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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:売れ筋特化で消える商品、食文化など多様性に配慮を」から 

2022.3.4  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:売れ筋特化で消える商品、食文化など多様性に配慮を」から

絞り込みは売り手の論理であるが、買い手は食文化を重視

 コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、前回に引き続き売り手と買い手の関係に注目し売れ筋商品の絞りコミの得失について考察している。

○商業には消費文化の維持存続の役割がある

 横山教授によれば、小売業の過当競争は時として売れ筋商品の高回転で利益を生み出すことになるが、ロングテールの商材は今やECに席を譲っているという。

売れ筋に特化した小売の典型は、コンビニエンスストアがある。回転の悪い商品は、品揃え候補から脱落して消滅する。ただ、横山教授によればこの考えには落とし穴があるという。

確かに資本主義の原理に沿えば、シェアを得ることで他を凌駕し、自由競争の原理にも則った正当な行動である。しかし、結果としてトップシェアのみが生き残ると、消費者の選択の幅が狭くなり、その枠内に閉じ込められるという弊害を生む。つまり、多様な食文化が廃れることになる。

このような自由競争での文化の損失は大きいため、採算よりも多くは品揃えの幅を持たせようとする。そこには時として政府の介入があったりする。例えば著作物の再版制度もその1つで、自由競争であれば安くて売れる本だけとなり、需要は少ないが一部の人が強く望むような書籍を通じた文化の涵養が難しくあるからである。食品スーパーの鮮魚コーナーや有機野菜なども利益率では低いが、多様性のある食文化の維持には必要である。

このようにビジネスには消費文化の維持という使命があることを忘れてはならない。😷🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:電話を使わない世代」から

2022.2.25  日経産業新聞の記事「SmartTimes:電話を使わない世代」から

無音世代は会話が嫌いなのではなく効率が第一

 コラムの著者 栄籐 稔氏(大阪大学教授)よれば、30年前の携帯電話の普及率は3%に満たなかったが、2002年には90%を超えた後仕事で電話を使うことが急激に減少しているという。

○ 今は3つの大きな変化が同時に重なる歴史的にも稀有なタイミング

 栄籐教授はこの現象の背景に利用者の電話離れがあるという。特にミレニアル世代では顕著で、米国の調査では4人に3人が電話を「ウザい」と感じているという。彼らの大多数がZ世代で、以下のような行動パターンが見受けられるという:

  • メールで済むことはメールで済ませる。メールを優先して使う。
  • 電話を掛ける行為は相手と自分の時間を奪う。デジタルの手段を使えば、2行の文章で済むことが15分もっ電話では必要。
  • 電話しなければならない相手には事前にデジタル手段で確認する。

日本のXYZ世代(1965年以降に生まれたXYZ世代)でも、

  • 電話は使わない。メール、SNS、会話ツールというデジタル手段で完結。
  • 通信はデジタルが多いが、家族、親友、デジタルを使わない顧客とは電話。
  • 直に電話して何が悪いのか。電話の本人確認は信用できる。

という結果であった。デジタルだと相手との距離が縮まらないという意見もあったという。さらに、slackのような共同情報基盤では、半同期、弱同期、同期の複数の会話モードがシームレスにつながり、さらに効率を求めたコミュニケーションになりつつある。無音声世代は会話を嫌っているわけでなく、特に時間的効率を考え、通信手段に無駄をしたくないという考えのようだ。📞📱📅🏭🏠🙏🍷🕯📖💼💴🩺👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:接種券と選択のパラドックス」から

2022.3.1  日経産業新聞の記事「眼光紙背:接種券と選択のパラドックス」から

行動経済学の「選択のパラドックス」が意味するもの

 コラムの著者によると、自分の母に新型コロナウイルスのワクチン接種の通知が届き、すでに日付と会場が印刷されたことから、高齢者のケアの仕方と選択のパラドックスについて述べている。

○選択肢が多いほど良いというものではない

 コラムの著者によれば、3回目の接種券は接種の日時と会場があらかじめ印刷されていて驚いたという。高齢の母親にとって接種の予約は一苦労である。インターネットではなく、電話でも変わらない。昨年の接種では全国各地で予約作業をめぐる混乱が見られた。管轄の自治体でも混乱を避けるために、日時と場所を先に決めてしまおうと考えたのであろう。

一般的に高齢者は現役世代に比べて、時間の融通はきく。接種の日時をあらかじめ決めておいても、都合がつかないという可能性はそれほどないであろう。指定された日付に行けないのであれば、そのときこそ家族か関係者に頼んで自治体の窓口に問い合わせればよいだろう。問い合わせの件数も大幅に減ることから、窓口の負担も大幅に減る。高齢者もいつまで経っても予約が取れないという不安も解消される。

