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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「拡大鏡:紅茶の箱、鉢に転用、価値提案」から

2016.5.30   日経産業新聞の記事「拡大鏡:紅茶の箱、鉢に転用、価値提案」から

老舗紅茶のお店のブランド利用

コラムの筆者 竹原あき子氏(工業デザイナー)は、前回のレジ袋の話題に続きパッケージと花について触れている。

○1848年創業の老舗紅茶ブランドをちゃっかり利用

同店の中古の箱をそのまま、ちゃっかり転用したのだろうと竹原氏はいう。パリの生花店で見たもので、紅茶ブランドの箱をそのまま鉢に転用して売っている。

正面には「カンパニー・コロニアル」「紅茶」「フランスの有名店」という言葉が書かれ、ティーポットのデザインが描かれている。コロニアル時代を演出する箱の中にヒヤシンスが植わっている。紅茶と花という意表をつく組み合わせもしゃれているが、3本を一列に並べて周りに苔を埋め込んだ演出のセンスも良いという。

驚きはその値段。プラスティックに入ったヒヤシンス1本が2ユーロ(約240円)であるのに対して、紅茶の箱入りでは3本で15.9ユーロ(約1940円)もする。つまり、パッケージ代は1700円という勘定になる。

パッケージの付加価値がここまではっきりとした事例は少ない。鉢も花も両方楽しむものだからパッケージも商品である。もちろん、花が咲き終えたら他の花を植えるといった箱のリサイクルも視野にあるのだろう。

花と鉢。商品とパッケージを別々の価値として提案できるところに新しいパッケージのヒントがあると、竹原氏は語っている。

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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究成果とは、『出口』のあることを実証」から

2016.5.31  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究成果とは、『出口』のあることを実証」から

2番手が先駆者よりも研究開発のキャッチアップが速いわけ

コ ラムの著者 山﨑 弘郎氏(東京大学名誉教授)は、先駆者の研究の業績が果たして評価されたか、それが2番手以降のキャッチアップに影響を与えたのではないかということに触れている。

○失敗を恐れず未踏の分野に「出口」を見出すことこそ研究の重大な成果である

技術開発に成功し最先端を経験した多くの研究者や技術者は、自らの苦労から、競争相手は簡単に追いつけないと思いがちである。ところが、山﨑教授はそうではなく、すぐにでも追い付き、時には追い越していくという構造的な理由があるという。

【最初の成功者によって道が拓け開発に出口があることを実証してしまった】

未踏の先駆者は出口すらないことに不安を感じ、出口どころかゴールも見えない状態。失敗や試行錯誤の連続で研究開発への投資は経営者にとっても大きなリスクとなる。出口の存在が確認できれば、2番手には無駄な努力は不要でリスクを減らせる。

【失敗の確率がへる】

出口がわかることは失敗を減らし、費用や人数などのリソースを思い切って投入し研究開発を加速できる。

【開発や生産に関連する装置や設備も完成度が上がってくる】

先駆者よりも完成度の高い設備が手に入ることでさらに開発を加速できる。

フロントランナーの苦労とは無関係に出口の発見で、2番手は一気に開発投資で先駆者を追い抜ける。日本がかつて取った技術戦略であった。しかし、今や日本はフロントランナー、先駆者に位置づけになり、新興国などからその動向を見定められる立場になっている。この出口を見出す支援こそが、今の日本に必要なところである。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: スマホアプリ、日中は起動時間短尺」から

2016.5.31   日経産業新聞の記事「風向計: スマホアプリ、日中は起動時間短尺」から

コミュニケーション利用はエンターテイメント利用より優先されやすい

コラムの著者 奥 律哉氏(電通総研 メディアイノベーションラボ統括責任者)は、内閣府が3月「消費者動向調査」と調査会社インテージの「i-SSPモバイル」というデータを使って、スマホアプリのマーケティングについて考察している。

○スマートフォンの普及率が従来型携帯電話のそれを超えた

内閣府の調査からでたのは初めて、スマートフォンが二人以上の世帯で普及率の面でガラケーを超えたことである。ここにマーケティングを考える上でも、個人の手元に情報を届けるスマートフォンに注目が集まるのは自然である。

