【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:LED電球、消費者の使い勝手追求を」から
2012/06/25
2012.6.21 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:LED電球、消費者の使い勝手追求を」から
使い勝手も機能の1つ
コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)が語るのは、エコ対策で白熱電球の製造・販売に対しての環境省と経済産業省の自粛要請についてメーカーが取った対応の違いから、マーケティングの意義を解説している。
【東日本大震災前から検討されていた省エネ電球への転換】
照明機器メーカーや販売店、消費者が参加する「省エネあかりフォーラム」(同フォーラムの「あかり未来計画」キックオフ会合(▶参考)の資料▶参考)で環境省、経済産業省が6月13日、白熱電球から発光ダイオード(LED)電球や電球型蛍光灯など省エネ性能の優れた製品への切り替えを要請した。白熱電球の製造・販売に対して環境省と経済産業省による事実上の自粛要請である。
全エネルギーに対するエネルギー消費比率がオフォスでは約40%、家庭では13%という大きな割合を照明が占めている。これを省エネ性能の良いLED電球などに替えることにより80%の電力量削減になるという。
同フォーラムは2008年、省エネ電球への転換を協議する目的で経済産業省が呼びかけて出来た団体である。もともとは2012年を転換の目処としていたが、東日本大震災での東京電力福島第一原子力発電所の事故で、電力需給が逼迫する事態を避けるために、より目的が明確になり、予想された転換の自粛要請に対する抵抗が消え、すんなりと受け入れられたという。
【メーカー各社の視点の違い】
高岡教授が指摘するのは、各社メーカの視点の違いである。大手メーカーが製造するLED電球の中には、性能は高いものの、白熱電球と大きさが異なるモノがあって既存の照明器具には取り付けられないといったケースがあり、量販店では、商品購入後の交換の要求があるという。
そんな中で製造から販売・納品まで手掛け、家庭用プラスティック製品を手掛けるアイリスオーヤマの「エコルクス」は、パッケージに「一般白熱電球と同じ大きさだから器具を選ばない」と明記されているという。
「エコルクス」でアイリスオーヤマが消費者の視点で動けた背景には消費者の目線があった。製造から納品まで一貫して素早い対応ができ、消費者の目線を強みに変えた。他の大手メーカーは製品性能の向上には関心があるものの、消費者の目線で使い勝手という機能を置き去りした感がある。日本メーカの視点の弱点を高岡教授は、この消費者の目線の思考に弱い点にあると指摘している。