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【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑭Let's challenge!

問題

通勤途上で勉強をするアイデアを10個考えてください。勉強の内容や時間ではなく、何故通勤途上で勉強をするといったニーズがあるのかを考えながら、アイデアを示してみてください。

進め方 アイデアを自分の体験やワクワク感で語ることです。勉強の対象や時間は問いません。自分と同じ体験が、聞き手に共感を得ることが出来たかを、聞き手側の「感想」をじっくりと聴いてみてください。

回答例

「通勤電車は満員で本や雑誌も読めない。時によっては身動きもできない。この時間を苦行ではなく、自分の解放時間として、語学に充てている。携帯音楽プレーヤでも良いが、もっぱら、吊り広告などにある日本語を翻訳し、記憶することにしている。職場についたら、記憶した翻訳を直し、手帳に記入する。お手軽で安価な翻訳向上術だけどどう?」「おれは記憶が弱いから、ちょっとできないな。吊り広告もあまり内容が変わってくれないし、効果があるかな。それよりも、電車内広告で語学教育をやってくれる方がいいな。」

「しかし」、「でも」は発想の敵

2-14

 一見、否定的な見方は大人びた意見に聞こえます。既にある概念で否定が進むと、折角の想像時間が有効に使えないばかりか、発想自身を止めてしまいます。「しかし」、「でも」といった感想や意見は、否定的な見方を広げる危険性があります。できれば、「しかし」や「でも」といった意見の背景にある真意を聞き出すのも重要です。例えば、吊り広告の利用に否定的な意見は、多くはその意見を述べた本人の体験談に基づくものかもしれません。体験でどうしてうまくいかないと思ったのかを理由を聴いてみるのが重要です。

NEXT Step

 喫煙室での話、居酒屋での話、給湯室の話といった現代の井戸端会議が、職場から、徐々に情報技術の御陰でネット上に変わってきています。社内ブログやSNS、グループウェアといった技術で便利になった反面、井戸端会議やワイガヤにあった「盛り上がり」が欠けているとの意見もあります。そこで、あなたの職場で、現代版井戸端会議あるいはワイガヤを実現するために建設的なアイデア出してみてください。

進め方と注意 

(1)改善のアイデア提案の練習です。井戸端会議に乗り気でなければワクワク感がありません。ここは前向きに考えてください。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑭他人との会話を大事にしよう!

 これまで、アイデアのネタはもっぱら自分から出したものでした。今度は、会話を通じて話し相手からネタを頂戴することを考えてみましょう。

語る話、聴く話

 ハイデルベルグやダ・ヴィンチ、平賀源内も発明や発見の業績の裏には、周りや仲間、ライバルとの討論があります。言い換えれば自分の考えを交換できる相手との交流です。さらに、発明や発見の前に、必ずと言っていいほど激しい討論があります。討論は他人の理解を得ることです。同時に、自分のアイデアの欠点に点検する効果もあります。

 このような建設的な討論は、発想を支援する力になります。逆に批判的な意見は、発想を萎めてしまいます。批判的な討議をしないで、建設的な討論ができないものでしょうか。

 2つの努力が必要です。1つは、自分のアイデアを語ってください。説明するのではなく、語るのです。差がわからないって?そうアイデアを自分の言葉で、相手に、語るのです。説明では、アイデアの素晴らしさや希少性などを強調しますが、語る場合は、自分がこのアイデアを出した背景やきっかけ、動機を話します。次に、アイデアが出たことで、どのような気持ちになり、ワクワクしたかということです。アイデアの説明では、アイデアの開示にはなっても、聞いた相手には素晴らしさを押し付けられたと感じ、アイデアが相手に理解されないものであれば、無視か反発するだけです。アイデアを語ることで、相手の協力を得るのです。つまり、ワクワク感を聞いた方も感じて、何か手伝いたいと思ってもらうことが大切なのです。こういった段階になって初めて、サポーターあるいはアドバイザーとして建設的な意見をもらえることになります。説明しないで語ってください。

 二つめは、聴くことです。建設的な討議になったとき、先ずは相手の意見やコメント、フィードバックを聴いてください。「聴く」のであって「聞く」のではないことに気付いてください。「聴く」のは心、つまり相手の支援したい、といった気持ちに対して謙虚に聴くことです。「聞く」は、物理的に耳で聞くことです。聞く耳は持つけれど、自分のアイデアを頑なに固辞しすぎることです。折角相手に自分のアイデアを聴いてもらう機会を得たのですから、自分とは違った考え方、アイデアを聴き逃さないことが重要です。そこに新しいアイデアのヒントがあるかもしれません。

無駄話に本当のニーズあり!

