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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「ネットのチカラ、第6部震災が変えた(中)」から

2011.4.27  日経産業新聞の記事「ネットのチカラ、第6部震災が変えた(中)」から

震災の知のボランティアをソーシャルメディアが支える

コラムは、1995年に発生した阪神・淡路大震災とは異なり、成熟したネットは、ボランティア活動に世界中の様々な才能を瞬時に集める力を発揮し、変革をもたらしたと解説。

マイクロソフトが軸となり技術者がネットで協力して立ち上げたsinsai.info(震災インフォ)(▶参考)や震災関連の情報共有サイト「助け合いジャパン」(▶参考)はボランティア活動にまさに役立つ情報として使われているという。旧来型のボランティアを最新のITで支援する。また、被災地にPCがあれば、その入力を通して被災者が収入を得る代行サービスを行っている企業も出てきた。避難所に専用PCを設置して仕事のできる体制だ。

ただ、一方で手軽な発信が、誤解やデマを生むことも否めないという。ツイッターの日本代理を行うデジタルガレージの佐々木智也氏(彼と著者は知己)が語る。「ツイッターには流れたデマを他の人々が検証し、正しくないと指摘する『自浄作用』が備わっている。新サービス(Jガバメントonツイナビ)▶参考」、本物と確認できたアカウントを紹介するサービス)でその作用をより強くしたい。」

被災者に宛てた各国からの激励を集めた「prayforjapna.jp」(▶参考)は、日本を励ます言葉に共感が集まり、地震発生から2日間で世界の300万人が閲覧。25日には書籍版も刊行された。印税は全額復興のために寄付される。

大震災はネットの持つ可能性と課題を我々に示した。今度はこれをどう活かすかがネットの未来でもある。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「ネットのチカラ、第6部震災が変えた(上)」から

2011.4.26 日経産業新聞の記事「ネットのチカラ、第6部震災が変えた(上)」から

インターネットがライフラインになった3.11

コラムでは、震災に対するIT企業の現場の好判断と連携、情報公開の重要性を伝えている。ネット黎明期の阪神淡路大震災とは異なり、最前線の実情をすぐに共有し、必要な情報を発信する力をインターネットが持った。

ホンダの専用会員サービス「インターナビ・プレミアムクラブ」。走行した車の位置情報等を集約しナビの地図上に表示するサービスだ。3月11日、コラムによるとホンダのカーナビゲーションシステム事業担当インターネット事業室室長の今井武さんは、この未曽有の大震災に対して、専用サービスではなくウェブによる公開配信を決断した。通常ならありえない判断だが、情報の重要性は、競合他社にも理解され、14日には米グーグルの「グーグルマップ」上に被災者向け情報を提供。他社もこれに同意して統合した。被災地に向かう緊急自動車や輸送車は通可能な道を現場にいることなく分かることができた。

ウェザーニュースもサーバーの継続保守を守り、有料会員の投稿制限も解除して公開。11日の内に非会員でも震災専用サイトが閲覧できるようになった。被災地のわずかな接続時間での投稿で、素早い救援活動にもつながった。

検索大手のヤフーでは、サイトの更新を継続するために24時間のシフト体制で管理した。災害情報、募金、避難地域マップ、節電ノウハウなど、必要な情報はどんどん補充していった。閲覧回数は同社の過去最高であったという。

ネットの力は義捐金集めにも功を奏し、音楽業界でもレーベルの壁を越えて、Song for Japanや邦楽アーティストによるインターネット配信など一気に進んだ。

ネットは、大震災に情報のライフラインを提供し、支援の輪も強固に作り上げた。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「哲学で拓くBIZテク⑫:レヴィ=ストロースの情報分析術」から

2011.4.26 日経産業新聞の記事「哲学で拓くBIZテク⑫:レヴィ=ストロースの情報分析術」から

類似現象から「構造」を見出し全体像を描く

コラムでは、フランスの哲学者レヴィ=ストロース(▶ 参考)を紹介している。レヴィ=ストロースで有名なのが構造主義である。構造主義とは、物事の構造に着目して物事の本質に迫ろうという思想的立場である。

