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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:発明に専門知識は不要?自由な発想、常識破る」から

2012.5.22   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:発明に専門知識は不要?自由な発想、常識破る」から

技術史を飾る多くの発明家は実は非専門家であった

コラムの著者 志村幸雄氏(技術評論家)の視点が面白い。イノベーション(技術革新)には理論家よりもむしろ現場に強い非専門家が重要であるとの指摘だ。

【研究開発プロセスと実用化】

研究開発のプロセスのリニアモデルでは、はじめに科学ありき、その科学研究の成果が技術開発の成果につながる、とされているという。

しかし、志村氏は事例を挙げて、単に科学的成果だけで発明や応用が生まれていないことを示している。

【事例1:機械職人ワットの場合】

背景:18世紀初頭英国では石炭の需要が急増し、炭坑地下水の揚水用ポンプを効率的に動かす動力源の必要性が出てきた。

ワットの業績:ニューコメンらによる蒸気機関の発明に決定的な改良を加え、上記の差し迫った高能率な動力源の確保を行った。ワットの蒸気機関である。ウィキペディアによれば『ニューコメンの蒸気機関の効率の悪さに目をつけて改良したもので、復水器で蒸気を冷やす事でシリンダーが高温に保たれることとなり効率が増した。さらに負圧だけでなく正圧の利用、往復運動から回転運動への変換、フィードバックとしての調速機の利用による動作の安定などの改良をしている』とある。

ここで志村氏いうのはワットが機械職人でギルドからフリーランスであったことから、思い切った発想で新しい技術開発が行えた点にある。

【事例2:ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんの場合】

背景:生体高分子の質量分析法でノーベル化学賞を受賞した田中さんは、化学とは無縁の電気工学を大学で専攻していた。田中さんは、「専門知識があったら、常識を打ち破れなかった」と語っている。

【事例3:グラハム・ベルの場合】

背景:電気の素人であったベルが、音声で発電をするという装置が必要という当時の電気学の常識を打ち破って、電磁方式の電話を発明した。

【事例4:米アップル創業者 故ステーブ・ジョブズ氏の場合】

背景:究極のアマチュアリズムで、IT時代を切り開いた。専門教育を受けること無く、友人のスティーブ・ウロジニアック氏とともに、パソコン「アップルⅠ」を世界に先駆けて生み出した。

このように注目すべきは、科学技術が高度に発達した現代でも、非専門家の出番があるということであろう。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『全員スマホ時代』の世界とは」から

2012.5.21   日経産業新聞の記事「眼光紙背:『全員スマホ時代』の世界とは」から

スマートフォン本位の経済?

コラムの筆者が語るのは、英国の調査会社キャナリスの統計で、全世界のスマートフォンの出荷台数4億8770億台が、パソコンとタブレット端末を合わせた台数を越え、どうも、予想していた経済効果と違うことになるかもしれないとの指摘である。

ネット産業は、コンテンツ、通信量などでビジネス的に潤うとみているが、広告効果は極めて厳しくなるのではないかとの予測だ。つまり、パソコンなどの大画面で見ている広告は1つの情報と見え、個人ユーザも受け入れるが、スマートフォンの小さな画面では、広告は邪魔な存在にすぎず、嫌われてるとの見解だ。これは広告収入を前提に無料サービスを行っているサービス企業は厳しい展開を余儀なくされる可能性がある。

上場で話題のフェイスブックでさえ、スマートフォンの拡大普及が、広告による売上にマイナスの影響をあると試算し、上場目論見書に追加したという。「クリック単価」も減少傾向だ。

スマートフォン後のビジネスモデルが大きく異なる暗示なのか。機能一辺倒から、コンテンツ、サービスへの変化もスマートフォンの利用で見え隠れしているhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:アジア発の生活様式、米国人が熱い視線」から

2012.5.16    日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:アジア発の生活様式、米国人が熱い視線」から

