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【ヒット商品】ネタ出しの会  3. 発想編 「ヒット商品ネタ」を生みだす8つのトレーニング②アイデアの調査・確認をしよう!

「発想の地平線」に到達すると、次に確認や調査に入ります。いよいよ、アイデアを具体化する段階に入ります。

先ずアイデアのイメージを固めよう!

 ここで、発想を発展させるときに、確認や調査で注意しなければいけないことがあります。調査や確認は、仮説を持たないで眺めると先入観を持ってしまう危険性があります。例えば、「真夏においしくチョコレートを食べる」企画でも、アイデアを出す前に関連する商品やデータを調べ始めると、自分の発想に似た商品を発見したり、調べたデータだけでは自分のアイデアを裏付けてくれるようにならなかったり、アイデアがしぼんでいく可能性があります。一度アイデアが萎むと、先入観が生まれて、新しいアイデアを展開するワクワク感が消えてしまう場合があります。そこで、「発想の地平線」まで到達して、自分なりに商品の仮説をもった上で、確認や調査を行います。

 アイデアに伴った商品やサービスイメージを使って、確認や調査を行うポイントをあげましょう。

  • イチゼロの確認をしないこと。

イチゼロの確認とは、ある、なしを指します。類似商品があった、なかったとか、想定顧客がいる、いない。アイデアの多くは、よく似た事例や代替手段があることがほとんどです。イチゼロで確認するのではなく、類似点と相違点を確認してください。「真夏のチョコドリンク」もコンビニ向け商品にありそうですが、どこが同じで、どこが違うのかを調べることです。

  • 用途だけで判断することは避けること。

改善を促し、新しい効果を出すことは、アイデアを出す最初からの狙いです。アイデアの効能や効果を使って○○を改善するといったことはよくあることです。問題はアイデアを使う場面や状況です。「真夏のチョコドリンク」では、ビジネスパーソンに飲んでもらおうという意図は良いのですが、チョコドリンクを飲む場所や状況はどうでしょうか。オフイスやコンビニといった限定領域だけを念頭にアイデアの発想者が考えているなら、企画としては狭いものとなってしまいます。遠足や行楽、夜食やスポーツあとといった場面では違ったアイデアが生まれる場合もあります。ここでは、アイデアの効果や効能には注目しますが、用途や使われる場面、状況を絞り込むにはまだ早いと思ってください。まだ、「発想の水平線」には到達していないとも言えます。

  • 調査に関連するデータを集めてから判断することは避けること。

先に述べたように先入観での調査は、発想を委縮させてしまいます。アイデアに関連する商品イメージが出来上がった段階で調査することにしましょう。商品の仮説がない場合はさらにアイデアを膨らませる必要があります。

  • 最新の情報を使うこと。

調査や確認には、書籍や報告書、インターネットで行うことがこの段階では多いと思います。情報はできるだけ最新のものを使いましょう。「真夏のチョコドリンク」も自分のご褒美に何を買うかといった下図の調査を使うと有望かもしれません。

3-2

出典:株式会社 Media Shakers (メディア・シェイカーズ)の運営している調査より抜粋

 

調査や確認の段取りをしよう!

 「発想の地平線」に到達すると、確認や調査をする項目が出てきて、何から手をつければ良いかわからなくなります。そこで、「真夏のチョコドリンク」の例で下表を見てください。

 

コンテンツ(中身)

プロセス(段取り、流れ)

1.          商品をストックして買ってもらうと他人のものと混じってしまう。これをどう防ぐか

l   取り間違いを防止する

 

