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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:米SVB(シリコンバレーバンク)の破綻が意味するもの」から

2023.3.1日経産業新聞の記事「眼光紙背:米SVB(シリコンバレーバンク)の破綻が意味するもの」から

技術革新で供給力が増加するために労働と資本が恒常な余剰状態

米国のFRBが何のために金利を引き締めているのか、さらに今回のSVBの破綻が示す引き締めの副作用の顕在化でリスクが見えたにも関わらず、好景気でインフレが起きず金利が低下しているのかといった背景について、コラムの著者は言及している。

○コロナ禍以前より長期トレンドが労働と資本の余剰が続いている

 コラムによれば、米FRBは1年間に4.5%も金利を上げてきた。しかし米国の景気は堅調で、インフレーションが沈静化している。米国の民間労働者の平均時給(前年比)は2022年ピークの0.7%から0.2%へと急低下している。どうやらインフレーションの原因は供給サイドの制約で解消されて、沈静化しており、FRBが意図した利上げによる需要抑制は不要であったといえる。

一方で、全米16位の中堅銀行、SVBの破綻で、金融引き締めの副作用が顕在化した。短期金利で預金を受け入れ、より金利の高い貸付や長期債権などで運用する従来の銀行ビジネスモデルにショックを与えた。つまり長短金利の逆転でビジネスモデルが成り立たなくなったからである。FRBも急激な利上げのリスクを学び体験したことになる。

では、好景気でもインフレーションが起こらず、金利が低下しているのか。自然失業率と自然利子率の低下という、コロナ禍以前の長期的なトレンドが続いているからである。つまり、イノベーションが供給力を増加させて、労働と資本の恒常的な余剰を生んでいるからである。この余剰を放っておくと、日本病であるデフレーションが起こる。米国もデフレーションのリスクをはらんでいるとも言える。必要なことは余剰を稼働、つまり使うことで適切な需要不足解消策を取ることであろう。💡📉📈👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:値上げはニュースか、本来は頻繁に変わるもの」から 

2023.3.17  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:値上げはニュースか、本来は頻繁に変わるもの」から

国内では商品の価格変動が小さいため値上げがかえってニュースに

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)によれば、前回に続いて小売価格について変動しやすいものとそうでないものについて考察している。

○横山教授の滞在先英国エジンバラでは大手チェーンでも商品価値が大変動

 横山教授によれば、スーパーマーケットで売られている商品には価格変動しやすいものとそうでないものがあるという。最も価格変動しやすい商品は青果物と鮮魚類で、自然環境に依存して収穫・漁獲量とタイミングが決まることから、旬の時期には品質が良くて安いものが出回る。価格は変動するが、その周期は季節などで決まり基本的に安定している。消費者も旬の時期の価格などが予想できる。

一方、価格が変動しにくい商品は、原材料から工場で作られる製菓など長期計画で生産量を決め、生産コストに基づいて価格を設定している。特に小売の段階で価格の変動は少ない。最近は青果物や鮮魚でも価格変動が小さいものがある。しいたけや鰤のように工場生産したり養殖できるようになったからである。また小売段階でチェーン店の成長も価格の安定に一役買っているという。コンビニエンスストアはその代表で、チェーン店は全国どの店でも、同い価格、同じ品揃え、サービスを大切にすることで、企業側が標準化によって管理がしやすく、消費者もイメージがしやすくなるというメリットがある。商品の価格はさらに変動しにくくなる。

国内では大きく商品の価格が変わらないので、たまに起こる値上げがニュースとなる。もっとも最近はウクライナ侵攻による原材料の高騰で、値上げが広がっている方がニュースになっている。メーカーはニュースになることで顧客離れてしまうのを恐れるため、小売や卸から仕入れ量を減らされないように仕入れやオペレーションを工夫して価格を現状で維持しようとする。原材料の高騰でこの価格維持が結構難しい状況である。

しかし、横山教授によれば、本来は農産物でなくても価格は変動するものであるという。横山教授の滞在先、英国エジンバラでは大手チェーンでも商品価値が大変動するという。企業がすぐに環境変化を売値に反映させるためである。消費者も理性的であれば、小売段階での価格変動はウクライナ侵攻による原材料の高騰といった理由があるはずで、値上げが許容範囲を超えたなら買わないだけである。🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:目標が曖昧な訪日観光」から

2023.3.15  日経産業新聞の記事「眼光紙背:目標が曖昧な訪日観光」から

人数至上主義から経済効果や地方創生を重視するのは良いが

コラムの著者は国土交通省が開く交通政策審議会観光分科会でまとまった「観光立国推進基本計画」の改正案をみて、その内容がコロナ前の政府目標の変更が面倒だから曖昧にしていると批判している。

○インバウンドの数値目標は3つに

 コラムによれば、インバウンドの数値目標は、

  • 消費額5兆円の早期達成:岸田首相が早期に事前表明
  • 2025年に一人当たりの消費額(消費単価)は20万円
  • 外国人旅行者数は(コロナ禍前の)2019年水準超え

としている。人数至上主義を取りやめ、経済効果や地域創生を重視している点は量から質への転換で評価できるという。だが、表現のわかりにくさが混乱を呼んでいるという。まず、消費単価で2019年の約16万円から25%増である。これも航空運賃の高さもあり、現時点で日本を訪れているのは消費意欲が高い外国人といえる。すでにこの目標は達成されている。だが、今後、人数の増加にともなって客層が広がると消費単価は下がるだろう。

