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【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑫「変さ値」を上げよう!

 発明王や創造的な人は、行動の異常さから、奇才や変わり者、さらに非常識人と呼ばれることがあります。要するに「変人」です。ということは、ヒット商品を生むために変人でなければならないのでしょうか。発想をするときは変人に近いかも知れませんが、日常は変人である必要はありません。逆に、変人でなければヒット商品が生まれないという訳でもありません。

 発想のときの、常識や既成概念から離れることは、変人では無意識かもしれません。ですが、一般の企画者では、意識しないと荒唐無稽なことは考られないと思います。意識して変である度合い、「変さ値」を上げることを考えてみましょう。

 変というのはどういうことでしょうか?周りの空気をよめ、ではないですが、先ず周りの人や環境に無関係な行動をすることがあげられます。時と場所、目的がそぐわない状況も変ですね。そう、これまでのプラクティスに出てきた「発想の触媒」も変さ値を上るためのものです。

 ここでは、これまで取り上げなかった場所を発想のときに大きく変えることを使って実感してみましょう。

世界各国、発想巡りの旅へ

 時間や空間を変えると、いろんな発想があります。海外旅行に行くと、驚くことがありますね。国の歴史の違いや風土、習慣や宗教などで発想が異なるからです。時には、日本で常識的なことも海外では「変さ値」が高いかもしれません。

 海外までいかなくても国内旅行でも、あるいは近くの散歩でも場所を変えると発想が出易くなります。いつもの生活の場でない、非日常で脳に刺激が生まれて「変さ値」が上がるのでしょう。

 では発想巡りの旅にGO

 最初に、現在考えている発想を出してみます。メモ用紙にキーワードを書き出してみましょう。例えば、「花粉症を防ぐ」場合、予防法に迷っていたとします。日本では、薬での改善法として、目薬や点鼻薬、マスク、抗ヒスタミン剤などがありますね。外出から帰ったら、うがいと花粉を落とす。布団や洗濯物の花粉を落とす・・・。改善提案ではこれでOK。そこで場所を日本からアメリカやヨーロッパ、アジアに移してみましょう。

 花粉症て海外にあるの?といった素朴な疑問からわきます。北欧のフィンランド、ヘルシンキ郊外ではミモザの花粉での発熱があり、オーストラリア、アメリカ合衆国でも日本の杉とは異なりますが、花粉症があります。場所をかえて発想を変えてみましょう。ヘルシンキでも薬での対策や花粉を落とすことはあるのですが、1つだけ違うところがあります。それはマスクです。

 欧米ではマスクは専門家、つまり医者や看護婦、塵埃の多い作業員、防疫関係といった人だけがつけるのです。ですから、ドラッグストアや薬局で花粉症対策マスクは販売していません。つまり、街頭でマスクをつけた人は、欧米では「変人」、「感染症をもった人」とみられます。これは、日本にいると気付かない点です。では、変に見られないマスクは?マスクとわからない、マスクの機能をもった口を覆うものがあれば欧米でもヒットするかもしれません。香港では日本と同じようにマスクを着用した人が多いようです。

 マスクの例以外にも場所を変えると、そこでは常識的なものが、別の場所では意外な受け取り方をされ、別の用途に利用されることもあります。漫画もMANGA、寿司はSUSHIとして欧米で受け入れられ、その場所で変化しています。カリフォルニアロールとしてSUSHI BARで食べられるアボガドを巻いた寿司は、築地の寿司店では非常識で「変さ値」が大きいでしょう。マグロを生で食べる習慣のない一般的な米国人にあうSUSHIとして発想したのが、森のバターと呼ばれるガボガド。食感もマグロに似て脂が多く、寿司ネタに使えるとか。ここでの発想の転換は、マグロを食べさせるのではなく、SUSHIを食べてもらう、つまりマグロの代用品でもSUSHIを食べてもらうことが狙いなのです。発想の触媒にあった「代替」ですね。

変わっていることを売りものにする!

 類は友をよぶという、ことわざにあるように、「変人」は「変人」をよぶ傾向があるようです。あなたの周りにも思い出す人がいませんか。アイデア豊富で変わっている人は、多弁で、会話も話題豊富。仲間が多くて、ワイガヤが得意な人だと思います。「変さ値」を上げるには、個人の能力を上げることが重要です。さらに重要なことは、ワイガヤができる仲間がいるかどうかです。時には一緒に変な話につきあってくれ、場合によっては冷静に批判してくれる仲間ですね。GIVETAKEの関係で、仲間の変な話を一緒に発想して付き合う必要もあります。こうなれば、アイデアがたくさん出てくるはず。県人会ならぬ「変人会」が助けてくれます。

 変さ値を上げるために「場所を変える」、「代替」、「身代わり」などの発想の触媒を使ってプラクティスに挑戦しましょう!


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑪Let's challenge!

