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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:サイエンスとセンス」から

2012.6.28   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:サイエンスとセンス」から

サイエンスで消費者を納得させるロジックを生み、センスで魅了するマジックが生まれる

コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、大学生に学んでほしいこととして通信教育のZ会が答えたことは「サイエンス」と「センス」であったところから、ヒット商品にも通じるところを指摘している。

【花王のサイエンス事例】

三浦教授によると、1996年に花王が販売した「ビオレ毛穴すっきりパック」は、花王のサイエンスのたまものだという。花王の「エコーシステム」という、年間14万件以上といわれる消費者の意見や相談、その対応をデータベース化した情報システムをもち、正に「サイエンス」である。このシステムを使って消費者の声を蓄積し、社内で共有する。「ビオレ毛穴すっきりパック」も、消費者の声に基づいて改善を繰り返し、ヒット商品の地位を不動にしたという。

ただ元花王社長の常盤文克氏は、サイエンスだけでは画期的な新商品は生まれにくいと語っていた。改善は出来ても革新のために別の方策が必要ということで、そこが「センス」であると見抜いていたという。

【ネーミングのセンス】

2002年大ヒットしたキリンビバレッジの「アミノサプリ」。競合他社が片仮名の組み合わせのネーミングを行った。そんな中、サントリーフーズは「燃焼系アミノ式」という漢字を組合わせ、アクロバティックな少女のCMで話題となって大ヒットした。まさに、センスである。

サイエンスとセンスは、物事をしっかりと分析する力と新しいクリエーティブなものを創る力であり、マーケティングの両輪だという。コラムにある早稲田ビジネススクールの山田英夫教授は、「ロジック」と「マジック」ということばで同じことを説明しているという。ロジックがなければ戦略は立てられないが、要求レベルを超えるのは難しい。そこにマジックが加わって、レベルを超えるという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「論語に学ぶ仕事術⑭:先人の経験、未来に生かす」から

2012.6.27  日経産業新聞の記事「論語に学ぶ仕事術⑭:先人の経験、未来に生かす」から

『子曰、温故而知新、可以為師矣。』 (論語 為政篇)
『子曰、述而不作、信而好古、窃比我於老彭。』(論語 述而篇)


【書き下し文】

  • 子曰(いわ)く、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以(も)って師となるべし。
  • 子曰く、述べて作らず、信じて古(いにしえ)を好む。窃か(ひそか)に我を老彭(ろうほう)に比す。

【コラムからの要約】

  • 孔子が、『古くから言い伝えられてきたことをよく学んで習熟し、その知恵で現実に対応する者は、指導者になる資格がある。』と語った。
  • 孔子が、『私は古人の道を伝えただけで自ら創作はしない。古くからの礼(社会の秩序を定めるもの)と楽(人心を感化するもの)の道を深く信じて心から好んでいる。そんな自分を密かに老彭になぞらえているのだ。』と語った。

コラムの筆者 岩淵勳氏(古河スカイ特別顧問)は、この論語の一節から、古典や歴史に学び、その中から知恵を得て、直面する問題の解決に適応する力をつけることについて説いている。

○温故知新の出所

これらの論語の一説は四字熟語の「温故知新」の出所である。

温は、冷えた食べ物をとろ火で温め直すこと。つまり、過去の事象や歴史に習熟し、そこからの知恵を習得して、その知恵をもって現実を認識し、新たなものを創りだす。それでこそ、指導者になれることだと、孔子は語っている。

この学ぶ対象は、昔から伝わってきた人の知恵の集積であり、創作は個人の恣意に陥りやすいので、孔子は、いにしえの文化の優れたところを信じて惚れ込んでいるとも語っている。

ビジネスの世界でも過去の経緯や歴史は無視して現在はないという。世界経済の潮流も歴史認識なしでは捉えられない。将来の動向を見据えつつ過去の経験や歴史もよく踏まえた上での判断では、安心感が出てくる。また、自分の地位が上がるほど、人との交流での教養、言葉遣い、態度が必要となる。そのために古典や歴史、経済史、経営史等に裏づけられた素養が求められる。一目置かれる存在になるだけでなく、信用を得るためにも必要な素養であるという。

○世の東西を問わず温故知新は生きている

【聖書】:「かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる。太陽の下、新しいものは何もない」(旧約聖書 コヘレトの言葉 1章9節)

【英国の思想家・サミュエル・スマイルズ『自助論』】「どんな国であれ、幾世代にわたる人々の思いや活動を経て、今日の姿に発展してきた。彼らの貢献によって偉大な成果が生み出され、しかもその成果は世代を超えて伝えられながらいっそう発展を遂げていく」(▶参考

歴史的にはいろんな出来事があったが、それに対応してきた人間の特性はあまりにも変わっていないともいえる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:分かりやすいコンテンツ作成を議論」から

2012.6.26   日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:分かりやすいコンテンツ作成を議論」から

技術情報を分かりやすく説明することと学習計画を立てることには共通点がある

分かりやすく技術情報を伝えるテクニカルコミュニケーションの米国団体、STC(The Society for Technical Communication)(▶参考)の年次総会「サミット’12」が5月20日〜23日に米国シカゴ・ローズモンドで開催され、コラムの著者 高橋慈子氏(テクニカルライター)が参加したことでの気付いたことを述べている。