べリアテレビの人気

コラムの著者 竹内道氏(アークメディア社長)が取り上げるのは、インドのメディア王、スバーシュ・チャンドラ氏が4年前にネット、ケーブル、衛星放送に向けてコンテンツ(番組)配信を行っているベリアテレビである。

べリアテレビは、アジア的な文化や知恵を活かした「健康」をテーマとする番組を提供。健康に役立つ情報を楽しく見せるという編集方針で、中でもフィットネス系の番組が人気を集めている。人気歌手ジュエルがホストを務める「不治」という番組では、難病のために希望を失っていた人々が従来の医学に頼らず、健康を重視した食事法など代替療法で難病を克服していった様子を紹介する番組で、目玉の一つだそうだ。

もともとは米国をはじめ多くの現代人が抱えているストレスを、ヨガスタジオなどで解消、ベジタリアン料理を食することで、健康を回復させようという「アジア式」のライフスタイルが注目されてきている。これに応える形でベリアテレビの人気が上昇しているという。

アジア人の活躍が目立つ米国では、特定の層に限らず、主流のライフスタイルとして受け入れられているようだという。restauranttv


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「キュレーション、情報の目利き:業務革命②」から

2012.5.17   日経産業新聞の記事「キュレーション、情報の目利き:業務革命②」から

キュレーションのプロセスとマーケティング

コラムの著者 柳沢大貴氏(大和総研シニアコンサルタント)による「キュレーション」の応用に関してマーケティングに焦点を当てている。

【キュレーションのプロセス】

起業家で、『キュレーション』の著者でもあるスティーブン・ローゼンバウム氏が示したキュレーションのプロセスを紹介している:

  • ①解析できるソース(生の情報源)にあたる
  • ②確立された編集基準に従って、コンテンツを個別に評価する
  • ③コンテンツを文脈、最新情報、情感などに基づいて比較検討する
  • ④部分的には手作業である

以上を柳沢氏は、海外旅行ツアーを例に解説している。

①では、数多くの海外旅行に関する情報源(目的地や交通手段など)が収集される。②では、一般化した海外旅行、シニア層は旅行に関心が高く、何度も経験があるといった文脈や最新事情に従って、旅行商品の中身(コンテンツ)を個別に評価する。③は、②の比較検討で「東欧旅行」や「オーロラ観測」といった企画が生まれてくる。④は、企画担当者のひらめきのようなものであるかもしれない。

以上のプロセスを通して、キュレーションの精度が、旅行の場合、事後アンケートなどで評価されて、確立してくる。柳沢氏が指摘しているように、情報源に対する変化ではなく、高い精度のキュレーションを企画担当者がどの程度行えるかで、売上が決定することになる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:コナン映画の強さ」から

2012.5.17   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:コナン映画の強さ」から

2つのブランドの王道を持つアニメ

コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、劇場漫画映画「名探偵コナン」シリーズについて、ブランディングの立場からその強さを説いている。

【名探偵コナンシリーズが息の長い人気を持つ理由】

三浦教授によると、名探偵コナンシリーズは、漫画誌「週刊少年サンデー」で1994年に連載開始後、単行本で75冊、97年以降の劇場版で16作となっている。これほどの人気を維持できるのは、

  • 機能性価値
    • ミステリーで質の高いトリックと探偵のなぞ解き
    • 自動車の燃費やシャンプーの洗浄力といった機能に当たる
  • 情緒的価値
    • 恋愛を一貫したテーマとして取り上げられ、それがミステリーの対象となっている
    • イメージや世界観を付加することになる

によるブランド作りにあるという。

成功するブランドには機能性価値と情緒的価値によって強力なブランドを作り上げ、息の長いヒットにつなげているという。これは一般消費財、サービス業、小売業、アニメ、映画などのすべてに共通する「王道」だと三浦教授は指摘している。

一般消費者の著者にとって、おそらく機能性価値を得るためには安価であればよく、情緒的価値を得るためには、少し値がはっても購入を検討す心情を見事にブランドはついていると言える。happy01