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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:サービスの外部委託、日本企業の不振、文化由来?」から

2015.6.11   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:サービスの外部委託、日本企業の不振、文化由来?」から

コンテクスト文化の高低差

ハードウェアのOEMが世界的な評価を受ける中で、サービス活動を外部委託型に分け、企業の事務作業を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のプレゼンスは非常に低いという。コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、その理由について触れる。

○グローバル・マーケティングで後塵を拝す

三浦教授が先月末参加した日本商業学会全国大会。そこで小田部正明教授(テンプル大学大学院)のサービス・アウトソーシングのグローバル化についての講演が、興味を引いたという。理由は世界的な成長分野にあるにもかかわらず、日本の存在感が非常に低いという点である。

アウトソーシングは、製造ではEMS(電子機器の受託生産)やOEM(相手先ブランドによる生産)など日本企業の評価は高い。モノは受託できてもサービスはなぜ受託できないのかという疑問である。

比較としてドイツのSAPでは同社がテンプレートを作成し、導入企業が使う。ただ、自らの仕事をテンプレートに合わせるのは大変だと日本企業の声もあるという。その点国内のSI事業者では、相手先の仕事のやり方に合わせて個別に対応する。顧客満足は高いが、利益率は低い。SAPは、高い利益率を享受する。グローバル・マーケティングでは、標準化と現地化が基本戦略で、自動車であれば、車台の部分を標準化して、車体デザインや色を現地化する。このようにモノでは、標準化と現地化を切り分ける日本企業が、サービス分野ではできない。その理由はどうやら、日本の仕事のやり方によると、小田部教授は指摘する。

文化人類学者のE.ホールは、世界を高コンテクスト文化(周りの状況を重視するアジアなど)と低コンテクスト文化(状況にかかわらず決まりを重視する欧米など)に分けた。最近の研究では、低コンテクスト文化の国は、高コンテクスト文化の国よりサービス活動の分割可能性を信じるといった結果が出ているという。欧米企業は、モノと同様にサービス活動を分割し、パッケージ化する。一方、日本企業は、サービス活動は分割できないと考え、企業ごとに個別対応してしまう。

欧米流に仕事を合わせるか、サービス活動の考え方が異なる日本企業向けに独自のテンプレートを考えるか。ここに、経済のサービス化が進む中で、日本企業が意思決定をすべきじきだという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「デザインNOW:肩肘張らない包丁」から

2015.6.9   日経産業新聞の記事「デザインNOW:肩肘張らない包丁」から

優しく親しみやすい包丁のデザイン

コラムの著者 柏木 博氏(デザイン評論家)は、新潟・三条市にある「庖丁工房タダフサ」の庖丁のデザインについて語っている。

○プロの料理人でなく女性あるいは料理初心者の男性に

同工房の包丁は、プロダクトデザイナーの柴田文江氏のデザインによる。柴田氏のデザインは、婦人体温計やリュックサックなど、どれも親しみやすく軽やかであるという。包丁も女性になじみやすいデザインではあるが、むしろ男性にとっても、構えず楽しんで料理をしましょう、という気分にさせてくれるという。

刃の部分は極めてオーソドックスなデザイン。柄のフォルムが、微妙に柔らかな曲線でデザインされていつために、これまでの包丁にない優しく親しみやすさが表現されているという。柄の素材は炭化木で、木材を燻製して、堅牢にし、抗菌作用もあることを利用している。抗菌炭化木として特許も取得しているという。

さらに、使う本数も3本として、パン切り、肉・魚・野菜に使う三徳包丁、サイズの小さなペティナイフである。慣れてきたら、牛刀、出刃、小出刃、刺身とラインナップしているという。種類を絞り、初心者でも手軽に使えることが考えられている。restauranthappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:生活者は『最適化』目指す」から

2015. 6.9   日経産業新聞の記事「眼光紙背:生活者は『最適化』目指す」から

20世紀は最大化の時代、21世紀は最適化の時代

コラムの著者は、伊藤忠ファッションシステムが報告書を公開した『フューチャーアスペクト 生活者の気分’15間(あわい)を感じる』で調査と取材で5年後を予測しているが、生活者の変化についてふれている。

○志向の変化

これまでの企業や個人が追い求めたのは最大化の志向であり、今後は最適化の志向に変わるという。個人もまた、それぞれ最適化した豊かさを求めるようになるという。経済成長を知らない世代の台頭がその背景にあるという。

  • 縮小傾向ではなく、多様な居場所や価値を求める
  • 一人で複数のネットワークやコミュニティーに属する
  • 閉じた職場で地位や権限を無理やり最大化するよりも、複数の居場所を持ち、それぞれの場で最適化することで、個人の魅力や能力をマルチに発揮できる
  • 人生設計も特定のモデルを追うのではなく、いろいろな特性や強みを自分で編集して身につける
  • 組織や社会が多様化する

というように生き辛さは減るように見える。ただ、五輪では一致団結や規律が称賛される可能性もある。社会の硬直化と統制主義だけは排除しなければならないと、コラムの著者も指摘している。dangerhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ソニーが比べられるのは」から

2015. 6.8   日経産業新聞の記事「眼光紙背:ソニーが比べられるのは」から

ソニーの対抗馬は今は誰?

コラムの著者は、1990年代にお互いを手本とし、発展した、ソニーと米アップルについて語っている。多少、この投稿の著者とは意見が異なるが、視点は興味深い。

○1990年代の両社

お互いのライバルであり、手本としてきたソニーとアップル。まだ、1990年代はソニーは輝き、97年には平面型ブラウン管テレビ「ベガ」が大ヒット。98年米アップルは、ディスプレー一体型パソコン「iMac」を投入し、上昇基調に乗った。さらに、手の平でのコンピュータ、パームトップは手書きのできる携帯パソコンとして一世を風靡。あれから、25年米アップルが、iPhoneなどでモバイルの騎手を務めている。その間、ソニーは金融商品などに逃避する「残念な経営」が続いた。

コラムの著者はそこにクールに今のソニーのライバルに写真のデジタル化に翻弄されたコダックをなぞらえているが、私は、かつてのフィンランドのノキアや米RCAを思い出す。pcnotehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ベンチャーと町工場、コラボが生む技術革新」から

 2015.6.5   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:ベンチャーと町工場、コラボが生む技術革新」から

ベンチャーと町工場、相補的な展開

コラムの著者 近藤 正幸氏(横浜国立大学)は、東京・墨田にあるものづくり総合支援施設「ガレージスミダ」の通じて、ベンチャー企業と町工場の相補的な関係からの発展について語っている。

○ベンチャーの創出と町工場の生産技術の支えで発展

一般のモノづくりベンチャー企業は、創出する試作品が素晴らしくても量産に必要な生産技術が足らないという。一方で、町工場では必要な生産技術は世界水準にあり、これらがお互いに組めば、開発・設計から試作・量産までの作業を素早くできるメリットが出てくる。

同施設の機器は、デジタル・ファブリケーションの4種の神器と呼ばれる;

  • 3Dスキャナー
  • 3Dプリンター
  • レーザー加工機
  • CNC加工機

が備わっている。さらに、同施設の設置者の社長であり、近接する町工場が対応できる。さらに、投資や経営支援を行う企業も参加してきた。経営の4資源、人、カネ、モノ、情報が集まったわけである。

アイデアや基盤となる技術があっても熟練したモノづくりの技術を持たないベンチャーの支援に、中小企業の生産技術を使うことで、世界にインパクトを与えるイノベーションが起こりそうである。pencilimpacthappy01