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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:要素還元主義、考察の出発『全体』にあらず」から

2016.9.23  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:要素還元主義、考察の出発『全体』にあらず」から

近代要素還元主義

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、古典的な要素還元主義ではなく、近代要素還元主義について『全体』の取り扱いの視点で解説している。

◯要素だけで『全体』を判断しない

和田教授によれば、

  • サイエンスは要素還元主義である。
  • 物や事の要素を見極め、それら要素が互いにどのように関係し合っているかを漏れなく見て、全体を理解する。
  • さらに全体が要素に及ぼす影響へと行きつ戻りつして、理解を高める

ことだという。

しかし、要素をみれば全体がわかるという素朴な古典的還元主義とは異なるという。古典的な還元主義しか知らない科学者は「全体を見なければ、ものごとは分からない」と説くが、近代の還元主義では、はじめから全体を見るのではなく、考察対象として要素をみる。ただ、その背景には、

  • 森羅万象には階層構造がある
  • ある階層で成立する基本概念や基本法則は、その一つ下位のミクロ層で成り立っている概念と法則で記述できること
  • 複雑な物事でも、それを構成する要素に分解してそれらの相互作用を漏れなく考慮すれば、複雑な物事全体の性質や振る舞いもすべて理解できる

という仮定がある。この仮定にたって物事が矛盾なく説明出来るかぎり仮定は正しいとする。ただし、この相互作用には全体との相互作用も考慮されていなければならない。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:爪隠すな!フィンテック」から

2016.9.21   日経産業新聞の記事「眼光紙背:爪隠すな!フィンテック」から

フィンテック関連企業の日米の違い

コラムの著者は、金融とICTが融合したフィンテックについて日米の取り組みの差の視点から語っている。

◯既存の金融業システムを利用する日本型フィンテック

注目される分野ではあるが、日米で関係企業の取り組みに違いがあるという。日本では、家計簿アプリや会計アプリなど既存の銀行システムを前提にしたサービスが大半で、銀行の手の回らなかった目新しいサービスを提供してくれる。しかし。コスト面では中立で、金利を上げたり、ATM手数料を下げるといった内容ではない。日本型フィンテック企業の多くは銀行の既得権益を崩すというより、共存共栄を志向している。

一方、金融サービスへの消費者の不平不満を解消しようと、シリコンバレー発のVBはこれらの不満に乗っかり、銀行を中抜きにしてその市場を奪うような破壊力を発揮し始めている。その事例が、仮想通貨ビットコインで、銀行を介さない安価な資金移動手段として登場し、世界の金融関係者を震え上がらせた。

となると、日本型は、社会を変革できる潜在力を自ら封印して、小手先の目新しさで満足しているのではないかと、コラムの著者の口調は厳しい。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:ローカル線、維持できますか」から

2016.9.20   日経産業新聞の記事「眼光紙背:ローカル線、維持できますか」から

地域特性にあった交通インフラの整備

コラムの著者は、少子高齢化時代での人口減少で社会の様々な仕組みの転換が必要だが、乗客が減り続けている鉄道のローカル路線について提案している。

◯地方の交通インフラで最適なのは鉄道だけではない

鉄道の特徴は、一度に大量の人員を運べる大量輸送性にある。乗客が減れば、固定費や維持費の安いバスや自家用車に任せる方が合理的である。

1987年、国鉄民営化の際に輸送密度4千人を下回る路線を原則は廃止したのも、上記の合理性によるのであり、決して地方の切り捨てではなく、鉄道よりも地域特性にあった交通インフラを選択するという発想があったという。

国鉄民営化から30年が経過した今、もう一度この選別ラインをあてはめてみる。例えば、JR四国では営業キロベースでは61%が、JR北海道では73%がこの基準を下回っているという。こうした路線は赤字でもあり、あえて鉄道サービスを維持する必要は無いと、コラムの著者は主張している。かわって、ローカル路線の主な乗り手である高校生などにはバイク(あるいは自動車)通学を認め、お年寄りには、ウーバー型のライドシェアサービスを実施して、日常の足を確保するといった、鉄道ありきではない発想の転換が必要であると提案している。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: AI時代の知財管理、増す複雑さ、仕組み新たに」から

2016.9.20   日経産業新聞の記事「風向計: AI時代の知財管理、増す複雑さ、仕組み新たに」から

経済成長を阻害しない時代にあった仕組みづくり

コラムの著者 橋本 虎之助氏(橋本総合特許事務所所長、弁理士)は、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットという第4次産業革命に関わる知財管理について語っている。

○情報財の爆発的増加

第4次産業革命を支える技術は、これまで想像できなかった商品やサービスを次々に生み、経済の活性化にもつながるという。企業の知財管理もこうしたシナリオを推進するものでなければ、取り残される。

デジタル化、ネットワーク化のもたらすのは、先ず、AIなどによる著作物、IoTによって収集・蓄積されたデータベースなど、情報財の爆発的な増加である。企業にとって情報財の何が保護され、どう利用できるのかといった点が明確でないと企業の活用は進まない。企業のこれまでの知財管理が完璧だとしても、ネットワーク化でグローバル化して、突然他社から訴えられるといったことが起こる可能性もある。対応も国内だけにとどまらず複雑な様相となってくる。爆発的な情報財も玉石混交で権利化されないものも多くあろうが、このような交通整理を行う仕組みも現在は未整備である。

政府も知的財産戦略本部で5月に「知的財産推進計画2016」を決定し、AIが生み出した音楽や動画、3Dデータなど著作権法で保護されない作品を守るために制度の創設に乗り出す。このように従来の枠組みを脱して、経済成長を阻害しない時代にあった仕組みづくりが重要であると、橋本氏は指摘している。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:アニメ時代の『葛飾北斎』」から

2016.9.16   日経産業新聞の記事「眼光紙背:アニメ時代の『葛飾北斎』」から

ハリウッド映画を凌駕する品質

コラムの著者がこの夏、封切りとなった2つの邦画、「シン・ゴジラ」と「君の名は」で度肝を抜かれたとの感想でその本質について語っている。

◯アニメやCG時代における初代市川團十郎や葛飾北斎に遭遇?!

映画はネット配信サービスでよいと考えている世代から多くの人が「面白い」と言っているのが、この2作である。面白い以上に、度肝を抜かれたという。日本映画はとてつもないレベルに進化していると思い知った。ハリウッド映画を今や凌駕しているとも言えるかもしれない。

制作費がものをいった実写時代、ド派手なハリウッド映画に慣らされた眼では邦画はどうもしょぼく見えたという。だが、CGと実写、アニメが融合する時代となってハンデは消えた。

高性能コンピュータを数台駆使し創造したゴジラは存在感を持ち、「君の名は」の主人公の細やかな感情表現は、そんじょそこらの名優を超えていたという。おたくものだったゲームやアニメが、それを極めた人によって文化や芸術になる。歌舞伎や浮世絵もそうやって進化した。

私たちはまさにアニメ時代の初代市川團十郎や葛飾北斎の誕生を目撃しているのかもしれない。camerahappy01