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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:苦悩する電子立国日本、ベテランの経験、継承を」から

2012.9.25   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:苦悩する電子立国日本、ベテランの経験、継承を」から

若い世代の創意、やる気を育み、ノウハウを継承できるベテランの労働環境の整備を

コラムの著者 内田裕久氏(東海大学工学部教授)は、シャープやパナソニックが独創的な家電製品を生み成長する中で、いつしか没個性の安価だけが売り物の世界になってきたのは、多くのベテランの経験や技術の継承できなかった点にあるのではないかと指摘する。

  • シャープの創業者、早川徳次氏の「誠意と創意」

 同社は、今年9月15日で100年企業の仲間入りを果たした。創業者の早川氏は、ベルト用バックルを加工する金属加工業からスタートし、独創的なシャープペンシル、電卓、国産初のラジオ、テレビなど、創意と工夫で多種多様な製品を開発してきた。そこには、利用者に対する「誠意」もある。

同業のパナソニックも電球ソケットからスタートして、自転車用ランプ、ソニーはポケットラジオ、テープレコーダーとユニークな製品を、狭い日本で次々と開発し、競争しながら、安くて高品質な製品を市場に供給してきた。

しかし、新興国の技術を学ぶ力は凄まじく、日本企業のベテラン技術者の経験やノウハウを貪欲に吸収し、今や日本に追いつき、追い越す時代となってきた。このベテランの受け皿となる仕組みや環境を組織的に構築しないと、益々国際競争力は低下すると、内田教授は危惧している。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「実践!ワークライフバランス(WLB)経営⑥:ワーカホリックな上司には・・・」から

2012.9.25  日経産業新聞の記事「実践!ワークライフバランス(WLB)経営⑥:ワーカホリックな上司には・・・」から

説得より気付き有効

コラムの筆者 渥美由喜氏(東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)は、前回から話題にしているWLB経営の抵抗勢力「粘土層」でも特に「永久凍土」のような極めて変化を拒む人への対処法について述べている。

○モーレツ部長の事例

渥美氏が、A社の全社的WLBのプロジェクトのアドバイザーとして参加したときの事例である。

  • 「永久凍土」たるモーレツB部長のプロフィール
    • 社内でもやり手
    • 座右の銘は「適者生存」
    • 執務机で死ねたら本望
  • B部長の部署
    • 滅びの美学で部署の売り上げは右肩上がり
    • 部下たちの職場満足度は右肩下がり
    • ワーキングマーザーのストレス度は危険領域寸前

これに対して、B部長にA社の尊敬する会長から歩数計を渡され、「君のような優秀な社員には長く活躍してもらいたい。それには持続可能な働き方が必要だ。この歩数計を使って健康に留意し、ますます活躍しなさい」と話した。B部長は「会長が私の健康を気遣ってくださった」と大感激。以来、早く帰ってウォーキングするようになり、1年後、B部長は健康であるばかりでなく、散歩の途中で他社の社長と知り合いになり、大口取引までまとめたという。一方で、部下にも持続可能な働き方が大切だと語り、早く帰れるようになった部下たちのストレス度は大きく改善された。

ライフとは「仕事をしない時間」と否定的な捉え方をしていたB部長にも、会長の言葉をきっかけに「健康にプラス、愛犬家ネットワークが営業実績にもプラス、部下のマネジメントにもプラス」という、気付きの連鎖が起こったという。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:進まぬ議論で失われるもの」から

2012.9.21   日経産業新聞の記事「眼光紙背:進まぬ議論で失われるもの」から

拙速な議論は避け、時間の浪費もしないバランス感覚のある議論が国際社会には必要

コラムの筆者は、2003年に米国で発生したBSEの、その後の論議が遅々として進まず、漸く米国やカナダ産の牛肉輸入規制を月齢20カ月から30カ月に緩和する方向が固まったという。

○結果として発生から10年以上もかかった結論

コラムの著者が指摘するように、確かに国の食品衛生や安全の重要な議論に拙速な議論は避けるべきだが、結論を出すまでの時間が発生から10年も経過したのでは、この間の食品業界へのダメージは大きい。コラムの著者が言うように、タイミングや時間の使い方に問題はなかったのだろうか。

