化見直しを」から

科学研究を進め、日本独自の発明・発見を生み出す研究機関

コラムの著者 志村 幸雄氏(技術評論家)は、STAP細胞論文の不正問題で揺れる理化学研究所の設立の精神から現在必要な改革について語っている。

○欧米の模倣や後追い研究からの脱皮

明治維新の科学技術の展開で、文明開化の影響で欧米の模倣技術や後追い研究が主で「科学技術後進国」に甘んじていた日本が、理研の設立によってその悪循環を断ち切るという精神があった。

その精神を受け継ぎ、大学を出て直ぐに理研の研究室に入り、後年ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎氏は、自著で『科学者の自由な楽園』について、次のように振り返っているという;

  • 『入ってみて驚いたのは、まことに自由な雰囲気である。これは必ずしもひとり仁科研究室ばかりでなく、理研全体がそうなのだが、実に何もかものびのびしている』
  • 『人間にとって、形式的な義務がないということが、かえってどんなに能率を高めるかという、一つの実験みたいなものである』

ただ、現実と理想とはギャップがある;

  • 物理系対化学系、東大系対非東大系の学閥対立
  • 組織の巨大化
  • 研究領域の拡大
  • 組織運営の硬直化
  • ガバナンスの不徹底

など、個々の研究者以外の組織的な課題も多い。元の理研精神を再度復権させる必要があるのではないかと、志村氏は指摘する。buildinghappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行を読む:復権する伝統品・手仕事」から

2014.10.24   日経産業新聞の記事「流行を読む:復権する伝統品・手仕事」から

生活者の心に訴える商品

コ ラムの著者 栗坂 秀夫氏(パシフィックデザインアソシエーツ代表)は、鍛冶技術の最新事情について触れ、社会の成熟とともに無機的なはずの金属から作者の気持ちが伝わるような商品への訴求について語る。

○『一点もの』へのこだわり

私たちは、日常生活で使うほとんどが量産品で安いコストで便利な生活を享受しているが、他人と違うものを持ちたいという欲求があるのも事実である。こういった中で、日本の伝統や工芸品、手仕事などに引かれる人も増えているという。

その一つが鍛冶で、鉄などの金属を加熱して軟らかくし、金槌などで成形するものである。かつては日本刀を始め、鍬や鋤、鎌などの農機具、包丁や鉈などを製造していた。ところが、日本刀を除きそのほとんどが機械で大量生産されるようになった。鍛冶技術の継承も難しいのが現実だという。

ところが最近、門扉やガーデン関係の金物、椅子といった建築で活用される鍛冶技術による商品が人気だという。鍛冶の技術では、それ単体だけでなく、鍛造、溶接、曲げ、切削、リベット止め、穿孔作業など多種多様な技術が使われる。そこに、自分の好みや一点ものへのこだわりが実現する。量産品ではなく、ひとつひとつ人間の手で作られたものだけに、無機質な金属にも制作者の気持ちが伝わって来るようだと好評だ。

コトラーではないが、そこに夢と自己実現への欲求を満たしたいという需要があるのかもしれない。doorhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:空前の荷動き、海運浮かばず」から

2014. 10.23  日経産業新聞の記事「眼光紙背:空前の荷動き、海運浮かばず」から

過去の栄光を海運会社がとらわれ続けるか?

コラムの著者は、コンテナ船のの過去最高の貨物量に対して追い風を活かしきれていない海運業界について触れている。

○花形コンテナ船部門をどう改革するか

米国の景気回復は流通、とりわけ日本など東アジア18カ国・地域から米国にコンテナ船で運ばれた貨物は1から8月累計で前年同期比5.6%増の約960万TEUで金融危機前年の2007年の過去最高記録を上回る勢いであると言う。

だが、コラムの著者によると、この順風も同業界ではうまく活かしきれていないという。川崎汽船は経常黒字であったが、商船三井、日本郵船も赤字である。要因は、北米や欧州航路は運賃引き上げはうまくいったが、新興国航路では競合船が増え、採算が悪化したという。

そこに内外の海運大手は大型船を軒並み就航させ高騰した燃料費を抑制する動きに出た。それが、反って供給過剰を起こしてしまった。

ここで、事業改革や整理を考えないと、欧州の景気回復といった不安定要素に左右されることになる。まだまだ浮上するには時間がかかりそうだ。shiphappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:顧客の修理依頼に着目」から

2014.10.23   日経産業新聞の記事「西川英彦の目:顧客の修理依頼に着目」から

修理は大きな新商品へのヒント

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、カシオ計算機の電子辞書『エクスワード』を例に修理依頼の主原因を克服する事で、売上に貢献、業界のリードができたことを語っている。

○設計標準まで変えた高校生たち

同社は堅牢設計『TAFCOT(タフコット)』をもとにシェアを拡大、半数を超えた人気商品である。その由来は、設計変更を従来機から行った後にサービス部門から従来機に比べて高校生モデルの修理依頼が増えている原因調査から始まったという。

多くが「使おうと思ったら、液晶ディスプレイが割れていた」というもの。高校生だけの修理依頼に、大学生や社会人とは違った特殊な状況があると思われた。

そこで設計部門の責任者二人が通学スタイルやバッグの使い方を理解するために、修理依頼が多い駅周辺での高校生の行動を観察した。

結果、通学の自転車のかごに無造作に放り込み、駅ではバッグの上に腰をかけていることもわかった。どうも過酷な使われ方をしていることがわかり、品質規格を見直す必要が出てきた。

それが堅牢設計標準の誕生を促し、従来のサイズや重さをあまり変えずに標準規格を上回ることができ、返品率は2割減少、売上にも大きく貢献したという。

顧客や利用シーンなどで属性別の修理や返品率を見ればそこにビジネスチャンスがある。顧客データといえばビッグデータと思いがちだが、身近なデータの分析も重要だ。bookhappy01