2029年超えという表現も曖昧だという。この文言を「2019年実績(史上最多の3188万人)超え」と受け取る報道もある。消費総額目標5兆円を単価目標20万円で単純に割ると2500万人で、以前政府目標であった2020年4000万人、2030年6000万人)の変更を曖昧にしたようにも見える。どうも曖昧な目標は業界に対して罪作りにならないか。🗼💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「WAVE:失敗と書いて成長と読む」から

2023.3.16   日経産業新聞の記事「WAVE:失敗と書いて成長と読む」から

シリコンバレーでは「倒産=経験」となる

コラムの著者 宮田拓也氏(スクラムベンチャーズ代表)は、シリコンバレーでシリアルアントレプレナーである友人が倒産という失敗を糧(経験値)として再度挑戦していることを語っている。

○日本政府のスタートアップ5ヵ年計画に応用できるか

宮田氏の10年来の付き合いのある起業家のラケッシュ・トンドン氏から連絡がきたという。「また会社を立ち上げたんだ。投資しないか」と。宮田氏によると、ラケッシュ氏は全てデジタルファーストで設計されたペット病院、Dr. Treatを創業したという。ペットの飼い主たちに最高の獣医による予防も含めたペインケアを提供するペット病院を経営している。有料会員になれば、クリニックでの無料診察、遠隔によるバーチャル診察、デジタルの医療記録へのアクセス、薬の自動宅配などのサービスを受けることができるという。宮田氏のVCも出資している。

ラケッシュ氏とは10年前に彼が金融機関を辞めて、同僚と起業したLeToTeの創業期に宮田氏のVCが投資したのかキッカケであった。同社はサブスクリプションブームに乗り、多くの大手VCから投資を受け、成長をしていった。そこでラケッシュ氏は大きな賭けに出た。

2019年11月に老舗百貨店チェーン、Lord & Taylorを買収する。デジタル技術と急成長するユーザーをベースに、リアル店舗とデジタルのECのハイブリッドな新しいブランドを構築する戦略であった。しかし、2020年のコロナ禍で店舗を一切開くことができず、店舗在庫を担保にしていた融資条件に引っ掛かり、あっけなく倒産した。日本国内であったら、ラケッシュ氏は「倒産=失敗」と見なされ、再起は難しいだろう。しかし、シリコンバレーは「倒産=経験」となるという。実際、ラケッシュ氏は1年足らずで新しい会社を立ち上げている。1社目の経験を活かし、戦略を練り、仲間を集め、資金調達、マーケティングを力強く推進している。宮田氏によると、ラケッシュ氏は1社目より2社目の方がスピードも早く戦略も巧みになっているという。

日本政府のスタートアップ五カ年計画でスタートアップの倍増を狙っているが、チャレンジをしようとする起業家をいかに増やすかであろう。失敗=経験といえるチャレンジ環境づくりが重要だと宮田氏は指摘している。😷🐱🐶📡🛰🏢🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:温泉銭湯と地熱発電」から

 2023.3.15  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:温泉銭湯と地熱発電」から

原子力発電所の約20基分の利用可能なエネルギーを持つ日本

コラムの著者 円山重直氏(八戸工業高等専門学校長、以前の記事では東北大学流体科学研究所教授)は、2013年10月11日に「TechnoOnline:優等生の地熱発電、開発へ欠かせぬ支援体制」で掲載しているが、10年前と規制などのハードルは低くなったもののプラント建設が進んでいないという。○青森県の銭湯はほとんどが温泉

青森県の銭湯には温泉が多いという。利用者もシニアだけでなく、子ども連れが多いという。風呂は朝早くから楽しそうな方言の会話が聞こえてくる。青森県は人口10万人当たりの銭湯の数が日本一で、地域に根付いているという。円山氏も温泉銭湯のファンで、八戸市周辺の温泉銭湯を堪能しているという。

だが、ロシアによるウクライナ侵攻で光熱費の高騰で銭湯も経営難であるという。そこで以前の記事でも小規模温泉発電システムを提案してきた。温泉の中には源泉の温度が高すぎて適温まで冷やすケースがある。この未利用のエネルギーを使い、エアコンを応用して発電するというものだという。光熱費を減らしたい銭湯経営者の支援になるかもしれない。

地熱発電は地熱エネルギーを本格的に利用する大規模な発電システムである。以前の記事で、円山氏は他の再生可能エネルギーとは優るのが、連続して電力を供給できる点にあると述べている。日本は、地熱利用の可能なエネルギー量は摂氏150度以上の熱気が2400万キロワット原子力発電所の20基分があると言われており、世界第3位で、地熱先進国のアイスランドよりも極めて多いという。可能性としては多いに大きいが、実際は、現在、53.6万キロワットに留まって、その建設は1999年で止まっているという。

また、地熱発電が促進されない理由として:

  • 法規制:RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)や自然公園法の規制
  • 地熱開発地域が温泉地などとほぼ同じであることから地元の理解が必要
  • 10年以上新規での地熱発電の開発が途絶えていたため研究者や技術者が日本にいない
  • メガソーラーなどに比べて建設に莫大な時間と経費がかかるため、経済性のインセンティブが必要

といったマイナス要因があるが、アイスランドなどで使われている設備の7割以上が日本の技術でつくられていることから、人材育成と政府の経済的な支援があればプラスと見ることもできるという。また、温泉観光地と隣接する場合が多いため、地熱発電プラント建設には地元の理解が必須である。ただし、地熱発電と温泉の源泉は地表からの深さが大きく異なり、発電につかった温泉水は地下に戻す仕組みになっていることから、既存の温泉への影響は少ない。だが、いまだに実際のプラント建設は進んでいない。♨︎💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