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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:物質欲にとらわれない人生観」から

2013.9.3   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:物質欲にとらわれない人生観」から

国際色豊かな学生討議から

コラムの著者 新田義孝氏(四日市大学)は、自らも司会を務めた各国の大学、高校学生たちを交えたセミナーからの気付きを伝えている。

○米心理学者マズローの欲求5段階説でみる100年後

セミナーのテーマは、「100年後の人々が我々と同じ水準の物質生活を営むことに何が必要か」というもの。

  • 途上国の学生:省エネ、省資源、リサイクルなどの技術を祖国に導入することを前提に教育の普及が必要
  • 米国の学生:高級自動車など高価なものをもつことがステータスという価値観から抜け出すことが大切

新田氏は、マズローの欲求の5段階説で最終的に到達されるという心の充足、つまり、自己実現が100年後の重要であるのではないかと示唆している。SNS等の普及で自己実現も目指しやすくなった。ある意味でネット社会はマズローの説を検証するかもしれない。多くの人が物質欲に魅力を感じない人生を求めれば、結果的に大幅な省エネ・省資源社会が実現できるという。

○持続可能な社会を支える技術

さらに新田氏は、自己実現を目指す社会を支えるには、

  • 蓄熱能力が水の100倍の材料
  • 安全安心な原子力エネルギー技術
  • 1ヘクタール当たり8トン程度の収量が可能な農業技術
  • 鉄散布による豊かな漁場づくり
  • 小説・絵画、演劇など素人が進出できる技術

など多くのアイデアがあるという。自己実現に対して現代社会はどう向きあおうとしているのかhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:アウラという魔術」から

2013. 9.2  日経産業新聞の記事「眼光紙背:アウラという魔術」から

複製商品も礼賛?

コラムの著者は、ドイツの文化評論家ヴァルター・ベンジャミンの打ち出した「アウラ」という概念を取り上げ、現代の製品に向けた「礼拝価値」について語っている。

○アウラという概念

 Wikipediaによると、アウラとは、

ベンヤミンは優れた芸術作品を前にして人が経験するであろう畏怖や崇敬の感覚を指して「アウラ」という語を用いた。従ってアウラは原始的・封建的・ブル ジョワ的な権力構造や、さらには魔術や(宗教的または世俗的な)儀式と芸術との伝統的な結び付きを示すものである。 「世界史において初めて、機械的な複製は芸術作品を儀式への寄生的な依存から解き放った」とベンヤミンは書いた。

という。

 コラムの著者が機械式自動巻き時計の歯車の動きなどにアウラを感じるという。デジタル時計にはない、独特の味わいがあるという。対比的に、絵画などは「いま、ここ」にしかないという、魔術にも通じる礼拝価値があるという。

 考えてみれば、機械式自動巻き時計も工業製品であり、オリジナルが1つしかない美術品ではない。にもかかわらず、それに感じる独特の魅力はアウラに似ているという。

○芸術品から大衆化時代へ

 その背景に、写真や映画などの複製技術による製品が、やがて芸術品に代わって複製品が歓迎され、工業化を切り開いた。さらに、今や複製品は世の中にあふれかえり、デジタル化はさらに加速を促している。

 過剰な複製技術時代に生きている現代人にとって、逆に複製品にアウラを見出すことが楽しみになっているののではないかという。米アップル社の商品にアウラを加えたのはスティーブ・ジョブスであり、正に魔術であったともいえる。今やその魔術も消えてきているのだろうか?watch


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ゲーテの発明観、けん引力は『時代精神』」から

2013.8.30   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ゲーテの発明観、けん引力は『時代精神』」から

時代の進むべき方向や要請を判断して役立つ

コラムの著者 志村幸雄氏(技術評論家)は、「ファウスト」を著し自然科学者としても一流だったゲーテの発明に対する視点について語っている。

○『発見には幸運が、発明には精神が必要である』

18世紀のドイツ文豪ゲーテは、志村氏が言うように、当時の最先端技術に強い関心を持っていた。そんなゲーテにとって、発明・発見が重要な関心ごとであったのは理解できる。

発見の必要条件に幸運を挙げたのは、発見の動機となる「ヒラメキ」と多くの発見が予想外の幸運によることに持たされたことを指しているという。

一方、発明は、地道な努力が重要であることを示し、ここでいう精神を志村氏は、『時代精神』を含んでいるという。

時代精神とは、発明者が時代の要請を的確に受け止め、それによって得られた果実を時代の転換や利用者の受益に直接役立てることだという。時代精神が発明のけん引力となって、生まれた発明が、あたらな時代の涵養に役立つと言った正帰還が生まれることが重要だという。

○ゲーテの功績

ゲーテはイエーナ大学付属天文台の監督官に就任するとすぐに、厳しい国家財政に鑑みて英国からの光学機器の購入を断念して、光学レンズの独自開発を宮廷技師に命じている。いわゆる内製化である。実は、この技師の弟子ツァイスがドイツ屈指の光学メーカー、カール・ツァイス社を設立することになる。

イノベーション主導の技術開発には時代精神の要請が今も昔も重要である。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:恐るべき『ネスカフェ』ブランド」から

2013. 8.30  日経産業新聞の記事「眼光紙背:恐るべき『ネスカフェ』ブランド」から

常に新しい何かに挑戦しなければブランドは輝き続けない

コラムの著者は、年間およそ480億杯のコーヒーを飲む日本人で、このほぼ4分の1を「ネスカフェ」を供給する強力なブランドを持つネスレについて言及している。

○導入されて半世紀を超える「ネスカフェ」

このようなブランドでは一般的にブランド価値が低下するのに、ネスレでは、過去3年間で10億杯にあたる新規需要を創出して今も成長を続けているという。新規顧客は、家庭に続き、オフィスの需要である。新規の抽出器を開発して「飲まれる場所」を拡げ、1年足らずで導入したオフィスが6万を超えるという。

ここに同社のブランドの輝きの基本は新たな挑戦の中にあると社長の高岡浩三氏も語ったという。cafe


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:グーグルゾン、世界にリスク」から

2013. 8.29  日経産業新聞の記事「眼光紙背:グーグルゾン、世界にリスク」から

グーグル+アマゾンが同時停止したら

コラムの著者は、10年前にネット業界で話題になったグーグルゾン(グーグルとアマゾンが合併したらという仮説の造語)が世界に与えているリスクについて語っている。

○グーグルゾンに依存するネット社会

今や合併ではないが、強力な検索機能とEC基盤でネット社会のインフラとなっている両社。そこで事故が起こらないとも限らない。コラムの著者が指摘しているように、8月17日にグーグルのサービスが数分間停止した。関連しているユーチューブなどのサービスに影響し、世界のネット情報量が40%減少したという。一方、アマゾンも昨年のクリスマス時期に起きた大障害で、同社のサービスだけでなく、同社の運営するクラウドを利用している企業にも連鎖的にサービスを停止している。

ある調査によれば、北米では、ネット端末の60%がグーグルにアクセスし、ネットの全通信量の25%がグーグルが占めているという。また、別の調査では、急拡大のクラウド市場でアマゾンは毎年50%の成長を続けており、市場の25%を占めているという。

となると両社のシステムが同時にダウンしたらどうなるのか。ネット社会だけでなくリアルの社会でも甚大な影響がでるだろう。世界の通信量の半分以上がダウンし、巨大地震と同様なリスクを現代社会は抱えている。mobilephonehappy01