l   どんな方法で防げばよいかを調査する

2.         暑いときに冷たいものが常識だけれど、アイスなど年中冷たくてもニーズがある

l   夏の菓子の購買傾向データを手にいれ、分析する

l   インターネットでまず調査する

l   マーケティング部の担当に聞いてみる

3.         メタボ対策として、過食でなければ、バランス食品として売れないか

l   メタボ対策商品とは何かを調べる

l   認定などが必要かも調べる

l   認定食品を調べる

l   インターネットでまず調査する

l   食品開発部の担当に聞いてみる

4.         職場環境を考えると、冷蔵庫が必ずしもあるとは限らないと思う

l   現在の職場環境で軽食をとることはどうなっているのかワークスタイルを調べる

l   自動販売機を使うなど冷蔵庫以外に冷やす方法を検討する

5.         爽快感のあるミントチョコも良いが、他社の商品もある。逆に冷えた事務所でリフレッシュできる夏向けチョコドリンクはどうか

l   自分へのご褒美のようなワクワク感が感じてもらえないか

l   ドリンク意外にサプリメント感覚はどうかなども検討する

l   インターネットでまず調査する

l   マーケティング部の担当に聞いてみる

このような表を書く必要はないかもしれません。大事なのは、コンテンツとプロセスを分けることです。調査や確認が必要な時、アイデアの中身を検証する(=コンテンツ)と調査や確認の仕方(=プロセス)を分けることです。このように整理しておくと、後はチェックして行動を起こすだけですね。

 次はあなたのアイデアでプラクティスしてみましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  3. 発想編 「ヒット商品ネタ」を生みだす8つのトレーニング①Let's challenge!

問題

「真夏においしくチョコレートを食べる」の企画に倣って、あなたのワクワクするアイデアや注目しているアイデアを1つ選んでください。図に示した手順で「発想の地平線」まで到達するまで動詞の突っ込みを進めてください。

進め方 形容詞は避け、動詞での回答に心がけてください。「高い」など形容詞で終わる場合は、「高いと思う」と主体が誰であるのかを明確にしましょう。「発想の水平線」に到達すると、調査や確認、依頼などが必要になります。また、図の枝で3段以上の階層まで挑戦してください。

回答例

「夏向けチョコドリンクを考える」を集中的に検討しました。

3-1


「発想の水平線」に到達できないあなたに

 次に進む前に「発想の水平線」に到達できなかった理由を考えてみましょう。

3-1A

NEXT Step

「発想の水平線」に到達したアイデアで、検証や調査すべき項目を「動詞」で列記しておきましょう・

 「他社の昨年の夏商戦の価格変動を調べておく。」「何が購買意欲を刺激したのか」仮説を立てる



【ヒット商品】ネタ出しの会  3. 発想編 「ヒット商品ネタ」を生みだす8つのトレーニング①「発想の地平線」まで行こう!

これまでは、いわばヒット商品作りの準備体操。ヒットにつながるアイデアの出し方を紹介しました。これからは、アイデアを徐々に具体化するプラクティスを紹介します。

商品企画の第一歩

 先ず、商品企画の対象を選びましょう。これまでのアイデアノートを読んでみて、一番商品イメージが出易いものを選びましょう。もちろん、ワクワク感があるものを優先しましょう。

 例によって「真夏のチョコレート企画」です。では、プラクティス10で体験した、動詞の突っ込みを入れて曼荼羅風でアイデアを拡げます。

動詞の突っ込みで開始!

図は、「真夏においしくチョコレートを食べる」で展開したものです。

(仕事で役立つ?)

l  暑い外回りでもリフレッシュできる

l  冷えた事務所でも、リフレッシュできる

(いくらかかる?)

l  ワンコイン(500円)で数本ストックできる。

(どんな情報がいる?)

l  外気温と食感の関係がわかるデータが必要である。

(何かモノが必要?)

l  保温する装置が必要である

真夏においしくチョコレートを食べる

(仲間の助けは必要?)

l  試食調査の支援をお願いする

(誰とやると効果的?)

l  職場単位で購入することで、単価が下がる

l  職場単位で購入することで、一人で食べる恥ずかしさがなくなる

(世間が認めてくれる?)

l  メタボ対策となることを証明する

(プライベートに役立つ?)

l  チョコレートを食べることが好きである

l  チョコレートを作ったことは今までにはないと思う

 これだけでは、まだまだ広がりがないですね。それぞれのエリアでもっと、掘り下げが必要です。それには、「どうして?」を繰り返して、展開していくことです。でも、曼荼羅をまた書き直して展開するのは少し骨が折れますね。そこで、アイデアのサプリメントでも紹介している、図解術を使って、掘り下げを楽にして見ましょう。

 図は、同じ内容を書いたものです。表計算ソフトを使って、曼荼羅の真中を主題に、周りをアイデアレベル1の列に、「どうして?」の答えや掘り下げたアイデアをレベル2の列にどんどん書き込んでいきます。パソコンだと気兼ねなく、広げていけますね。

