【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:科学的思考、経験を秩序づける」から
2015/10/31
2015.10.31 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:科学的思考、経験を秩序づける」から
その真髄は経験の送受を行う「悟性」
コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、物事を見定める認識を西洋思想家が追ってきた歴史を紐解き、その起源を先天性と後天性をアウフヘーベンした哲学の巨人、カントにもとめ、近代サイエンスについて語っている。
◯対立する2つの学説
人間の認識はどこから来るのか。プラトンやアリストテレスの古代ギリシャの時代から哲学者の間で議論され、18世紀になってから認識の定義が大きく2つに分かれた。生まれつきの「生得の理性」とする先天と、生まれてからの「経験による」という後天の考えである。
- 「真の認識は生まれつきの理性で経験に基づかない」;デカルト、スピノザ、ライプニッツ、ウォルフらの大陸合理論(理性論)
- 「認識の基礎は経験である」;ベーコン、ロック、バークリー、ヒュームらのイギリス経験論。生得観念を否定
この両者を止揚(アウフヘーベン)したのが、哲学の巨人、カントで、
- 経験を送る「感性」とそれを受け取る「理性」との間に、認識の要素となる概念を作成する「悟性」を置いた
この悟性こそ、科学をするこころ、科学的思考である。意識は感覚からの情報を秩序付けることによって主観として成立することを近世自然科学は示していく。