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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「コスト削減『仕組み化のススメ③』」から

2011.12.8  日経産業新聞集の記事「コスト削減『仕組み化のススメ③』」から

業務の棚おろしで単純作業を割り出し対応

コラムの著者 A・T・カーニー プリンシパル 糸田哲氏が語るのは、業務効率を高めるために適正な人員数を考える場合、短期的に人員増減を行うのは困難である点を考えるところだ。

基本は糸田氏が指摘する、業務を「高度な判断が求められる業務」と「単純作業」に分けてみることである。(著者もメーカーに勤務していたころ『仕事バラシ』と称して週単位で一日の仕事を同様に分解してみたことがある)

例えば、この分解で、全体の3割が単純作業であることが分かれば、ピーク時が130%の仕事量だとすると、約3割の約40%が単純作業と考えられる。つまり、この時間を臨時スタッフに任せるといった解決法だ。最近は、アウトソーシングもITの発達で簡単に募集できるようになった。さらにコスト削減を考えるなら社内の人員にも注目したいと糸田氏は言う。具体的には『余剰工数の活用』だ。

一日8時間の勤務で、何らかの理由で時間をもてあましているマンパワー(工数)を余剰工数と考える。この考えでスムーズに仕事を回すためには、職場環境として、あまり専門的な部門単位でなく柔軟性を考えた規模が重要だという。小さな組織にすれば専門性は上がるが柔軟性が下がる。つまり、組織の壁が出来てしまい、折角の余剰工数を円滑に利用できない。

さらに糸田氏は、余剰工数の円滑活用から「多能工化」を考えるべきだという。多能工化とは、メーカーが行う組み立て作業で、一人ですべての工程をこなす「セル型生産方式」のイメージに近く、単純な仕事だけでなく、他の人が担当している複雑な仕事をこなせる能力を養うことである。さらに業務のローテーションも重要であるともいう。目先の効率は下がるかもしれないが、人財の多様性と業務効率の向上が中期的にえることができる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:電子楽譜のアプリ」から

2011.12.7   日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:電子楽譜のアプリ」から

音楽大国日本のクロスオーバー人財が生む新境地

コラムの著者でマーケットプランナーの面川真喜子氏が紹介するのは、IT業界のプラスアド代表取締役でありピアノ演奏者でもある、クロスオーバー人財「小池宏幸氏」の話題である。

面川氏によると、日本は、ヤマハ系音楽教室4300か所、50万人が在籍し、同音楽教室の卒業生は500万人を超える。そこに、プラスアドの小池社長が開発したのは、ピアスコアというiPad用のアプリである。ピアスコアは、電子書籍の楽譜版で、音が出せたり、メトロノーム機能が付いたり、演奏家視点のソフトである。

すでに、ピアスコアは、2万件のダウンロード数を越え、世界の楽譜系アプリでもトップ5に入っているという。ソーシャルメディアと携帯端末の登場で、個人の力量を広く発信できるようになったと、面川氏は語る。まさに、小池氏のようなエンジニアと演奏家視点と技量をもった人財にIT化が火をつけた格好だ。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑥」から

2011.12.7 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑥」から

権限委譲は現場の自律育む風土が土台

コラムの著者 キヤノン電子社長 酒巻氏が語っているのは、自社の東日本大震災の対応事例に「権限委譲」と「人財育成」について示唆を与えている。

同社で酒巻社長は3月11日直後の緊急対策会議で、役員から「私が現場の陣頭指揮を執ります」という申し出があったそうだが、現場を良く知らない人間が非常時だからといって迅速で適切な判断ができるかというのは反って混乱をきたすことから、「工場長に社長の権限を委譲します」といったそうだ。ただし、報告義務だけを条件として。

結果、すべてうまくいった。実は酒巻社長は、阪神大震災の時に、現場の長として前社長から全権限を委譲された経験があったからだ。権限委譲で、予算と人員などを自由に采配できたことから、震災当夜には被災地の取引先に向けて救援物資と義捐金を積んだ車と船を送りだし、すぐさま部品の調達が可能となったとのこと。このため、他社よも速く部品の確保ができ、工場を止めずに済んだという。

この経験で、今回の震災でも、「現場を良く知っているのは現場」と考え、躊躇なく権限移譲が出来たという。

酒巻社長が示唆する権限委譲の本質:

  • トップ(上位者)が達成すべき業務の目的や目標を明確に示す
  • それを実現する方法は部下の判断に任せる
  • 権限を委譲する側、される側双方の環境整備が必要。
    • 委譲する側:権限を中途半端に委譲して抱え込むことを避け「丸投げ」して結果責任を放棄しない
    • 委譲される側:担えるだけの力量があること。具体的な指示や解決策を与えるのではなく、自分で課題を見つけ、足りない技量や能力を伸ばせる環境を日頃から用意し、結果を出せば評価すること。
    • 両者が事前に調整できること

【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:寮生活で自分を磨く」から

2011.12.6  日経産業新聞の「TechnoOnline:寮生活で自分を磨く」」より

大いに語らい視野広く

コラムの著者 東京工科大学教授 佐々木聰氏は、学生の視野の広さが、自分の経験から学生寮という共同生活で培われたものであり、今の学生にはその機会すら失っているのではないかと指摘する。

男子大学生・院生が相部屋で暮らし、バス・トイレ・流し・洗濯機は共同、部屋は6畳でエアコンなし。それが当時の学生寮だという。(筆者も、メーカーの独身寮にいたが、待遇は同じであった。happy01 そんな環境であるからこそ、談話室で大いに自分の哲学を語り、行動で示しているモノは尊敬され信頼を得ていた。否が応でも、寮生同士が話し合いながら暮さないと生活できない状況でもあった。コミュニケーション能力が鍛えられたという。

こういったコミュニケーションが研究に必要な視野の広さを与えたが、今は学生自身がこのような環境に入るすべがないかもしれない。佐々木氏は、未曽有の難局にある日本の学生が、大人の用意した既成の生き方から脱却して徹底的に自己を磨いてほしいと希望する。過去に帰ることはできなくても、アプローチが他にあろう。coldsweats01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:自由こそ技術革新の母」から

2011.12.5  日経産業新聞の記事「眼光紙背:自由こそ技術革新の母」から

創発的な発想や行動に緻密な研究開発体制は必要か

コラムの著者は、企業の研究開発で成果に結びついたものから、今の精緻な研究開発体制に疑問を投げかけている。コラムの著者が聞いたのは、デンソーの開発担当者の成功事例である。

  • 電力業界と10年前に共同開発した二酸化炭素を冷媒に使う”エコキュート”

自然冷媒技術に興味を抱いたカーエアコンのエンジニアがノルウェー工科大学の教授にコンタクトしたのが契機。

  • 自動車エンジン用のレーザー点火プラグ

自らの専門とは無関係なレーザー技術に注目したエンジニアが、分子科学研究所の研究者のもとで修行をおこなったこと

ともに、開発者の上司が、専門外の研究を認めるなど「本人のやり対応にやらせた」結果が成功に結び付いたという。研究開発の効率化が強調される中で、研究開発体制には熱心だが、肝心の創発的な発想を生む、柔軟性や自由度が必要であるのも事実である。緻密な体制はあればよいが、発想の妨げになったのでは、本末転倒であろう。happy01