レヴィ=ストロースが発見した重要性は、目に見える部分的なものではなく、物事の全体を構造として捉える考えだ。

レヴィ=ストロースの発見事例に、交叉いとこ婚の研究がある。コラムによると、この結婚方式は、男性とその母方の交叉いとこの女性を結婚させる風習である。この風習が未開の部族に見られることから先入観で、時代遅れの考えと考えがちである。ところが、レヴィ=ストロースは、この結婚システムの全体構造を分析した結果、異なる家族集団間で人の交換が絶えることなく行われ部族の存続が図れるという発見であった。

一見未開だと思われた習慣は、実が高度なシステムを形成している。これは、全体の構造に視点を持っていったことによる発見であった。

さらにレヴィ=ストロースは各国に伝わる神話を比較する中で、ある神話が別の神話の「変換」によって説明できることも発見する。2つの神話が一見無関係である場合も、でてくる要素を入れ替えることで、同じ構造が成り立つという。この「変換」こそが構造主義の重要な点である。

『構造とは、要素と要素間の関係となる全体であって、この関係は、一連の変換過程を通じて不変の特性を有する』とレヴィ=ストロースは説明した。 構成する要素もその関係性も変化しているにも関わらず、そこにある種の普遍的な特性があれば、それを構造とよぼうというのだ。

我々も普段あの出来事は同じだとか、あの事件に似ているという経験があるが、そこは共通な構造や規則性があることに気づく。このとき共通な類似な現象を比較することで、変換関係を見出し、全体の仕組みを分析できることを示している。

現代社会は日々複雑になり情報はあふれている。表面的な出来事や目の前の情報に踊らされないで、ビジネススキームや社会全体の動きを捉えて、似たような話が別の世界にないかを検討すると、構造が浮かび上がるという。それが今起こっている本質を考えるべきだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:キリンフリー」から

2011.4.21 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:キリンフリー」から

社会問題を自社製品で取り組み市場を創る新しいマーケティング

コラムの著者 法政大学経営学部教授 西川英彦氏は、キリンの取り組んだアルコール0%のビール風飲料「キリンフリー」のマーケティングが目新しいという。

利潤追求が前提となる企業が、継続的に社会貢献に取り組む好事例としてあげている。つまり、自社製品を社会貢献に役立つモノやコトとして利用してもらう新しいマーケティングだ。

キリンフリーは、飲酒運転が社会問題となった2007年に開発が始まった。既に、ビール風飲料はあったが、生産工程でアルコール分を含んでしまう。キリンは、この困難を自社の麦汁製造技術と香味調合技術を駆使して解決した。さらに、飲酒運転撲滅への運動にも積極的に参加。2009年9月の日本自動車連盟(JAF)や日本交通安全協会が推進するハンドルキーパー運動推進への協力を行った。

キリンフリーは、発売から2か月足らずで当初の年間販売目標を越え、ビール風飲料では過去に例のないヒットとなる。自社だけで価値を大きくするのではなく、社会貢献活動を通じて関係者を巻き込みながら価値を共創していく新しいスタイルだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:蘇るアインシュタインの遺言」から

2011.4.25 日経産業新聞の記事「眼光紙背:蘇るアインシュタインの遺言」から

自分が生み、育てた科学技術は世のため人のためになっているだろうか

コラムでは、1955年4月18日に永眠した物理学者アインシュタインが他界する前に英哲学者ラッセルと宣言した「ラッセル=アインシュタイン宣言」(▶ 参考)について触れている。ウィキペディアによると、同宣言は、

当時の第一級の科学者ら11人によって、米ソの水爆実験競争という世界情勢に対して提示された核兵器廃絶・科学技術の平和利用を訴えた宣言文

としている。(▶ 宣言の参考) 今回の震災は戦争ではない。しかし、先端技術の平和利用においても、適正な使い方を行っている間は「創造」ができ、住みやすい社会をもたらしてくれる。一方、使い方を誤れば、生活や健康を「破壊」する両刃の剣である。

自然が想定を越えることはしばしばあり、人類はこれを黙殺しているわけではない。ただ、利用に対して、自らの技術やスキルと自然の脅威について真に、技術的なレベルを過信せずに評価してきただろうか?ラッセル卿とアインシュタイン博士が生きていたらどう評価しただろうか?