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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行を読む:折れない心、僧侶と育てる」から

2016.4.1   日経産業新聞の記事「流行を読む:折れない心、僧侶と育てる」から

折れないこころを表すレジリエンスのひろがり

コラムの著者 川崎 由香利氏(ジャーナリスト)は、レジリエンスがビジネスや教育の現場で使われるようになり、逆境から再起するこころの弾力を求めている人々が多いことも触れている。

○愚痴を『こころの休憩』に

前向きになろうと気負い過ぎず、ネガティブな面をそのまま受けることもレジリエンスを高めるこつだという。さらに愚痴を本音と向き合うポジティブな行為と考え、レジリエンスを高める動きもある。

これに注目したのが京都の仏教系の学生である。無料で人の愚痴を聴き、集め、それを社会に共有する「グチコレ」という活動を始めた。グチコレは「愚痴」と「コレクション」を合わせた造語で、愚痴を聞く側を「コレクター」と呼び、愚痴をゴボス側を来談者と呼ぶ。

東京でも同様の活動が「東京オトナグチコレ」として若い僧侶が発足させ、四谷の『VOWS BAR』で定期的に愚痴をきいているという。年代も20から60代までと幅広く、社長、サラリーマン、学生など愚痴をこぼしにくるという。僧侶は集まった愚痴を「他力本願.net」でコメント付きで紹介している。こぼされた愚痴を読み手に共感するつながりを築くのが狙いである。愚痴を受け止める、弱さを認める社会が求められているようだ。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:日本アニメの魅力、『共感』異文化にも浸透」から

2016.3.31  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:日本アニメの魅力、『共感』異文化にも浸透」から

フランス・オタク第一世代の作家が語るサブカルチャーの起源

コラムの著者 三浦 俊彦教授(中央大学商学部)は、前回の意味記憶、エピソード記憶の話に続き、日本のサブカルチャーの起源についてフランス人からみた考察について触れている。

○アニメを日本製だから見たのではなく、面白いから見たら日本製だった

三浦教授は、昨年出版されたトリスタン・ブルネ氏著の「水曜日のアニメが待ち遠しい」(誠文堂新光社)が面白いという。同氏はフランス・オタク第1世代と自称し、フランスにおける日本アニメ受容の歴史を分析する中で日本のサブカルチャーの魅力について読み解いているという。

ブルネ氏の分析によると、日本アニメがヒットした理由は、作者と視聴者、読者の「共感」の強さにあるという。初めから強いヒーロー像よりも、視聴者や読者と同じ人間として描かれ、時に悩み、争いながらも成長していくところに共感を得たからだという。

さらに物語論では、物語の魅力は自己移入(物語の世界観に入り込めるか)、感情移入(登場キャラクターに感情移入できるか)に依存する。その中で通常の人間と同じ成長段階を共有し、共感出来るのだという。共感は、自分の体験を記憶するエピソード記憶に他ならない。

政府のクールジャパン戦略は、サブカルチャーの扱いで誤っているという。日本アニメは日本製だから見たのではなく、面白いと思ってみたら日本製だったというのが正しい。ジャパンだからクールだよ、というのはステレオタイプでそんなに単純じゃない。

日本人が、ブルネ氏の視点で分析することで、全く異なる文化をどう受容していくかのプロセスがわかる。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ベンチャー、変わる戦法」から

2016.3.30   日経産業新聞の記事「眼光紙背:ベンチャー、変わる戦法」から

対大手の対策まで評価する米国のベンチャー企業

コラムの著者が語るには、最近のベンチャー側の姿勢がシリコンバレーで変わってきているという。

○戦う相手をきちんと評価し選別して戦う戦略

デジタル化で全ての産業をぶっ壊すと意気込むシリコンバレーのベンチャー企業。そんなVBが最近戦略を変えつつあるという。

まずは、戦う相手の評価。1つめは相手はデジタル化が進んでいるか。2つめはベンチャー企業の体質を持っているか、だという。後者はここぞと言った時に経営資源(ヒト、カネ、モノ、情報)をかけ一気に試作品を出して市場の反応を見ながら商品を作り出していく。このベンチャーの手法を身につけている敵であるかを評価する。デジタル化が遅れベンチャー体質もない企業ほど当然戦いやすい。

このような評価軸ができてきた背景には、1つは大企業といえども進化を進めたところがあるからだ。"Fast Works"を独自手法として実践する米GEである。VB並みにノウハウや速さを持つ進化した大企業である。このような企業をVBは相手として避けなければならない。

もう1つはシリコンバレーの資金の問題で、昨年夏あたりからバブルの警戒感もあり、一時期にくらべ資金が絞られているからだ。VBとしては、成功確率を高めないと資金調達できない。そのためにも無駄な戦いをせず、大手も含めて、前述のような評価をし始めたわけである。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:戦史に学ぶ、『おごり』は専門家の欠点」から

2016.3.29  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:戦史に学ぶ、『おごり』は専門家の欠点」から

専門家であればあるほど高まるおごり

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、戦史の中から人類の愚行の経験をみて教訓が学べるとしてその事例に触れている。

◯「我々が歴史から学ぶことは、我々が歴史から何も学んでいないということだ」

これは、ヘーゲルやバーナード・ショーなどがアイロニーをこめて語ったという。一方、歴史とは人類の犯罪と愚行と悲惨の記録だとも言われている。だからこそ、人類は学ぶ必要があるのだという。修羅場の戦場では人間は本性を曝け出し、こんな人生の教科書はまたとない。戦史から学べる人間の「欠点」を和田教授はあえて1つだすとすると「おごり」だという。

おごりは、言い換えると、成果にだけ甘えて反省のない、学ぶことのない精神構造だという。

和田教授は以下の人物をあげて「おごり」を示している。

  • フェルディナンド・フォッシュ元帥(第一次世界大戦の連合国軍総司令官);1919年に飛行機をみて「飛んで遊ぶのは体にはいいかもしらんが、軍事的な価値はゼロだ」と一笑に付した。
  • ダグラス・ヘイグ最高司令官(同大戦初頭、1915年の言葉);「マシンガンは大隊あたり2丁あれば十分すぎる」とマシンガンの連合国軍の増強案を拒否した。
  • ホレイショ・キッチナー元帥(陸軍大臣);1915年、塹壕突破マシンとして戦車が提案された時、「我々は空想の世界から厳然たる現実に降り立たなければならない」と酷評したという。同様に最初の戦車が彼の面前で威力を示した時も「手際の良い玩具だ。戦争はこんな機械で勝てるものではない」と酷評。

専門家であればあるほど高まる「おごり」の好例だ。いうまでもなく、戦車も飛行機もマシンガンも第二次世界大戦の帰趨を決した主役である。pchappy01