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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:宝塚にみるスターの育て方」から

2014. 6.18  日経産業新聞の記事「眼光紙背:宝塚にみるスターの育て方」から

スターを生むには王道なし

コラムの著者は、宝塚歌劇団特別顧問、植田紳璽氏のインタビュー本を読んだが、スターを生む道は今も昔も難問だったようだ。

○今年100周年迎えた宝塚歌劇団

東京の劇場も宝塚の劇場も満員状態で、日本で一番成功した歌劇団である。その成功の秘密をコラムの著者は探っている。

  • 歌劇そのものの魅力の他、優れた演出家を育てたこと
  • 舞台で映えるスターをうみだし、引き立てこと

これによって、『ベルサイユのばら』をはじめ興行の成功が、さらにファン層を広げ、娯楽が多様化する中で、揺るぎない基盤を築いた。

どうやって観客に認められるスターの卵を見出すのか。植田氏は、インタビューで、『難しい、難しい』を繰り返してきたという。そこには、決まった方法などはなく、ひたすら、スターを生むことを努力するという。難問解決には、王道はないようだ。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究所の運営、温かく人材育てる方法も」から

2014.6.17  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究所の運営、温かく人材育てる方法も」から

使える研究者重視か、人材を育てる研究所か

コラムの著者 新田 義孝氏(四日市大学)が取り上げるのは、研究所である。企業内も含めて多くの研究所が研究室制度から部門制に変わり、成果主義がとられるようになってきた。そこには結果主義か人材育成主義かを問われる日本の研究所の姿がある。

○20年前の制度改革

研究室制度では、

  • 優秀な部下の邪魔をするな
  • 出来の悪い部下には1つの技能で良いから仕事が出来るように育てろ

が合言葉であり、室長は研究所の管理職への登竜門であった。

部門制度では、

  • 論文数、製品開発のヒット数など形になる成果が重んじられた
  • できる研究員を集めて研究グループをつくった。

といった成果主義となった。

大学院の博士課程でも同じ方針があった。新田氏は、どちらに対して甲乙をつけるのではなく、それが各研究所の個性であり、大事なことは、温かく育てることだという。この部分が日本の研究所の課題であろう。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:教科書の魅力、構築した体系に出る個性」から

2014.6.13  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:教科書の魅力、構築した体系に出る個性」から

若い才能を育てるには魅力ある教科書が必要

コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)が取り上げるのは大学・大学院で使う教科書の作成についてである。

○教科書は論文作成よりも軽視されてきた

教科書の理想は、

  • 発展し続ける先端分野の方向性の視野が開かれる
  • 対象領域での定説と重要とされる知見が網羅される

ことが必要と、山﨑教授は指摘する。著者を通じて深い見識により専門分野の動的な全体像がつかめることが重要だという。

しかし、講義をする側から見れば、教育と研究、特に論文作成に時間がとられる時期には、教科書を書く時間がなかなか取れないという現実があるという。現役を退く時期になると、分野全体が俯瞰できるので、時間をもって著作には向くが、授業自体の時間が減り、教科書の必要性がなくなってくる。

才能ある若者を集め、優れた専門家を育てるには、専門領域を発展させる教科書は無視できない。世の中が教科書の電子化に進んでも、著作者の思いを込めた教科書作りはかなり困難な作業であろう。bookhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行を読む:若年層のスマホ利用意識」から

2014.6.13   日経産業新聞の記事「流行を読む:若年層のスマホ利用意識」から

スマホが招いたリアルとバーチャルの逆転意識

コラムの著者 奥 律哉氏(電通総研 研究主席兼メディアイノベーション研究部長)が指摘するのは、携帯電話とスマートフォンを使う場合の利用者、特に若年層の意識の違いである。

○利用感の相違

 奥氏によると、家族や友人、知人とのコミュニケーションの方法が大きく変化しているという。従来の携帯電話では、メールや音声通話が連絡の一般方法だった。ところがスマホの台頭とSNSの普及で、連絡する相手によって、方法を選ぶことができ、知らず知らずに区別するようになってきている。

 ここでの意識変化は、のぞき見防止のシールを例にとるとわかる。従来の携帯電話が全盛の時代は、他人からのぞき込まれないようにシールを貼った。さらに、他人にのぞかれないようにメールを打っていた。ところが、今は状況は逆転。シールを貼る人も少ないという。

 それは、連絡先の変化にある。メールでやり取りする相手は、あくまでも従来はバーチャル(つまりその場にいない)で、入力しているときがリアルな空間という意識が主流であった。だからのぞき見が気になった。

 スマホの利用シーンでは、リアルな空間は、友人とのつながりが詰まったスマホの中にいるという感覚である。逆に、電車の中などは他人で知らない人ばかりのバーチャルな空間となった。だからのぞき見も気にならないという。極端に言えば何をしていても他人の視線が気にならない。スマホの中にこそ、リアルなつながりがあると錯覚し、リアルとバーチャルの感覚が逆転しているという。

 通勤電車の中のメイクや飲食も理由がこのあたりにありそうだ。phonetohappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から

2014.6.12   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:エピソード記憶」から

認知科学を応用したマーケティング

コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、認知科学による記憶をマーケティングに生かす試みに触れている。

○記憶は「意味記憶」と「エピソード記憶」

マーケティングで人間の記憶を使い、自社の製品やサービスを消費者の記憶に深く刻もうという試みである。

【意味記憶】

  • 東京ディズニーランド:シンボルはシンデレラ城、オリエンタルランドが運営、千葉県浦安市に所在

で万人共通である。

【エピソード記憶】

  • 東京ディズニーランド:去年のクリスマスに彼女といった

などで、意味記憶に時間的・空間的まタグがついたものである。その特徴は

①体験時の感情とセットで記憶される

②意味記憶と異なり、各人で異なる

③各人がどのようなエピソード記憶を持ったか企業にはわからない

の3点だ。さらに、これは3つのタイプ、①既存、②新規、③他者に分けられるという。

○エピソード記憶のマーケティングへの応用

これらをマーケティングに応用してみる。

  • 既存エピソード・ブランディング:消費者がすでに持っている既存のエピソードを使うもの。
    • 昭和レトロな街を作って成功した大分県豊後高田市
  • 新規エピソード・ブランディング:消費者に新しくエピソードを創ってもらうもの。
    • サービス業や小売業で有効で、レストランの誕生日サービス、鉄道のスタンプラリーなど
    • メーカーでのフォトコンテストやビデオ大賞など
    • ブランドの愛着を高める手段
  • 他者エピソード:第三者のエピソードを用いるもの。
    • 静岡県伊豆市の『恋人岬』:訪れたカップルの思いが感じられ、その鐘の価値は上がる。
    • SNSなども他者エピソードである。

三浦教授は、他者エピソードの利用が今後のマーケティングのカギになるのではないかと予想している。sign02happy01sign01