 ざっと、展開すると次の図のようになります。

 「真夏においしくチョコレートを食べる」という企画で突っ込みを進めると、

1.         商品をストックして買ってもらうと他人のものと混じってしまう。これをどう防ぐか

2.         暑いときに冷たいものが常識だけれど、アイスなど年中冷たくてもニーズがある

3.         メタボ対策として、過食でなければ、バランス食品として売れないか

4.         職場環境を考えると、冷蔵庫が必ずしもあるとは限らないと思う

5.         爽快感のあるミントチョコも良いが、他社の商品もある。逆に冷えた事務所でリフレッシュできる夏向けチョコドリンクはどうか

といった疑問やアイデアが出てきますね。

「発想の地平線」

 「動詞の突っ込み」もある程度進むと理由が明確でなくなってきます。確認や調査が必要になってくるからです。憶測でのアイデアは、そこまでが限界という訳です。この限界を「発想の地平線」と呼んでいます。「発想の地平線」は、詳しい調査や確認をする以前の発想の限界です。商品に具体性を持たせるために、「発想の地平線」までは一度は到達してください。

 では、プラクティスに進んで、実際に「発想の地平線」まで到達しましょう。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑮Let's challenge!

問題

アイデアノートを準備してください。プラクティス2を再度行います。今日の朝刊で、偶数ページの中段にある見出しをメモに書き込みます。5分間で、これらの見出しから共通する事項を見つけてください。

進め方 プラクティス2で行ったことと同様ですが、左ページに、出来るだけたくさんの見出しを先ず書き込んでください。共通な事項は、右ページに書くことにします。

回答例

【左ページ】

3月2日(月) ○○新聞(偶数ページ)より

「植物プラ 耐久性向上」、「シニア向け無料雑誌」、「システム開発支援」、「ドバイ、政府系企業スリム化」、「グリーンナノテク」、「単身高齢者世帯」・・・・

【右ページ】

緑、ほっそりした体型、シニア、ライフスタイル・・・

アイデアノートの使い方のヒント

2-15B
 

 アイデアノートを日常のペースに合わせて考えてみましょう。図のように、アイデアを蓄積してから、展開し、量を出すことを1つのサイクルに考えると、あとは、あなたが使い方の工夫をすれば、継続できる筈です。

 

NEXT Step

 アイデアノートが、第3章を進める上で助けになります。ここまでのプラクティスで自分に合ったものを使いましょう。それに慣れたら、違うプラクティスを取りれます。

進め方と注意 これまでのプラクティスで一番やってみたいものから順次アイデアノートをあなたの回答集として作成してください。


【ヒット商品】ネタ出しの会  2. 準備編 「ネタ出し脳」をつくる15のトレーニング⑮アイデア出しを日常生活に取り入れよう!

プラクティス3でアイデア出しのペース作りについて説明しました。また、第三時間というあなただけの時間をつくることでペースを作ることを紹介しました。ここでは、これまでのまとめとして継続のルールを守るために日常生活に取り込むことを考えます。  

一日一案

 あたなが仕事で創作、制作、企画を日常進めているのなら、既に第一時間にアイデア出しが組み込まれています。アイデアを生む出すことが義務であるのですが、クリエイティブアワーズ(創造時間)は公認されています。創造時間を濃密にするか、長い時間をとって、成果を出すことに専念できます。

 営業職で、創造時間など皆無というあなたなら、いかがでしょうか。アイデア出しなど不要なのでしょうか。決して不要ではありません。逆に、アイデア次第で、成果の出方が変わるともいえます。なぜなら、多くのお客様はあなたの提案を待って購入を判断しているからです。お客様に会ってばかりで、提案活動の時間をさけないというあなたなら、お客様と会いながら、一緒にネタ出しをするような場にすることも考えてください。例えば、お客様にご挨拶に伺いながら、お客様の困っていること、自社の商品やサービスを買ってもらっている際に気付いたことなどを、建設的に聴いてみましょう。もちろん、直接ビジネスに無関係な一見無駄話と思える中にお客様のジーズが見え隠れしているはずです。