○従来の紙から電子化へ

大きな変化がおこっている中で、本総会では、コンテンツを軸にした発表が多かったようだ。また、iPadで代表されるような多機能なテブレット端末やスマートフォンの普及にあわせて、分かりやすいコンテンツを、いかに効率よく作成するかという点で注目されている。

○人気の高いチュートリアルセッション(教育と訓練)

米国ではキャリアアップの1つとして、実演を織り交ぜたチュートリアル・セッションの参加者も多い。不況で業務に関わるコミュニティー活動が減少している反面、参加者はどん欲に情報をあつめ、人との出会いや議論もネットだけでなく、リアルでも活発におこなれたとのこと。

インストラクショナルデザイナー(学習効果を上げるための計画立案者)の発表で、高橋氏も参加して、技術情報を分かりやすく説明することと学習計画を立てることには共通点があるとの論議もあったようでうである。

日本も電子書籍元年と文芸書、ビジネス書が中核のような印象を受けるが、多くのマニュアル、学習書、テキストなどが実は、このようなコンテンツの構成、学習効果を考慮した議論も必要であろう。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:英の工学版ノーベル賞」から

2012.6.26   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:英の工学版ノーベル賞」から

スマート社会でどう具体化されるか

コラムの著者 志村幸雄氏(技術評論家)はこのたびイギリスの王立アカデミーが工学版のノーベル賞とも言うべき「クイーンエリザベス工学賞」を創設したことを称賛している。

○本家のノーベル賞との違い

この賞は、科学的発見や基礎研究の成果を受賞対象にしているノーベル賞とは異なり、あくまでも人類に顕著な利益をもたらした工学の分野の業績を対象にしている。

近年創設の他の国際賞としてフィンランドのミレニアム賞があるが、今回は直接英女王から授与される名誉と、賞金も100万ポンド(約1億2千万円)と世界最高水準である。

○クイーンエリザベス工学賞の意義

科学の世界では、古くから「科学純血主義」や「科学万能論」といった考えがあって、工学やそれに根ざした技術的成果は二次的なものにすぎないといった見方が多い。志村氏は、基礎研究の成果は実学的視点の応用研究や製品開発に結び付いてこそイノベーションとして完結し、社会の役に立つ。この点に本賞が脚光を当てることは称賛に値すると志村氏は言う。

今回の賞が、18世紀後半に産業革命を起こしたイギリスで創設された意義は大きいという。イギリスは産業革命後得た地位を「英国病」によって弱体化され、ドイツやフランスに譲ってしまう。この賞は、嘗ての地位の威信回復と見れないことはないとも言える。

日本人も含め工学者や研究開発者の業績に受賞の機会が生まれることは素晴らしい。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「エマージング市場攻略法②:組織・人材作りなぜ分断?」から

2012.6.22  日経産業新聞の記事「エマージング市場攻略法②:組織・人材作りなぜ分断?」から

人事と経営企画で共有する「経営目標」と「勝ちパターン」

コラムの著者 作左部孝哉氏(アクセンチュア・人材・組織マネジメントグループ シニア・プリンシパル)は、新興国進出などで組織体制を構築する際に、組織作りと人材育成がチグハグにならないことが成功への道だと説く。

【人事部門と経営企画部門の課題認識の格差を解消しなければ海外進出は不発となる】

作佐部氏が指摘するのは、両部門の認識格差である。

○人事部門の言い分:経営企画部門は人材の実態を踏まえず理想論だけで組織を描く

○経営企画部の言い分:人事部門は形だけグローバル幹部を育成して満足している

国内対象であれば、この認識格差は、お互いの状況を推察しての対応で可能であった。しかし、海外現地の場合は、そうもいかず、お互いの思いこみで動き、現実離れした構想となってしまい、失敗をする。

このような不幸なすれ違いをなくすためにも両部門に共通な言語を設定する必要があると、作佐部氏は語る。

共通言語とは、「経営目標」と「勝ちパターン」である。

【経営目標】

ここでの経営目標とは、全社としての目標数値ではなく、対象となる事業や地域レベルにまで落とし込んだレベルで共有化するものである。組織に万能はなく、人財に限りがあるのが現実。そこで事業や地域ごとに優先順位をつけることを作佐部氏は薦めている。そこで、人事部門と経営企画部門が、優先順位づけを共通認識として作業を行う。

【勝ちパターン】

自社が、マーケティング力で勝てているのか、商品開発力で勝てているのか、顧客接点のサービス力で勝てているのかといった勝ちパターンを具体化して、共通のイメージを持つことである。

【失敗から得た教訓】

大手企業の失敗事例から得た教訓は、「グローバル化とは、先進企業に解を求めるのではなく、また日本流をごり押しすることでもない。現地のニーズを起点に、自社の勝ちパターンをグローバル化することに他ならない。」という。グローバル先進企業に範を求めるのではなく、自社らしいところから勝ちパターンを構築することが肝要なようだ。happy01