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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ミカフェート」から

2013.8.1  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:ミカフェート」から

コーヒーがワインと同じフルーツ感覚で

コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)は、一杯1500円という値段でも好調な売り上げを誇るコーヒー店ミカフェート(東京・港)を軸にこだわりの味の秘密に迫っている。

○味と香りで勝負

ミカフェートは2008年にUCC上島珈琲で執行役員まで務めた川島良彰氏が独立して創業した。動機は、「(お客様に)コーヒーがワインと同じフルーツであることを実感してほしい」という。確かに一杯1500円は高価であろうが、元麻布の本店で飲むコーヒーの味と香りは人々の話題となっているようだ。

これまでの日本のコーヒーは生豆そのものではなく、豆の焙煎に拘ってきた。これは良好な豆が手に入らない時代の名残りで、日本は世界でもまれに見る焙煎技術大国となったという。そこで、ミカフェートは、この生豆に拘った。協力農園とともに欠点豆を徹底的に品質管理して改善に取り組む。さらに焙煎も拘る。こうして、同店の売上は3店舗で2013年9月期で約5億円の見込みだという。卸売りが8割で小売りが2割。卸売の顧客は、日本航空や星野リゾート、リーガロイヤルホテルである。通常の外食産業の原価率よりも悪いにもかかわらず、川島氏は、「本当のコーヒーを広めたいという考えを理解してくれている」ことから卸売りが出来ているという。まさに創業者の熱い思いが価値を生んでいる。cafe


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:休眠特許、利活用ビジネスへの疑問」から

2013.7.31  日経産業新聞の記事「眼光紙背:休眠特許、利活用ビジネスへの疑問」から

休眠特許の価値は本当にあるのか

コラムの著者は、官民ファンドの産業革新機構が日本企業が保有する知財の有効活用を目的とするIP Bridge(東京)に9千万円を出資し、同社が運営する知財ファンドに27億5千万円を投資することに対して、休眠特許を新興国などの企業にライセンス販売するといったこと自身に疑問を投げかけている。

○日本の携帯電話に関する特許の価値

コラムの著者が疑問視するのは、ガラパゴス化と揶揄され、世界jのシェア競争に負けている日本の携帯電話事業に係る特許に、国際的な価値があるのかということだ。確かにこれ以外の休眠特許はあるだろうが、IP Bridgeの投資戦略の説明では、電機業界を対象に携帯電話などの特許を取得し、仲介事業を始めるという。ならば、本当に売れる特許なのかどうか。

さらに日本企業の知財戦略においても、防衛と称して経営戦略に絡まない戦略を出したり、件数第一で質を問わない大量出願主義に対して何ら反省がないという。これまでも休眠特許の利活用は政策として浮かび上がってきたものの、決して大きな実績はでていないという。そこに官民ファンド、言い換えれば血税の一部が使われることに大きな疑問がある。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:世界は狭い、遠い点結ぶ長い絆、重要」から

2013.7.30   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:世界は狭い、遠い点結ぶ長い絆、重要」から

仕事に学業に役立つ絆の理論

コラムの著者 和田昭允氏(東京大学名誉教授)が語るのは、筆者も鳥取大学大学院で共同研究している複雑ネットワークの社会的、工学的な意義である。

○6次の隔たり

和田教授は、「世間は狭い」という言葉に絆を取り入れて、最先端のネットワーク理論である複雑ネットワークの『スモールワールド』現象を巧く説明されている。

結論から言えば、家族・親戚、友人、職場仲間など太い絆を張り巡らせている現代人にとって、未知の人との長くて細い絆をえるには、わずか6ステップの関係で到達するという6次の隔たりの理論である。さらに、この絆の強さも、強い絆だけでは、頑固なだけで融通が利かず、広がりがない。ネットワークを広域に拡げるには、遠い点を結ぶ長い絆が実は有効であることも知られている。

○全体のネットワークの強くするにはランダムな絆が適度に混じる必要がある

ネットワークを効率よく拡げ、絆を強くするには、決まった規則だけの仲間ではなく、偶然が作る不規則な絆がきわめて有用であることも理論的に解き明かされている。ランダムで不規則な絆が適当な割合で混在することが、ネットワークを大切にする際のポイントであるということができる。

和田教授が示唆しているように、硬直した仲間同士だけの絆だけでは脆い。やはり適度な外部からの影響をランダムに取り入れる多様性が、絆の中でも重要で、社会的なネットワークのみならず、ビジネスや学業でも同じことがいえる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ROIばかりで大丈夫?」から

2013.7.29  日経産業新聞の記事「眼光紙背:ROIばかりで大丈夫?」から

危険な短期志向のビジネス思考

コラムの著者は、営業マンと購買担当者で最近よく出るROI(Return On Investment; 投資利益率)がビジネスを行う上で短視眼的であると危惧している。

○法人向け営業マンのぼやき

「この頃はどこの会社に行っても相手の言うことは同じで、

    『その商品を買うと、ROIはどうなの?』。

これが、決まり文句になっていて、肝心の商品の中身の話まで進んでくれない」。

購買担当者のROIの意味は、

「購入費用に対し、そのようなメリットがあるのか、それをすぐにわかる数値で示してくれ」

という意味だそうだ。つまり、「費用対効果」を指している。そういう意味でROIを検討することは悪いことではない。問題は、「数値で示してくれ」といったところで、その数値で是非を判断し、即断しようとしている点を指摘している。

○ROI重視の弊害

確かに、売上増加やコスト抑制を見込み額でみる「数値」を検討することは悪くはない。ただ、ROI一辺倒であると、中長期的な視点での体質改善に役立つサービスや商品が敬遠され、わかりやすい数値に置き換えられるものばかりを買うことになっていく。短期的で目先の長いとは言い難い投資になりかねないというのだ。今は費用かもしれないが、それによる投資で利益が上がることを中長期的にみないと、企業自身の粘り腰が出来てこない。happy01