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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「トレンド語り:ルイ・ヴィトンの広告、広告費でメセナ活動」から 

2023.4.26  日経産業新聞の記事「トレンド語り:ルイ・ヴィトンの広告、広告費でメセナ活動」から

陰と陽の意味合いをもつ写真広告

新型コロナウイルスの感染が続く2022年の秋、ルイ・ヴィトンは巨大な広告を工事中のパリの古い建造物の仮囲いに設けた。広告はシリーズになっており、写真家のヴィヴァアン・サッセン氏が世界を回って撮ったものである。コラムの著者 竹原 あき子氏(工業デザイナー)は、ルイ・ヴィトンの姿勢と写真の意味合いについて語っている。

◯トランクに秘めた複雑な心理

竹原氏によれば、この広告はフランスの名所、モン・サン・ミッシェルを背景に男の子が旅行カバン(トランク)を空に向けて跳び、その影が地上に落ちる写真を使い、右上にブランド名とスローガン、A LA POURSUITE DE REVE(夢を追いかけて)が掲載されているという。

写真家ヴィヴァアン・サッセン氏は砂漠や山岳地帯、浜辺、雪山などでトランクを時には船に、気球に、山小屋に見立てて子どもが楽しげに遊ぶ姿を撮っている。

その明るい陽に対して、ルイ・ヴィトンのトランクは意味深なモチーフであるという。「金持ちのバカンスの象徴」とわかるのは大人だけで、実際トランクは使用人かポーターが運ぶ。だから写真家は広告の中で戯れる子どもの夢をトランクに託す一方で、被写体にトランクで大旅行することなど成人になってもあり得ない現実をトランクの影、陰で表現した。この複雑な心理をあえて広告に選ぶルイ・ヴィトンの文化政策(メセナ)活動でもある。🧳📺💻📳🍂🥻👔💡🚕🥬🥕🍞🐱📶📺🦠😷🍲🍵🏢📶🏢💡⚡️🌏happy01📂🌍🇫🇷


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:表層的対価思考の罠」から

2023.4.26  日経産業新聞の記事「SmartTimes:表層的対価思考の罠」から

相手企業の知識や技術を「取る」のではなく「育む」という視点が必要

コラムの著者  栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、日本のシステム開発やSIer業でありがちな工数による開発費という表層的対価思考によって実は、売り手も買い手も優良なシステムを手にいれる機会喪失していると指摘している。

○機械工と芸術家のジョークに見る価値とは

 栄籐教授は、システム開発において発注側と受注側での費用、すなわち価格について価値の見方の差異と表層的対価思考による罠について、2つのジョークの背景からこれを説明しようとしている。

  • 米国の出典不明の技術者ジョーク:
    • ジョークの概要:
      • あらゆる機械を修理するのに多才な技術者が30年以上勤続した企業を退職した。
      • 数年後、その会社の数億円の機械の1つが故障した。故障の修理を退職した技術者を呼び出して依頼した。
      • 彼は問題のある部品にマークをチョークでつけ、ここが問題であると指摘した。その部品を交換すると、機械は見事完璧に動作した。
      • 後日、彼は会社に5万ドルの請求書を出した。高額なので会社側は明細を知らせてほしいとのことだったので彼は、「1つのチョークのマークに1ドル。どこに置くかを知ることに4万9999ドル」と書き、満額を受け取って再び幸せな引退生活を送った。
  • 19世紀末にイギリスで活躍した画家ホイッスラーの実話:
    • ジョークの概要:
      • 1877年に「黒と金のノクターン」という作品の制作に2日間かかったが、その絵に200ギニー(現在の500万円)の価値をつけた。
      • 公明な芸術評論家は「価値なし」の烙印をおしたが、裁判になった。
      • 法廷で美術評論家の弁護士が「あなたはその2日間の労働の対価として200ギニーを値付けたのか」と尋ねると、ホイッスラーは「いいえ、私は2日間の労働ではなく、私の人生の経験からきた価値を請求したのです」と答えたという。

栄籐教授は、この逸話を通して、日本のシステム開発に対して、2日間の労働賃金しか認めないことに継承を慣らしている。別段個別の取引であれば問題はない。ただ、この逸話の背景にあることを認知しているかが問題だという。

つまり、システムの開発には逸話のように職人技が実は大きくその性能を左右する。発注側もせっかくの自分たちのとって優良なシステム提案があっても工数という表層的対価で考えるならホイッスラーの名画の価値がわからないと機会を逃し、自社のとっての最良なシステム開発を逃すことになる。受注側も提案は無駄に終わり、工数による「やっつけ」仕事に陥る。これはお互いの利益にもならず、受発注双方の共存共栄の道を閉ざすことになろう。💰💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:危機の中での楽観的見方」から

2023.4.25  日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:危機の中での楽観的見方」から

レイオフされても楽観的な背景

コラムの著者 フィル・キーズ氏(米インタートラストテクノロジーズ マネージャー)によればマスコミ報道の内容ではシリコンバレーに危機が迫っているように見えるが、B2Bに関して言えば、現在の業界での不幸や危機は今後のビジネスを拡大するものとつながるという。さて、その理由とは。

◯SVB破綻、大型テック企業のレイオフ、VB投資の減少という危機の中で

キーズ氏によれば、報道されているレイオフの要因は2つあるという:

