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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『社会的責任』世界の視点⑫:『消費者市民社会』に関心」から

2011.10.4  日経産業新聞集の記事「『社会的責任』世界の視点⑫:『消費者市民社会』に関心」から

企業はバリューチェーン全体のCSRをリード

コラムの著者 損害保険ジャパン理事CSR統括部長 関正雄氏が、説くのは、2008年版国民生活白書の副題にある「消費者市民社会への展望」に起因する企業と消費者の役割だ。消費者の責任ある行動が社会を変える、消費者市民社会。この思想が、ISO26000の「消費者問題」に取り込まれているという。

これまでは、消費者は権利主張を行うだけであったが、責任ある市民として消費行動を通じて社会的責任を担う新しい消費者像へと変わりつつある。生産だけでなく、消費まで含めたトータルな視点が欠かせないという。

最近ではCO2排出の責任帰属に関する国際的な議論で、消費過程に注目する考え方も出てきている。例えば、2007年中国は米国を抜き世界一のCO2排出国になったが、これは生産過程をどこ輸出するかを考慮しない数字で、中国の最大の輸出国である米国に、この数字を付け替えると、米国が世界一となる。つまり中国から購買するだけで生産拠点のCO2の排出を増やす勘定になる。更に、こういった取り組みのリーダであるユニリーバが自社製品のシャンプーやリンスを商品ごとに、ライフサイクル全体を通じたCO2排出量を計算したところ、平均で7割程が消費段階であったとの結果もある。(▶参考:ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン

消費段階のCO2排出量の抑制とともに、企業は情報の開示と発信、消費者教育を行い、企業を軸としたバリューチェーン(価値連鎖)全体での取り組みが重要となってきた。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:長距離送電、欠けた直流の技術」から

2011.10.3   日経産業新聞の記事「眼光紙背:長距離送電、欠けた直流の技術」から

スマートでないガラパゴス化した電力網はどこから

コラムでは、欧米や新興国でスマートグリット戦略で、長距離送電で主流である直流送電を、日本では電力会社の既得権である交流網を優先したために技術を枯渇させてしまったことを指摘している。

直流送電は、自然エネルギーの発電機が直流であることや高圧送電であれば、直流の方が電力損失が小さいことで、中国での送電インフラ整備のほぼ3分の2が直流向けの投資であるという。欧州でも、北欧の風力発電でつくった電力を英国などに送る場合も直流が採用されるという。

スマートグリッドやスマートシティの戦略商品を国内はもとより海外に打って出るインフラ輸出の目玉としている政府の構想との差が大きいのは歴然としているとコラムの著者は手厳しい。あくまでも日本方式にこだわったことが、このような壁を作ってしまった。どうも携帯電話の世界だけではないようだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:変わる企業の広告手法」から

2011.9.30  日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:変わる企業の広告手法」から

あらゆるトラブルにも対応できる自律型の生活環境の必要性

コラムの著者 東北大学大学院環境科学研究科客員教授の 大橋照枝氏が指摘するのは、広告の手法やメディアの多様性によって世界3大広告祭の名称から「広告」が消えたことだそうだ。

新名称は、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」。従来の広告の枠から解放された創造(クリエイティブ)活動という意図だ。(▶参考

広告もマスメディア4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の一方的な発信からフェイスブックのようなSNSやツイッターのようなソーシャルメディアで生活者同士が自由に情報の受発信を行う流れに移ってきている。企業や団体が生活者と双方向でやりとりする時代となったと指摘する。

すでに、同氏が事例としてあげているホンダでは、新車購入者の41%はウェブ利用者であり、フェイスブックページによるファンとの交流をマーケティング手法として進めているところもある。

 

同フェスティバルでは、JR九州の「祝!九州縦断ウェーブ」がアウトドア部門金賞、メディア部門銀賞、フィルム部門銅賞を獲得、沿線住民の参加で成功したところは、ソーシャルを彷彿とさせる。その成功に、心の絆や幸福を共有するというエッセンスがあったことも見逃せない。sun


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:計画停電でも明るい研究所」から

2011.9.28   日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:計画停電でも明るい研究所」から

あらゆるトラブルにも対応できる自律型の生活環境の必要性

コラムの著者デザイン評論家の柏木博氏によると、東日本大震災後の「計画停電」で、改めて、米国の思想家・デザイナーで、独自のドーム型建造物「フーラードーム」を考案したことで知られる、バックミンスター・フラー(▶参考)を思い出されたようだ。

「計画停電」でも、東京都国立市にある積水ハウスにある研究所「サステナブル・デザイン・ラボラトリー」は電灯が点灯していた。理由は、サステナブル(持続可能な)生活環境を雨水の利用、自然風による温室管理、ソーラーシステムの利用などで実現し、電源をソーラー(太陽電池)、燃料電池、蓄電池の3種を設置して実験していたためだ。

3つの電池を組み込んだ電力供給システムを備えた商品は世界初だそうだ。このシステムで、年間一般住宅の一世帯分の消電力に相当する分をまかなえるという。節電のために太陽電池が注目されているが、安定した電力を得るためにも、電池を組み合わせたソリューションも重要であることが分かる。フーラーのドームスタジオも、自律型の生活環境を、自然や政治やその他のトラブルに備えて、技術とデザインが確立されるべきという主張である。今回の震災でわかったように、フラーの自律型の研究にそって、積水の研究所のように、技術とデザインを切磋琢磨しておかねばならない。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:CSRマーケティング」から

2011.9.29   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:CSRマーケティング」から

自社の本業と自分の顧客を拡大する際にCSRマーケティングを

コラムの著者 中央大学商学部の三浦俊彦教授は、日本マーケティング協会が2005年に設置したCSRマーケティング研究会での検討を示し、CSRを実際に事業のマーケティングにどう重ね合わせるかについて示唆している。(★本ブログでもCSRについては多くの解説があるので、参考に

同研究会が示したフレームワークは、従来のマーケティングを提供価値と顧客の2軸で展開したものである。

Csr_marketing
提供価値は、従来の経済的な価値から社会的な価値を追加、顧客は、従来の経済的顧客(購買する生活者)に社会的顧客(製品を購入しない公衆)としている。

【CSRマーケティング①】提供価値拡大型

本業の製品に社会的な価値を追加するモノ

▶事例: サッポロビールがビールの原材の麦芽とホップを全量、協働契約栽培農家から調達し、安全性・安心の社会的付加価値をつけた

【CSRマーケティング②】顧客拡大型

▶事例:東日本大震災の際に多くの企業が行った義援金の拠出や消費財メーカーの自社製品の無償提供など

【CSRマーケティング③】社会的顧客に社会的価値を提供する、社会型

▶事例:明治では、本業からの拡大で、食育を取り上げ「早寝早起き朝ごはん」運動を協賛。ターゲット顧客の拡大として、病気の子供たちを日本ホスピタル・クラウン協会と共同で支援など。

これまでCSRとマーケティングは無関係と考えれられこたところから、自社の事業活動にCSRを組み込むことが要求され、上記のような具体的な活動が望まれている。eye