問題

(1) ナゾかけ問題を作ってみましょう。「その心はチョコです。」を先に設定して、「○○とかけて」と「△△と解く」の「○○」と「△△」のペアを3つ以上10分以内に出してみてください。

進め方:「○○」と「△△」のペアを使ってナゾかけができることを確かめてください。

(2) 出てきたナゾかけでテーマソングを考えて下さい。

進め方:利用する替え歌は「線路は続くよ どこまでも」とします。

回答例

(1)①「部長へのお酌」とかけて、「義理」と解く。その心はチョコ(猪口)です。②「板にもなる」とかけて、「ホワイトにもなる」と解く。その心はチョコです。③「軽く腰かけにすわる」とかけて、「美味しい非常食」と解く。その心はチョコです。

(2)①の替え歌:接待はつづくよ どこまでも/国をこえ 法こえ 金肥えて/はるかな外国まで ぼくたちの/苦しいビジネスの旅 続いてる

ナゾかけを作ることは・・・

ナゾかけを考えだすこと、替え歌を考えることに対してあなたの反応はどうでしょうか?

2-11

NEXT Step

 ナゾかけで傑作だと思った原因は何でしょうか。それは、元のお題から出てくる結論が奇想天外、荒唐無稽で開きがあるからです。できるだけ、大きな開きになることを意識して、以下のナゾかけを作ってください。

結論は、「携帯電話」、「絵本」、「ピンク」

 


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑪「なぞかけ」でアイデアを拡げよう!

 いくらアイデアの量が増えても、人から聞いたことや調べたことではワクワク感がありません。アイデアをヒット商品にまで導くエネルギーは、このワクワク感が維持できるかにあります。最初からワクワクしないアイデアでは、とても具体的な商品や企画に結び付けることはできません。

ナゾかけでアイデアを拡げよう!

 では、ワクワク感を得るには?そう、アイデアを出すことを楽しむことが近道です。遊び半分でアイデアを出すことです。メモ魔のダ・ヴィンチも平賀源内も真面目に毎日ノートとにらめっこして発想していたのではないのです。時には、そのアイデアで遊んでみるとか、人と冗談をいうことで、そこからワクワクできる発想を得たのです。

 源内は、今風で言えばコピーライターのような仕事もこなしたようです。日本初の歯磨き粉のCMソングを作ったのも源内とか。とにかく、考えることが楽しいし、それに報酬もでる。源内も奇才と言われる所以がここにあるようですね。ただ、彼の発明や創造したものを見ると、一貫しているのは、遊び心。静電気発生器のエレキテルも治療に使うとは言うものの、電気ショックで少しばかり驚かしてやろう、といった悪戯心が見え隠れしています。

 では、ちょっと悪戯心で、アイデアを出すヒントの1つを紹介します。前回のプラクティスで「突っ込み」の練習をしました。ここでは、「突っ込み」を使った落語のネタの様な連想法です。落語の余興でナゾかけというのがありますね。「○○とかけて」「△△と解く」「その心は□□がいうがごとし」で、一見無関係の○○と△△を使って共通な□□を出すという話芸です。有名なところでは、「腐った卵」とかけて、「夜道」と解く。その心は「黄味(気味)が悪い」。かなり屁理屈な共通性ですが、聞いた方もふっと笑ってしまうのがこの遊びです。ナゾかけでは、言葉の遊びの要素が強いですが、A=B, B=CA=Cといった論理がそこに隠されています。発想の触媒と同様、一見無関係なACBという媒介でつなぐといった考えです。黄身の例では玉子の黄身と同音の気味を夜道の気味の悪さで強引につないでいるところです。

 発想を増やすには、ナゾかけのような遊びにもヒントが隠されているものなのです。

テーアソングで発想を練ろう!

 もう一つご紹介すると、テーマソングです。発想したものにテーマソングを考えるのもお遊びですが、意外と図示するのと同様、聞く方にとってはイメージがしやすい説明になります。源内の歯磨き粉のCMソングがどんなものであったのかはわかりませんが、歯磨き粉の効能をうまく入れ込んだ歌だったのでしょう。

 最初から作曲作詞をするのは大変ですので、替え歌を使って、歌詞に自分の発想のテーマを設定すると、良い発想が生まれてきます。例えば、アメリカ民謡原曲の「線路は続くよ どこまでも」では、訳詩で「線路はつづくよ どこまでも/野をこえ 山こえ 谷こえて/はるかな町まで ぼくたちの/たのしい旅の夢 つないでる」となっています。線路を「鉛筆」に置き換えるとどうでしょうか?「鉛筆は書けるよ どこまでも/ノート超え、紙超え、板超えて/はるかな町まで ぼくたちの/たのしい旅の夢 綴ってる」という替え歌を作ってみました。鉛筆の旅ですが、ノートや紙、板を対象としないで、世界のユーザに夢を書いてもらうには、商品「○○」といったイメージです。

 テーマソングまで謳うと、頭に商品のイメージが浮かびますね。既製品にはない、特徴が何気なく浮かんでくるはず。ルール1を思い出して、どんどんノートに書き手止めてください。また、歌に誘われて、周りから興味を持たれれば、コメントを頂きましょう。これも発想の触媒になるはずです。

 ナゾかけやテーマソングまで使って遊んだことで、リラックスした雰囲気で発想ができると思います。さてお後がよろしいようで・・・。プラクティスに入りましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑩Let's challenge!