○委員の構成にも問題が

食品安全委員会は、科学的、学術的な知見を活かして評価をまとめるのが目的である。しかし実際は食品衛生の専門家は少なく、問題を家畜伝染病に持っていく等、軌道修正が必要な内容であったという。

何のため規制あるいは緩和政策なのかもブレなく、議論することは、何も食品衛生の限られたことではない。国際競争に対する我が国の戦略として、このような議論のペースが国の弱点であってほしくない。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:防衛産業、科学技術で安全性向上」から

2012.9.21   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:防衛産業、科学技術で安全性向上」から

考え方の相違

コラムの著者 新田義孝氏(四日市大学)は、戦史にあるように軍事や防衛産業と科学技術は密接に関わりについて触れている。この分野は他国では軍産複合体があるように産業との結び付きも大きい。

【日本海軍と陸軍の脚気に対する対応の差異】

○江戸患いと脚気

参勤交代で江戸に住むと発症し、国元に帰ると治るという、江戸患い。脚気のことである。原因は、精米によるビタミンB1不足などに起こる病気で、日本海軍は、明治時代に早々に解決、一方、陸軍は、日清・日露戦争まで克服できなかった。

○発想の違い

日本海軍:

 海軍からイギリスに派遣され帰国した軍医・高木兼寛は脚気の原因は白米にあると気付き、兵食を白米からパン食に変えて脚気を追放したという。イギリス医学は病気を治療することもあるが、その原因を取り除くことを重視した結果である。

日本陸軍:

 陸軍からドイツに派遣された軍医・森林太郎(鴎外)は麦飯と白米を比較し栄養的にどちらが優れているかを検討したが、白米に問題なしと報告しているという。これによって、日露戦争の旅順攻防戦で、ロシア軍兵士から『日本兵は酔っ払って戦争をしている』と揶揄されたという。乃木司令官の本当の敵は、ロシアではなく、脚気だったとの話もある。

 イギリス医学と異なりドイツ医学は、病気の原因である細菌を当時重視した結果である。

この他に新田教授は、日露戦争での火薬の取扱の違い、第一次世界大戦でのドイツ軍の毒ガス兵器の取り扱いの違いで当時の戦いの勝敗がことなったと指摘している。現在話題の沖縄県普天間基地に配備するオスプレイも、日米、地元間での安全性などの見解の違いとは言い切れない。科学技術で安全性を向上させる姿勢が重要である。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:年金運用の限界」から

2012.9.24   日経産業新聞の記事「眼光紙背:年金運用の限界」から

逆説的な年金の運用

コラムの筆者は、少し大胆だが、これまでの年金の運用の仕方に疑問を投げかけている。

【もともと、おおらかな投資が基本だったはず】

コラムの著者がいところによると、投資運用はもともと、将来に向けてリスクを取りに行くことで、短期の資金運用を上回るリターンを得ようという考え方であった。つまり、おおらかで軽やかな意味合いがあったという。

ところが、30年あまり、世界の年金運用本格化の波に乗った機関投資家の拡大で、一気に様相が変わったという。

【資金運用の世界へ】

大事な資金である年金であることから、毎年きちんと運用内容と成績を点検すべきというのが金科玉条となってしまったという。こうなると厳密な資金運用が必要である。そこで、コラムの著者は、

  • 債権なら満期まで持ち続け、半年ごとの利金収入をあてにする
  • 株式の投資は少なめにならざるを得ない
  • となると、高額な報酬を必要とする運用のプロは不要で、債権の満期処理の事務手続きだけでよいのではないか

という。この考えに異論があるなら、本格的な長期運用を目指せともいう。つまり、毎年の成績よりも5年10年のスパンで投資収益の最大化を運用担当者に期待するもの。では、結果として、期待値通りの結果が出なかったら、それは運用を委託した側の責任ではないのかとさえ、コラムの著者は指摘する。言い換えれば覚悟がないなら、委託をしてまで運用をするのかという。手厳しい意見である。happy01