 討議と言っても、肩肘はったものではありません。仲間との意見交換です。話題に参加していない人から見ると、無駄話のように聞こえるはずです。一見無駄話と思える討議に、発案者への本音が出て来て戸惑ったり、新しい展開で、アイデアが広がったりします。

 リラックスした中で、思いついたアイデアを叩き合うことは、ヒット商品を企画する上で非常に重要なことです。仲間の本音の中に、お客様の視点があるからです。「いいアイデアで使いたい。さらに、□□の機能があれば、もっと使うのに・・・」という口調です。アイデアの否定ではなく、使われ方、アイデアの応用範囲、アイデアを包み込む、もっと大きなニーズという視点です。

 あなたも、ブレーンストームという言葉を聞いたことがありますね。脳を活性化するために、「批判しない」、「質より量」、「他人のアイデアに乗ることも自由」といった、アイデア出しの手法です。ルール1やこの本の練習も基本的には同じ意図です。ブレーンストーム、脳の嵐を起こすには、建設的な討議が前提です。

 無駄話こそ、どうして聞き手がそんな意見を持つのかを冷静に検討する最良の時間と思ってください。

ヒットの陰に「何気ない」意見あり

 米国アップル社の製品に、iPhoneという多機能電話があります。それまで日本では、同様の製品が数多く発売されていました。機能的には、日本の既存の電話の方が高いとも言われていました。後発のコンピュータメーカーのアップルがなぜ、携帯電話を必要としたのでしょうか?

 その疑問が解けたのは、iPhoneが発売される5年ほど前に、米国出身の同僚に聴いた何気ない意見でした。「日本の電話は凄いけれど、僕の欲しい電話じゃない。」何気なく聴いた意見にその理由を聞いてみたのです。「マックもPCも自由にプログラムを自分で決めて動作させる。ここまで機能の高い日本の携帯電話で、逆に不自由なことは、いらない機能が多くて、本当に欲しい機能が、モデルチェンジの時に消えていることもあるということ。それでいて、誰でもが使うのが携帯電話。欲しい機能だけついた携帯電話ってどうして出来ないのだろう。」

当時、同僚のこの言葉に出来ない理由を説明できませんでした。その回答の1つが、iPhoneだったのです。つまり、製品は同じだけれど、使っている機能が利用者によって違う携帯電話の登場だったわけです。

 何気ない意見と思えたのは当時の私の見方が、当時の携帯電話とはこういうものだ、という既成概念に捕われていたからでしょう。本当のニーズを的確に表現したのは、同僚の意見の方でした。何気ない意見などではなく、ずっと疑問に思っていたことを吐き出した意見だったのです。

 企画や開発、制作といった仕事を自分でも手がけ、仲間が仕事を進めている中で、常に念頭に置くべきことがあります。それは、「我田引水」、「裸の王様」になっていないかという点検です。時には、この警告を無視した場合、仲間として注意してくれるといったことが、一番感謝すべきことです。

 今回のプラクティスは、アイデアを語り、仲間の意見を聴く練習です。自分が発想を語るときに、我田引水になっていないかもチェックしながら進んでみましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑬Let's challenge!

問題

あなたは、今から明日までに百個の旅行に関するキーワードを出す約束をしてしまいました。そこで、百個のキーワードを出すためにどんな段取りを考えますか?

進め方 アイデアを出すとき、プレッシャーとなるのが数です。ここでは、予め数を克服するために、計画あるいは戦略を立てることを学んでみましょう。

回答例

24時間のうち、睡眠や休憩、食事をのぞくと、アイデアを考えられる時間は、長くて8時間程度。仕事の合間に考えるとして、6時間で360分。これを100個で割ると3.6分に一個考える必要となる。3分弱で1つのキーワードが考えられるのは、平均である。疲れも考えると、1時間単位で、30個、20個、20個、20個と10個のペースで書くことにして、先にノートに、30個、20個、20個、20個と10個の項目表を作っておく。これなら、何とか達成できそうだ。

発想には段取りが必須

 段取りがうまくいくと、発想に集中することができます。先ずは発想の環境を整えるようにしましょう。

2-13

 

NEXT Step

 気になることの克服のために、今やるべきことは何かをはっきりさせる優先度付けの練習をしましょう。優先度を考える場合、(1)あなただけで片付くこと、(2)あなたの成果を待っている関係者がいること、(3)誰かの成果や情報であなたが待っていること、(4)誰がやってもよいこと、に分類した場合、優先度の高い順は?

進め方 発想の時間を確保するには、他人から依頼されたことは先に済ませましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑬繰り返し反復練習しよう!

 心得3にあるように継続するためにどうしても避けられないことが、反復練習です。何とか三日坊主の私でも続けることができないか。今回は、反復練習が苦にならない方法を提案します。三日坊主も少なくとも元日から1月3日までは継続する意思があったわけです。何が継続を阻むのでしょうか?