  • 新型コロナウイルスの感染拡大で、リモート会議やECなどを使うデジタル技術が増え、それを取り扱うテック企業の社員は急増した。しかし、その需要は長く続くわけでもなく調整局面にはいり人員もだぶついた。
  • 金利上昇に伴う景気後退への懸念が出てきた。不況で消費者の需要は減衰し始め、広告業を生業とする米Googleなどは減益となり影響を受ける。

ただ、レイオフされた社員は先のない話ではないという。確かにテック企業の需要は低下したが、ICTがICT分野のテック企業だけの利用ではなくなり、多くの業界でICTを抜きに語ることはできない状態となったために、レイオフされたテック人材は、他の業種業態への再就職が多いという。

確かにレイオフされたテック業界の人々は落胆しているかもしれないが、多くの人は新たな業界での活躍が始まると、キーズ氏は楽観的な見方をしている。🏦📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:持続可能な機内食、満足度との両立、試行錯誤」から 

2023.4.21   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:持続可能な機内食、満足度との両立、試行錯誤」かから

脱炭素や乗客によって影響を受ける機内食

航空各社は、燃費の向上と脱炭素の取り組みとして、持続可能な空の旅を模索しているが、コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)によれば、機内食までも変革を余儀なくされているという。

◯顧客満足度と持続可能性の両者を狙う改善が必要

 小野教授は、機内食の質と量、持続可能性を考慮した上でさまざまな工夫を凝らしているという。事例をシンガポール航空で小野教授は考察している。

機内サービスで定評のあるシンガポール航空は日本路線のエコノミークラスの機内食でまず、トレーを2018年5月から従来の大きさから3分の2に、皿数も減らした。さらに機内で再加熱する料理は陶器から溶けにくいプラスチック製の軽量なものへ、さらに短距離便では紙製を使うようになった。

食材や食器、カトラリーの重量は座席の数だけ減れば燃費向上にも繋がり、一般的にはコスト削減にように見える。だが、それだけではなく、機内食のフードロス対策が必要だという。

客層が男性客中心の時代では「豊富なメニューで残るぐらいが良いサービス」という価値観で機内食を提供してきた。ところが客層も若い女性など新たになるにつれて、炭水化物の食べ残しが目立つようになったという。フードロスを減らすために、従来はパンとそばを同時に出していたが、和食と和食以外に分けて変革を重ねているという。

同社がビジネスクラス以上の導入していた予約時にメニューが選べる仕組みもCS(顧客満足度)を上げるだけでなく、余分な在庫を減らす努力である。中にも機内食は不要を選択できるところもある。

味や量の好みは個人に依存し、国籍や民族、宗教も異なる乗客に数少ないメニューで対応する機内食の開発はもともと難易度が高いという。また機内食は空腹を満足させるだけでなく、空の旅を楽しむ乗客にとっては非日常の体験で、それをデザインする視点は重要である。持続可能性とともに満足度を上げ、従来とは異なる価値観で機内食を提供しなくてはならない。各航空会社の挑戦は続く。✈️🛫🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵🇸🇬


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:小学生もアプリ作成」から

2023.4.21  日経産業新聞の記事「SmartTimes:小学生もアプリ作成」から

地域の課題の解決策としてアプリ開発やコンテンツ制作が重要

コラムの著者  久米 信行氏(iU情報経営イノベーション専門職大学教授)は小中学生が自作のスマホアプリを競い合う第1回墨田ジュニアコンテストに審査員として参加し、その内容の高さと意義について語っている。

○単なるプログラミング教育ではなく社会課題解決へ

 久米教授は、墨田区長や東京商工会議所副会頭も同席しアプリやプレゼンを評価したが、大人顔負けの完成度の高さに驚いたという。コンテストの企画は、VB経営者の田中圭氏で地域課題を解決する新しい挑戦を支援する墨田区の「すみだの夢応援助成事業」に応募しクラウドファンディングを活用して実現したものだという。採択された「こどもみらいプロジェクト」はスマホのアプリ制作を通じて子ども達にものづくりの楽しさを体験してもらい、さらに身の回りの問題を解決する力を身につけてもらうことを狙っている。

アプリ自体はプログラミング不要なノーコードで開発を指導。毎週日曜日に3時間の授業を合計8回提供する。授業後も講師がフォローをおこない、子ども達のアプリ制作を支援する。この成果が今回のコンテストになっている。

このプロジェクトはアプリが作れるだけでなく、課題解決が求められるところが面白い。事前に3つのテーマから1つを選択し、子ども目線で課題を解決するという挑戦である。

  • テーマ「勉強や読書が楽しくなる」:アプリ「本ずかん」が受賞。姉が本をあまり読まない弟のために、好きな本を投稿して共有する「MYずかん」と推薦図書が紹介される「すいせんずかん」で読みたい本がすぐに探せるというもの。
  • テーマ「家族がもっと仲良くなる」:アプリ「成田家ニュースアプリ」が受賞。日々起こった出来事と関連する写真を、家族が自由に投稿して共有できる。
  • テーマ「すみだの街をあるきたくなる」:「すみだの町おすすめスポット」が受賞。小学生の先品でありながら英語と日本語で名所の解説。

これらのテーマを設定したことを考えると、必要なのはプログラミング教育だけでなく、地域の身近な課題を大人が示し、解決策としてアプリ開発やコンテンツ制作を考えることが重要であることがわかる。そのアイデアを褒めつつ改良し、社会に実装できれば素晴らしいと久米教授は考えている。さらに子ども達の自信と喜びにつながれば深い学習効果が生まれる。📱💰💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