問題

「私は、半年後ダイエットに成功する」を中心において、曼荼羅風のぬり絵を完成してみましょう。

進め方 枠にはいくつも理由があっても構いません。ただし、動詞を使うことは意識しましょう。

回答例

仕事のストレスも解消するダイエットを行う

私はお金をかけないで成功する

ダイエット法を調査する

モノを使わずに日常品で習慣化する

私は半年後ダイエットに成功する

家族もダイエットに誘う

私は家族を巻き込む

ダイエットをストレスにしないように行う

おいしく食事できて身体を軽くする

突っ込みは足りた?

曼荼羅はうまく作れたでしょうか。その完成具合を見てみましょう。

2-10

NEXT Step

1枚のぬり絵が完成したら、次のぬり絵で、「突っ込み」足りない疑問を疑問文でのメモにしましょう。

メモの例 「私にとって良いダイエット法と何?」「家族が嫌がるダイエットって何?」


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑩「動詞」と「ツッコミ」から発想しよう!

 ぬり絵からメモの話の続きです。あなたは、メモを書くとき何を書きますか?覚えたい人の名前、品物、イベント、関連の図。予定に、電話番号、住所・・・・。さて、これらはすべて、名詞。意外に書かないのが動詞ですね。

動詞で突っ込みに挑戦!

 発想を促すのはこのような名詞ではなく、むしろ動詞なのです。自分の発想の癖をチェックしたときのプラクティスを思い出してください。動詞は主語が必要です。省略されている場合は、主語はあなたです。例えば、名前にしても、あなたはこの名前の方に何をしたいのでしょうか?連絡、相談、電話?そう、主語を補って、動詞で「私は、○○さんに△△△の件で相談したい」となりますね。情報が、「私」、「○○さん」、「△△△の件」、「相談する」で一気に増えることが分かります。さらに、動詞で書きこむと、連想や発想の展開がしやすくなります。連想についてはすでにふれましたが、発想の展開として、「突っ込み」があります。

 突っ込みは、「どうして?なぜなの?」といった理由を尋ねるものです。理由を書き込めば、さらに発想が広がっていきますね。

 突っ込みの名人と言えば、漫才や落語といったお笑いの世界では有名な手法です。漫才では、ひとりが突っ込んで、もう一人がぼけるといった、お笑いの定石があります。突っ込みは、理由を尋ね、ボケ役の常識的な答えを求めます。でも、その答えが荒唐無稽で、笑いを誘うというものです。漫才の名人となれば、これをボケ役と突っ込み役が連鎖的に話を広げていくことになるわけです。

曼荼羅風に並べて常識を打破しよう!

 前回のプラクティスで利用したぬり絵手法と「突っ込み」を使って、アイデアの量を増やしていきましょう。

 今回は、3×3のマスが基本となります。ちょうど、お釈迦さんが、この世を説くときに示した曼荼羅のように考えましょう。中心には、「~である」で終わる動詞を書きます。もちろん、主語や目的語などもきちんと書いてみましょう。

例えば、図のように「私は毎日、気持ちよく通勤する」と真中のご本尊の位置に書いたとしましょう。

(仕事で役立つ?)

(いくらかかる?)

(どんな情報がいる?)

(何かモノが必要?)

私は毎日、気持ちよく通勤する

(仲間の助けは必要?)

(誰とやると効果的?)

(世間が認めてくれる?)

(プライベートに役立つ?)

周りは、前回説明したようにぬり絵です。そう、予め質問が用意されていますね。質問の答えとして理由を屁理屈でもいいから書きならべるのです。ポイントとして答えも、動詞で書きましょう。どうしても動詞にならないときは、「~と思う」といった間接的な表現にしてください。

(仕事で役立つ?)

l  私の仕事の能率が朝から上がる

l  私の苦手な語学の能力向上も図れる

(いくらかかる?)

l  携帯音楽プレーヤの費用が必要である

l  語学教材の購入費用が必要である

(どんな情報がいる?)

l  通勤に適した音楽の情報が必要である

l  通勤で勉強できる語学教材の情報が必要である

(何かモノが必要?)

l  音楽を楽しむために携帯音楽プレーヤが必要である

l  語学教材が必要である

私は毎日、

気持ちよく

通勤する

(仲間の助けは必要?)

・・・・・

(誰とやると効果的?)

(世間が認めてくれる?)

(プライベートに役立つ?)

曼荼羅風に発想を広げていくと、いくつもアイデアが出てきますね。さらに、「突っ込み」を増やしていくとまだまだ書けるでしょう。

 このぬり絵の種明かしをすると、赤で塗った「資金」、「情報」、「モノ」、「人財」は主体を動かすための材料やエネルギーになります。これがないとアイデアが広がりません。「仕事」と「プライベート」は、アイデアの効果です。両方に広がっていれば文句ないですね。「仲間」、「倫理」は、他人の力を借りられるか、あるいは、このアイデアを拡げる力を意味します。

仕事

資金

情報

モノ

主体

仲間

人財

倫理

プライベート

 では、プラクティスに挑戦してみて下さい。「突っ込み」の感覚が分かれば発想は広がります。