 考える時間ならたっぷりある。しかし、実行にはお金と知識が今以上に必要で躊躇しているあなたなら、本当に自分が取り組むべき発想が見えていない可能性があります。極端な意見ですが、あなたのアイデアが投資家や一緒に進んでいく仲間を魅了するようなものでないということです。つまり、あなたと一緒にワクワク感を共有できる仲間が、まだ現れていないことなのです。第三時間に余裕があるのなら、同じ話題で第三時間を共有できる仲間を作り、ワクワク感や共感を生むアイデアを一緒に考えてみてください。

 さて、みなさんに共通していることは、集中的に一気にアイデア出しをするのではないことです。第一であれ、第三時間であれ、日常生活の中でアイデアを貯めて、ヒット商品に生み出すような力をつけていくことです。

 まとまった時間があれば、創造時間は作りやすいものです。ただし、効率よくアイデアを溜め込める計画が必要です。細切れ時間がある方は、継続しやすいようにノートやパソコンといった記憶できるものの助けを借りましょう。細切れの時間をつないで、ひねり出しましょう。

 一日一善と同様、一日一案をペースにすることも継続のコツです。半年継続すれば150種以上、1年で300種以上のペースで、アイデアを生める計算になります。

 ここでいう案とは、単なる思い付きではありません。実施案や価値、ビジネスセンスで、買い手と売り手までがイメージできるもの、という意味です。

「変人」クラブを作ろう

 プラクティス12で「変さ値」について述べました。ここでは、「変人」になるのではなく、仲間と「変さ値」をあげて、切磋琢磨をしようというものです。

 えっ、そんなクラブは我が社では認められない?いえいえ、何も職場でという意味ではなく、家族や友達も含めて、気さくに無駄話ができ、アイデア交換が出来る仲間という意味です。例えば、ゴルフ部でも、ゴルフばかりをやっている訳ではありませんね。コンペのパーティで、気さくにアイデア交換できる機会をつくるということです。

 アイデアに具体性を持たせるには、アイデアを出す以上に知識が必要となってきます。個人でアイデアを暖めることは出来ても、実現する所までなかなか進まないのは、実現手段や現状の情報、将来の予測など、アイデア出し以上に、多く情報が必要となるからです。また、助力や支援、調整も必要となっています。

 この時点で一肌脱いでくれる仲間がいると、あなたにとって大きなアイデアを実用化する推進力になります。一方、仲間も、あなたとともに考えることで、アイデアの実用化を実体験できるメリットがあります。大きなプロジェクトで企画を行う際、「変人クラブ」をブレーンとして扱えば、ネタだしとしては半分以上成功しているといえます。なぜなら、変人クラブでの意見交換で、プロジェクトの成果を出す前に十分な検討が行われるからです。

 第三章以降は、変人クラブのように、忌憚ない意見をあなたに返してくれるパートナーが入ればより効果的に進めます。

アイデアノートで発想のペースをつかむ

 日常のアイデア出しを定着させるための日常プログラムを作って見ましょう。細切れ時間で創造時間を作っている人は、連続的にアイデア出しを行うためにノートが必要です。

2-15


 アイデアノートは、図のように、日付順で、見開きでつかいましょう。一方は、左ページのアイデア用、右ページは修正や追加用です。

 アイデア用は、中心にアイデアの図を書く、プラクティス10で使った曼荼羅風の表でも結構ですし、走り書き、自分でプラクティスをやった結果など雑然としていて良いのです。ただ、日付順にだけはしましょう。後で、アイデアを思い返す時に、最も検索しやすいのは日付です。そうだ、○月ごろのアイデアだった、といったように時間で引くとすぐ目当てのページが出てきます。

 アイデアノートではなく、パソコンで進めたい方は、「アイデアのサプリメント」をご覧ください。

 ノートをつくるのは、アイデア出しのペースを作ることが目的です。ですから、自分の発想のスピードに合わせて貯めていくと考えてください。ノルマのように、1か月でノート1冊というやり方もありますが、最初から気負いすぎて三日坊主になりやすいですから、ある程度ペースがつかめてから、ノルマをかけても良いと思います。

 今回のプラクティスは、これまでの練習を活かしてアイデアノートを作ることです。