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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:携帯市場、『その他』勢力が台頭」から

2011.1.24  日経産業新聞の「眼光紙背:携帯市場、『その他』勢力が台頭」より

携帯は「スマート」ではなく「ノーブランド」の「その他」メーカーのシェアが増加

コラムでは、最近の世界の携帯電話市場で驚くべき勢力が存在すると示唆している。その勢力は、米国のアップル社やフィンランドのノキア社、カナダのRIMでもない。中国に数百社ある、「ノーブランド」携帯電話を製造するメーカーだ。昨年の3Qでの世界シェアが、ノキアが28.2パーセント、「その他」が33.0パーセントで、未だに増加傾向にあるという。

「その他」のノーブランドメーカーは、中国のみならず、アジア諸国、アフリカ、南米といった開発途上国へ低価格機を提供している。安かろう悪かろうではなく、十分な機能と品質を持っていることから今後もこの勢力は衰えないという。

欧米、日本がスマートフォンを注目する中で、ノーブランド携帯電話を考えると、IT機器のコモディティ化の進行が如何に速いかを物語っている。いつしか、スマートフォンもノーブランドで占められるかもしれない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「TechnoOnline:豪の理科改訂に学ぶ」から

2011.1.25  日経産業新聞の「TechnoOnline:豪の理科改訂に学ぶ」より

オーストラリアの理科カリキュラム改訂に学べ

英国連邦(コモンウエルズ)の1つオーストラリアで今年理科のカリキュラム改訂がおこなわれる。コラムでは、その要点に教育方針の違いを述べている:

【教育方針の差異】

オーストラリアは福澤諭吉が説いた独立自尊で、社会価値は英国風である。日本の他に落後するなという知識偏重ではない。

【改訂のねらい】

  • 日常生活や環境問題に対処するとき、「自分の考え」に基づいて判断できるようなリテラシーを生徒が開発できるようにする
  • 生徒に科学者や技術者、科学的な考えを活用した職業に就きたくなるようなモチベーションを与える

【授業の流れ】

  • 自然現象や日常生活に対する疑問を促し、自分でテーマを設定して、これを解くことを促す。
    • 仮説設定能力の向上
  • 観察や調査を促し、事実から真実を発見することを促す
    • 調査探求のスキルアップ
  • 数々ある現象の共通性を自ら発見し科学的な考え方を身につけさせる
    • 科学的考えの習得
  • 研究結果をまとめ、お互いに議論する場を設ける
    • 討論能力の向上

【日本との差異】

コラムでは知識の獲得をベースに仮説設能力、討論能力が上がれば、世界レベルという。ただ、「ゆっくり」考えるオーストラリアの教育と知識習得速さを競う日本の教育が同居出来ないことも気になる。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「デジタル文具で高める仕事力⑩」より

2011.1.26  日経産業新聞の「デジタル文具で高める仕事力⑩」より

デジタルとアナログ文具に対する試行錯誤の歴史の差で本質を比べる

コラムの著者である高畑正幸氏 (▶ 参考)は、従来のアナログ文具と同様にデジタル文具が普通に語られるじだいになってきたという。iPhoneやiPadの影響もあるが、問題はアナログとデジタルの比較というよりも、現状の製品の仕様比較での判断でしかないという。確かに、

  • 操作性が難しい
  • 入力が不自由
  • 一覧性に欠けるインターフェイス
  • 起動や閲覧のスピードの遅さ
  • 電池持ちの悪さ

などをあげるとデジタル文具の欠点だけが浮き彫りにされるが、技術の向上が驚くべきスピードで改善されているのも事実だ。高畑氏が言うには、最初はマニアしか使わなかったデジタルカメラ、携帯電話、DVDプレーヤーなどを考えると、もう一般商品となってデジタル機器という意識がないという。

すなわち、アナログ文具は数百年かけて使い勝手を向上させた結果であり、デジタル文具はせいぜい20年程度で比較にならない。ただ、将来を考えるとデジタル文具は洗練され進化して、デジタルの良い部分(これまでのコラム)が急速に安価に実現できるようになる。

同氏は、アナログとデジタルの「良いところ取り」をすればよいという。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:ネットが刺激、神戸の靴産業」から

2011.1.25  日経産業新聞の「眼光紙背:ネットが刺激、神戸の靴産業」から

神戸からWO!の挑戦

コラムでは、私も知己のある本荘修二さん監訳の『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』(▶ 松本の感想 ▶ iPad用電子書籍の案内)と「京の着倒れ、大阪の喰い倒れ、神戸の履き倒れ」で有名な神戸のネット靴屋さんの関係に触れている。

すべてのルールを顧客満足の向上に直結した米国ザッポス社。サイズや履き心地が分からない靴をインターネットで販売している会社だ。365日間返品可能。扱っていない商品があれば競合他社の在庫までも案内する。徹底した顧客サービスの原点は、「WO!(わーすごい)」の感嘆詞を、ザッポス社員が聴きたいため。

コラムによると神戸でもザッポスを励みに事業革新を起こす動きがあるという。ネット通販に転じたケミカルシューズのメーカーだ。特注のサイズ対応、素材へのこだわり、仲間の製品を調達・販売するという。

新興国への対抗は、こうした見えないきめ細やかさでお客様を喜ばせる日本本来のこころにあるのではないだろうか?


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の特集記事「メードバイJAPAN、第3部飛躍への変異④」から

2011.1.25  日経産業新聞の特集記事「メードバイJAPAN、第3部飛躍への変異④」から

技術の融通をEMSと請負で

コラムでは、三重県島氏のEMSメーカー、志摩電子と親会社nms(日本マニュファクチャリングサービス)の関係に飛躍の糸を見ている。志摩電子は、海外生産拠点を中国、マレーシアでもち、試作、量産技術、検査技術を持つ。EMSの世界大手は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(売上高7兆円)。志摩電子は約130億円。大きな格差があるが、日本で培った工場内請負を親会社との連携で柔軟に行うことがコアだ。海外拠点のベトナムで事業許可を獲得した。

従来は、技術は属人性。人が動けば、技術も動く。同時に製造現場では、必要な製造過程ですべての技術が必要ではない。設計から試作、量産製造、検査といった過程で、その過程に必要な技術が即応出来る必要がある。つまり、技術の用不用の変動だ。この変動を吸収して製造請負としてパッケージ化した点が志摩電子とnmsの強みである。この人=技術を柔軟に活かせるノウハウが、いずれ海外EMSメーカーに対抗できるかもしれない。