奥氏が紹介している調査会社のインテージの「i-SSPモバイル」というデータでは、

  • 全国15~69歳の2015年7月の利用ログデータ
  • 主なアプリ分野の1回あたりの利用時間(尺数)
  • 対象はアンドロイドOSとiOS

を分析したものである。結果、1回あたりの利用時間を短い順でみると、

  1. インスタントメッセンジャー(1.2分)
  2. ショッピング(1.8分)
  3. 写真/ビデオ(1.9分)
  4. ソーシャルネットワーク(2.3分)

となっているという。つまり、ショッピングを除くと、コミュニケーションを目的とするアプリである。

一方長い順から見ると、

  1. 動画共有(8.3分)
  2. 動画配信(6.0分)
  3. ゲーム(5.3分)
  4. ブック/コミック(4.7分)

となっている。エンターテイメントを楽しむアプリが占めている。

これから、コミュニケーション利用はエンターテイメント利用より優先されやすいという点で、前者は相手のあることからタイミングが得れべないが、後者は自分でTPOを選べるという特徴を持つ。さらに、日中はコミュニケーションを優先し、短尺で、エンターテイメントは、長尺でSIMカードでは通信料金がかさむため自宅でのWifi 環境でじっくりと楽しむようだ。

この分析は今後消費者向けアプリや関連商品のマーケティングを考える上で参考になりそうだ。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:文化と文明、バランス欠いた現代」から

2016.5.27  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:文化と文明、バランス欠いた現代」から

現代文明は健全か?

コ ラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、二つのよく似た言葉、文化と文明について比較することで違いを解説している。

◯フランスの哲学者ベルクソンが警告する現代文明のアンバランス

文化と文明に対する接頭語を並べて、和田教授は比較している。

【文化】:日本、縄文、飛鳥、江戸、平泉、農耕、稲作、町人、物質、若者、紅茶など

→人間が作り上げてきた国家・社会から日常生活にいたる幅広い局面での、芸術・科学・技術や道徳・宗教・政治といった物心両面での「成果」

→人間の精神的向上

→民族・言語・伝統と結びついて国境が見える

【文明】:イスラム、インカ、ギリシャ、中国、西欧、古代、現代、技術など

→文化の発達によって生活レベルが上がり、社会が組織化され、人権尊重や機会均等など人間にとっての基本原則が確立された社会の「状態」

→技術的発展のニュアンスが強い

→民族や国境を越えて広がる

以上のように和田教授は比較してみせた。

サイエンスとテクノロジーという文化が科学技術文明を形成し、急速な発展を遂げつつある現在、文化・文明の最高にして最善の関係が求められる。和田教授はここで、フランスの哲学者 ベルクソンなどをはじめとする多くの思想家が発する文化と文明のアンバランスについて言及している。それは、

「現代文明は人間の身体を人工的に拡張していった身体であって、魂を欠いた存在であるようにみえる」

という警告である。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:民泊熱、宴の後が心配」から

2016.5.26   日経産業新聞の記事「眼光紙背:民泊熱、宴の後が心配」から

観光スポットにオーナーも借り手も中国人のマンション

コラムの著者は、民泊の解禁が近い中、本当に問題ないかを危惧している。

○箱根、伊豆、山梨の温泉宿も爆買いのケースも

コラムの著者の自宅近くにある浅草寺をお祭り、三社祭が取り行われた時に、近隣でちょっとした異変に気づいたという。昨年できたワンルームマンションに訪日中国人がスーツケースを転がしながら相当の人数が入っていったという。マンションのオーナーからみれば、賃貸より回転率のよい民泊に流れている証左であろう。だが、現状は受付の設置や自治体の許可が必要で、グレーなケースが多いという。

河口湖を始め観光スポットでは最近、オーナーも借り手も中国人のマンションでの民泊が目立っているという。箱根、伊豆、山梨の温泉宿も次々と中国人資本で買われているという。

 2020年の東京五輪に向けてしばらくこういった民泊熱が続くであろうが、問題はその宴の後が心配だという。camerahappy01