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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「哲学で拓くBIZテク⑧:ハイデガーに学ぶ時間活用術」から

2011.3.8  日経産業新聞の「哲学で拓くBIZテク⑧:ハイデガーに学ぶ時間活用術」より

「デッドライン」があるからこそ本気で生きる

コラムではドイツの哲学者 マルティン・ハイデガー(▶参考)が唱える3つの時間、「根源的時間」、「世界時間」、「今時間」を取り上げ、時間活用のヒントを与えている。

寝て食べてを繰り返すだけであれば、自分でなくてもだれでもよい。しかし、自分が存在することを理解し、存在の意味について問う人間独自のあり方が、人間の本来の姿とハイデガーは説く。前者の寝て食べてだけの生き方を「非本来性」と呼び、日常に埋もれ、自分を喪失して生きることをいう。一方、自分の可能性に立ち返ることによって、本当の自分を捉えようとする生き方は「本来性」と呼び、ハイデガーが理想とする生き方だ。

問題は、本来性をどう実現できるかということ。そこで、上記の3つの時間の登場だ。

世界時間:世界の中の一部として自己を埋没した時間

今時間:具体的な時間ではなく、「時間」という抽象的な観念

根源的時間:人間の死を受け入れ、その有限性を気付き、時間を自覚して、人生を掛替えのないものと捉えて生きる時間

ハイデガーは、人間を「死への存在」と表現する。死を前向きにとらえて、誰もが平等に迎える死を受け入れ、未来を見据えて前向きに生きるという「実存主義」に結び付く。

納期やデッドラインは、厳しいビジネス環境では当たり前。だが、世界時間に埋もれず、根源的時間として前向き生きることがハイデガーの時間術だという。

頓知問答で有名な一休和尚の「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」(正月を祝うめでたい門松だが、それを立てるたびに年をとるから、自分が死に近づくことの証明でもあるということ。)もその境地であろう。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「ヒットの経営学:先取の眼を開く(中)」より

2011.3.8  日経産業新聞の「ヒットの経営学:先取の眼を開く(中)」より

親子関係を観察するとヒットの種が

コラムでは、家族に焦点をあて、事例を解説している:

事例:大和ハウス工業、「XEVO YU」(2世帯住宅で玄関、台所共有)

・従来の「嫁同居はうまくいかない」という仮説を疑い、市場調査を再度行った上で、「結婚後、独立経験のある嫁の場合は、うまく行きやすい」という実態をつかんだ。さらに、2世帯住宅の設計にを家族構成に応じて変化でき、共用でも二世帯間の個室に空間を取り込んだ。売り込み間口は狭いようで広いという営業の感触を得ている

事例:コクヨS&T、「遺言書キット」

・顧客レンジを30から40代の女性を狙い、夫だけでなく、両親にも働き掛ける妻の動きを捉えた。一昨年6月に発売し、累計販売数が7万セットを超えたヒット商品となった。

・従来の遺言の手引書は高齢者という目に見える市場を狙ったが、コクヨは、潜在需要を若い女性層と見据えていた。

家族の距離が、少子高齢化、晩婚といった世相を反映して動き始めている。この距離に秘められたヒントが、明日のヒット商品のカギとなる。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:銀幕に見る『天才』予備軍の集中力」より

2011.3.3 日経産業新聞の「眼光紙背:銀幕に見る『天才』予備軍の集中力」より

映画「ソーシャル・ネットワーク」の背景

コラムでは、オスカーを逃したとはいえ、今年大きな話題となった映画「ソーシャル・ネットワーク」の背景から日米の起業家精神と環境の違いについてコメントしている。

私もこの映画を、一青年の青春映画と捉えた。既に見られた方の中には異論があるかもしれないが、ハーバードを軸にした歴然とした米国のエスタブリッシュメントのエリート意識と起業家精神の起源に関するところは非常に興味深い。

ハーバードスクエアのシーンでは数十年前に私も通学していた風景に懐かしさを感じた。と同時に、当時からも脈々と続いている、知的なフロンティア精神に畏敬を感じ、また憧れもした。未だ、日本の大学で同じ感覚を覚えないのは、どんな起源であれ、新たなモノやコト、サービスを生む創造性を周りが応援し、時には厳しく、時には暖かく支える環境がないことだ。

ビジネスを、あるいは金銭を取り扱うことさえ、象牙の塔では卑しいと思う社会と、金銭を未来のある若者や社会的な貢献と受け止め、起業=「やったね」という感覚をもった社会では、躍動感がこうもちがうのかと思わざるを得ない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「ヒットの経営学:先取の眼を開く(上)」より

2011.3.7 日経産業新聞の「ヒットの経営学:先取の眼を開く(上)」より

製品を知ってもらうための学習の場を提供する

コラムでは、継続的な販売戦略を考える上で、ソーシャルを意識した商品作りが求められていることを示した。

事例1: 三洋電機のGOPAN(米からパンが作れる新発想のパン焼き器)

⇒上層部の発売計画で、「販促をしなくても、継続的に売れるために、お米に関わる人の支持・共感を得る方策を出せ」との指示。

⇒発想を変え、社会的な貢献である「食料自給率の向上」を掲げ、自治体、農協の支持を得た。

事例2:コンビニ「ニューデイズ」での「具たくさん豆乳鍋スープ」

⇒JR東日本の系列コンビニで、アフリカへ3%を寄付する商品をテーマに設定した独自企画で、このスープなどは軒並み女性の支持を得た。

⇒売り手も店頭POPを描くなど参画意識が向上。

コラムで最後に「社会と価値を共有できた会社が最終的に競争力を獲得できる」という。確かに、一過性の販促での人気は、短命商品を生みだすだけの両刃の剣かもしれない。ソーシャルに向き合って、将来性を先取りする企業が、周りから販促を起こす時代かもしれない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「西川英彦の目:無印良品、家づくり講座」から

2011.3.3 日経産業新聞の「西川英彦の目:無印良品、家づくり講座」より

製品を知ってもらうための学習の場を提供する

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、「無印良品」を売る良品計画の子会社で住宅事業を展開しているムジ・ネットを例にあげ、消費財といえども、商品を知ってもらう場を提供することで購買につなげようというメーケティングを解説している。

住宅メーカーの製品を比較・研究した人も、博多や新宿で開催されている同社の講座に参加するという。同社のコンセプトは「住み手が自在に編集できる家」だそうだ。モデルハウスもこれに即して展示し、製品の理解のために講座やメルマガを利用する。顧客がどの程度住宅に関心や知識を持っておるのかを、学習の場で、インタラクティブに行うところが特徴だ。以前は住宅に無関心であった人もインテリヤの展示や情報に触れているうちに、学びながら商品に関心を持っていくというわけだ。

このようなハンズオンは従来はコスト高で非効率と思われていた。ところが、顧客にとっての論法ではない。今は、売り手と買い手のコミュニケーションが気付きを生み、意欲を高める時代だろう。