行動経済学に「選択のパラドックス」という考えがある。スーパーマーケットがジャムを24種類用意した時よりも6種類に絞り込んだときの方がよく売れたという。選択肢が多ければ良いというわけではなく、相手に決定権を委ねることが必ずしも良い結果を招くわけではないという証左である。🍶🦠😷🍟🚓💴📖📞🚗🚀⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:保管技術で青果物流に新たな価値」から

2022.3.2   日経産業新聞の記事「TechnoSalon:保管技術で青果物流に新たな価値」から

時間と空間を越えてモノを移動させて価値を生む物流

 コラムの著者 窪田新之助氏(農業ジャーナリスト)によれば、青果物を単に輸送するだけでなく、農家の悩みである豊作と凶作の価格変動を抑制することも行える事例を紹介している。

◯青果物が分泌するエチレンガスを管理

 窪田氏によれば、一般に野菜や果物は豊作だと品質は良いのだが供給過多で価格が下がるという。一方、凶作時にはその逆のことが起こるという。農家の努力が反映されない所以である。

そんな中で福岡ソノリク(佐賀県鳥栖市)は2つの保管技術により問題を解決しつつ付加価値までも生んでいるという:

  • エチレンガスを喚起して保管:青果物が出すエチレンガスを強制的に換気し加湿器で感想を防ぐことで、腐敗や熟成を抑える。
  • 酸素、窒素、二酸化炭素の濃度を調整して保管:青果物の呼吸を最小限に抑制することで鮮度を保つ。

物流業者でこの技術を備えた設備を整えることは珍しいという。2つの技術は鮮度保存で目的は同一であるが、農作物によって適性が異なるので別々に使っている。

保管期間は、種子島特産の安納芋が1年、玉ねぎで9ヶ月、馬鈴薯と牛蒡で8ヶ月、デコポンで7ヶ月、シャインマスカットで4ヶ月となったという。これらの保管技術を使えば、高値となる端境期に出荷でき、国産の端境期を埋めることは外国産への依存度を下げることにもなる。自然災害への備えにもなり、損害が抑制できる。さらに、長期保存は、安納芋や馬鈴薯では澱粉質が糖化して糖度が上がり甘くなるという。一部の産地ではこれが付加価値となる。

これまでの青果物流では、できるだけ産地から消費地にできるだけ迅速に届けることが使命であった。しかし、業界での人手不足や残業規制で今までような輸送はできにくい。物流会社はこの価値以上の付加価値が要求されていた。福岡ソノリクではさらにすすんだICTでの分析を進めて、最適な保管機能を提供しようとしている。物流の新しい付加価値である。🚚⏰🥒🍆🍅🥬🥇🕛💻✏️🏙🌾🍓😅🏃‍♀️🏠😷🦠❄️🍅📖🔎⚡🌍happy01🗻🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:『第4次』産業革命の予兆」から

2022.2.28  日経産業新聞の記事「SmartTimes:『第4次』産業革命の予兆」から

短期的には調整局面だが中長期的には成長

 コラムの著者 高宮 慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー)は、現在の世界的な長期的な変化について考察している。

○ 今は3つの大きな変化が同時に重なる歴史的にも稀有なタイミング

 高宮氏によれば、2020年ロシアのウクライナ侵攻などきな臭い株式市場となってきているという。米ダウ平均や日経平均も昨年ピーク時よりも軟調で、米国のNASDAQ総合指数も振るわない。

米国の利上げやテーパリングは確実視されており、投資家の恐怖心理を表すというVIX指数も警戒感を示し始めた。たしかに大きな調整局面はあるだろうが、マクロな変化は多くの事業機会をもたらすとして、高宮氏は3つの大きな変化で成長が見込めると見ている。

  1. 技術の進化:特にインターネット技術ではブロックチェーン、AI、VRなど非連続な変化をもたらす新技術が登場してきている。さらにインターネットは全産業で活用され、行政や社会起業までも影響を与えている。
  2. 新型コロナウイルスの世界的なパンデミック:全世界的に働き方を変え、根本的な社会生活の営みも変化させた。
  3. 未上場の資本市場での変化:未上場でも大きな資本が獲得できる環境が生まれ、VCのみならず、プライベート。イクイティ、上場株投資家お資本をユニコーン候補のスタートアップが活発化し新しい産業を産んでいる。

これら3つの波が重なり合い、世界は中長期的には大きな成長局面にあると言えるのではないか。🌅📅🏭🏠🙏🍷🕯📖💼💴🩺👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸🇫🇷🇩🇪🇬🇧