アイデアマラソンは、小刻み計画で。

 先ず、やる気をなくすのは効果が見えないこと。続けることで効果が見えれば、やる気が出てきます。二つ目は、手間がかかることは避けたい。いろんなことをしなれば練習にならないといえば、効率が悪くて面倒になります。最後に、他のことに興味を持ってしまうこと。例えば、三日坊主の日記を考えると、書き込む日記帳やペンなど、変にこだわってしまって、肝心の日記に中身にまで気力が続かないというものです。

 効果が見えるようにするには、数字や量に置き換えると、良い結果が得られます。プラクティス1にあったように、枠を1つずつ越えるとか、目標のページまで先に色を塗っておくとか、ちょっとした強制力、緊張感が重要です。

 粘り強いマラソン選手でも、三日坊主と同様に、途中でやめることを考えるそうです。ちょっと往年のマラソン選手ですが、メキシコオリンピックで銀メダルをとった君原健二さんでさえも、「あの電柱まで走ったら止めよう・・」と思うのだそうです。次の電柱まで走ると、「あの電柱まで走ったら止めよう・・・」と思い、また、次の電柱までいくと「あの電柱まで走ったら止めよう・・・」と繰り返すのだそうです。決して最初は、ゴールまでの長い距離ではないけれど、続けることで、一歩一歩ゴールに近づく。そして、誰よりも粘り強くやり続けることが、君原選手の強みです。

 易しく直ぐに出て来てしまうなら、それで良いでしょう。プラクティス1で把握したように、アイデアを出すことが苦にならない人は、この練習は不要です。しかし、日頃コツコツ努力して、書き貯めたアイデアこそ、ヒット商品に繋がる可能性があります。なぜなら、それだけ本人の思いが込められて得た成果物だからです。君原選手のように、今日は、3つ出そう、明日も3つだ、で結構です。小さな努力の積み重ねこそ、アイデアを出した後の具体化の時に大きな力になっていくのです。積み重ねた分だけ、アイデアのイメージが鮮明であるから、具体化が進むからです。

シンプルなことから始める


 プラクティス10で「突っ込み」について練習をしました。重要なことは、理由の探索、つまり「なぜ?どうして?」の繰り返しです。子供のように、どうして、どうして、を繰り返すといった単純なことです。君原選手の勝負は走ることです。単純ですが、競争という緊張感の中で力を発揮します。発想や連想を鍛えることも、単純に、繰り返すことで、気付きを得ることから、毎回同じように見えることでも、全く毎回違った経験をすることになります。この気付きを毎回体験することが、発想力、連想力を鍛えることになるのです。

 突っ込みを練習しているとき、理由が出てこないことがあります。どうして、そう考えるのだろう?と疑問が出た瞬間、気付きが生まれます。この気付きが、どんどん連想を広げる糧となります。

 例えば、「毎日、新聞を読んで情報を得ている」ことに、突っ込みを入れてみます。どうして毎日なのだろう・・・一週間に一回だったら何が不便かな?新聞を読むのはどうしてだろう・・・毎日届くから?読んでいる気になっているが、見出しだけ読んでいることもあるな・・・新聞からの情報って何か?ニュース?インターネットでも手に入る・・・でも、通勤電車じゃ無理?最近は携帯でも読める。ということは、新聞にしかない情報とは?社説?意外と分野が広い情報・・・。

 いかがでしょう。常識的な毎日、新聞を読むといったことが、改めて考えると気付きの連続であることがわかります。

 突っ込みの練習は、シンプルです。理由を探すこと。そして、常識の中の疑問から非日常を探し出すことになるのです。

気になることを先に済まそう!

 発想は自由な脳の働きが必要です。これはこれまでの練習で感じたことでしょう。継続で一番の敵は、この「気になること」です。気になることがあるとそれを先に済ませましょう。後回しにすればするほど、発想に熱中できなくなります。終われば、気を取り直して、練習に戻れば良いのです。思い切り良く、気分転換にもなるので、練習を切り上げることです。気になることが片付け終われば、また復帰すれば良いのです。ルール3にあった継続。気軽に自分のペースで進めることが一番です。

 繰り返すことが少しは楽になりましたか。それでは、次のプラクティスをやってみましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑫Let's challenge!

問題

(1)              ご当地「チョコレート」の企画です。あなたの出身地とあと2つ、都市名を選んで3つのご当地チョコを考えます。

(2)              出身地は、あなたの名前や生まれに関連するチョコレートを発想しましょう。できれば名称と材料を書き出してください。

(3)              残りの2つは、その都市にちなんだチョコレートを企画します。(2)と同様、名称と材料を書き出してください。

進め方 出身地チョコで、あなたや生誕地をアピールするような名称を出すようにしてください。材料も、名称にふさわしいものが必要です。出身地チョコでコツがわかったら、2つの都市で同様にその街をアピールする名称と材料を考えましょう。

回答例

出身地:京都、名称:「はんなり抹茶チョコ」、抹茶入りチョコレートを半紙で包んだ一口菓子。 

場所と品物の関係

 ご当地チョコは、場所に行かない、いけない人も含めたが食べる、場所の代替を意味しています。京都に行かなくても、京都に行ったような気分にさせるチョコレートという意味です。

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NEXT Step

 今度は企画したご当地チョコを販売することを考えます。あなたは宣伝部長。ご当地チョコを売り出す時にどんなキャッチフレーズを考えますか。

進め方と例 キャッチフレーズですからキーワードではいけません。また、食べられる場所も想定しながらアイデアを出してください。例えば、オフィスのちょっとした、くつろぎタイムを狙うなら、「ほこり、はんなり、宇治のやすらぎでリフレッシュ」というのはいかがでしょうか。