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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:雑誌『広告』が刷新」から

2012.9.19 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:雑誌『広告』が刷新」から

アイデアのソース?

コラムの著者 柏木博氏(デザイン評論家)は、専門業界雑誌「広告」(博報堂発行、季刊)の内容から、今後の若手の企画、編集者の思考や感覚、その他、モノづくりのあり方を伝えていると語る。

【幅広いテーマ】

1948年の創刊以来、同誌は夏号(8月号)から全面リニューアルしたという。今後ののテーマを「恋する芸術と科学」にするという。自然科学、社会科学、人文科学、芸術といった幅広いジャンルだ。その広い領域の時代感覚を取り込もうとしている。

【断片から得る創造力とアイデアのソース】

掲載も、木幡和枝氏、蓮實重彦、マーク・ブキャナン(物理学者)や若手研究者によるエッセーも入れている。さらに、視覚的にも冒頭にコラージュを導入して、言葉とイメージを貼り混ぜたような設えという。柏木氏によれば、思考や感覚は断片的であり、それをどのように編集していくかが創造力となっていくという。

構成は、アイデアのソースとなるようなページ構成で織りなしているところは面白い。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:米新聞に電子版の光明」から

2012.9.3   日経産業新聞の記事「眼光紙背:米新聞に電子版の光明」から

米ニューヨーク・タイムズの電子化による復活

コラムの筆者は、広告収入減での苦境をばねに、復活劇を果たした米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)について触れている。

【電子版有料購読による増収・増益】

同紙は、6月末の電子版有料購読者数が58万2千人となり、3か月で13%も増加したという。

要因は、無料で読める記事本数を月間20本から10本に絞ることで、有料購読者数が増えた。一定数の記事を無料で提供し、それを超える部分は課金する「メーター制」というビジネスモデルで2011年3月に電子版を有料購読とした。当初の予想では、読者は課金を避けるのではないかといった懐疑論が多かったが、結果的に大方の予想を超える速度で有料購読者が増えたという。

【広告依存度が高かったNYT】

紙面での広告からネット広告へのシフトは同紙にとっては極めて厳しいもので、業績を直撃した。ようやく、電子版の有料購読の購読料収入が、報道部門で広告費を上回るようになり、収益性も大きく改善した。米新聞社の電磁版事業で利益が出たのがNYTが初めてだそうだ。ここに来て、英BBCのマーク・シンプソン会長がNYTのCEOに就任し、米国新聞業界は潮目に差し掛かったようである。さて、日本ではどうであろうか?memobuilding


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:生命教育、没後25年、広がる共感」から

2012.8.8   日経産業新聞の記事「流行ウオッチング:生命教育、没後25年、広がる共感」から

脳学者養老猛司氏の先輩、解剖学者三木成夫氏への共感

コラムの著者 川崎由香利氏(ジャーナリスト)が語る解剖学者 三木成夫氏が唱えた生命教育に焦点を当てている。

【没後25年にクローズアップされる三木成夫氏】

血管の音や「ドクンドクン」という心臓の拍動音を大音量で流し、そのリズムを体感させる生命教育。今も名物講義として、動画投稿サイトに講演の音声がアップされ、講演集も出るという。三木成夫氏の晩年の講義である。(▶参考

三木氏は、脳とこころは別物とした「唯臓論」。生命40億年の進化過程を臓器に重ね、身体を輪切りにしてそのつながり方を図解する見せ方(「胎児の世界」同氏著)で、一部には有名であるがブームにまでは至らなかった。

【植物系と動物系の内臓器官の分類】

三木氏は、

  • 「植物系」:消化、循環、生殖を役割とする内臓器官
  • 「動物系」:刺激に反応する脳や感覚器官、筋肉

に分けてとらえた。三木氏によると、植物よりも動物の方が高度であると考えがちだが、意志とつながる「動物系」ではなく、感情とつながり自然界のリズムと調和する「植物系」に生きる力があると見た。

このことを三木氏は、「思う」という象形文字に例え、思うことはこころが脳を支えている状態だという。脳が単独で働く意思や目的だけに働かされた生命は閉塞するという。こころを十分に働かせた後、思考して行動することが生命力をつなぐと考えた。深い洞察である。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:原発技術、生かすも殺すも」から

2012.7.18   日経産業新聞の記事「眼光紙背:原発技術、生かすも殺すも」から

SF作家アシモフの慧眼(けいがん)

コラムの筆者は、米のSFの大家アイザック・アシモフの代表作『銀河帝国の興亡』(ファンデーション・シリーズともいわれる)(▶ 参考)で、原子力技術の衰退について述べたことを思い出したという。

○原子力技術の衰退

コラムの著者、同書を読んだ当時は、原子力発電がまだまばゆい先端技術で、日本で原子力発電所の建設がいよいよ本格化した時代であったという。しかし、アシモフの描く銀河帝国は、「超高速航法」などの広大な宇宙を自在に移動する高度な技術がありながら、エネルギー不足に苦しみ、その原因が原子力技術の衰退で、化石燃料に頼らざるを得ないというものだった。

コラムの著者もアシモフの意図が当時理解できなかったという。しかし、震災後の日本における原子力をめぐる議論を省みると、アシモフの慧眼には驚くという。

○残すべき原子力技術

日本では原子力技術を習得志望する若者が減っているという。だが、問題は技術の失敗を乗り越え、それを修正し、一歩先に進めるのも科学の役割ではないかと。情報通信や宇宙工学がいくら先に進んでも、日常の暮らしでエネルギー不足では、話にならないのではないかとも。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:分かりやすいコンテンツ作成を議論」から

2012.6.26   日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:分かりやすいコンテンツ作成を議論」から

技術情報を分かりやすく説明することと学習計画を立てることには共通点がある

分かりやすく技術情報を伝えるテクニカルコミュニケーションの米国団体、STC(The Society for Technical Communication)(▶参考)の年次総会「サミット’12」が5月20日〜23日に米国シカゴ・ローズモンドで開催され、コラムの著者 高橋慈子氏(テクニカルライター)が参加したことでの気付いたことを述べている。

○従来の紙から電子化へ

大きな変化がおこっている中で、本総会では、コンテンツを軸にした発表が多かったようだ。また、iPadで代表されるような多機能なテブレット端末やスマートフォンの普及にあわせて、分かりやすいコンテンツを、いかに効率よく作成するかという点で注目されている。

○人気の高いチュートリアルセッション(教育と訓練)

米国ではキャリアアップの1つとして、実演を織り交ぜたチュートリアル・セッションの参加者も多い。不況で業務に関わるコミュニティー活動が減少している反面、参加者はどん欲に情報をあつめ、人との出会いや議論もネットだけでなく、リアルでも活発におこなれたとのこと。

インストラクショナルデザイナー(学習効果を上げるための計画立案者)の発表で、高橋氏も参加して、技術情報を分かりやすく説明することと学習計画を立てることには共通点があるとの論議もあったようでうである。

日本も電子書籍元年と文芸書、ビジネス書が中核のような印象を受けるが、多くのマニュアル、学習書、テキストなどが実は、このようなコンテンツの構成、学習効果を考慮した議論も必要であろう。happy01