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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行を読む:頼りにする情報源、若者、取捨選択型を好む」から

2015.8.21     日経産業新聞の記事「流行を読む:頼りにする情報源、若者、取捨選択型を好む」から

垂直統合型からプラットフォーム型へ

コラムの著者 奥 律哉氏(電通総研 メディアイノベーションラボ統括責任者)は、同社の生活者に対する意識調査の結果をもとに、頼りにする情報源の分析を行っている。

○キュレーションメディアの台頭

キュレーションメディアとは、新しい情報サービスで、既存の新聞、雑誌のマスメディアではなく、ネットオリジナル情報や個人のブログなどの硬軟取り混ぜた独自のレイアウトで提供されるサービスであるという。

SNS上でのコメントや自発的に作られるまとめサイトの情報など、様々な選択肢から情報が得られる。

同社の3月の調査で生活者に情報源やメディアで頼りにしているものについて訊ねた。合計71分野のメディアで13のメディア因子を取り出したという。15歳から29歳の若年層は、「ニュース・キュレーションサイト」「SNS・ブログ」のネット系メディアの比重が高く、50代から60代の中高年層は、地上波テレビ報道系、新聞・情報系雑誌を支持しているという。ちょうど中間の30から40代を境に支持する情報源やメディアが鏡を映したように正反対となる傾向があるという。

ここからわかるのは若年層はコンテンツの作成者と配信者が一致する垂直統合型なメディアよりも、様々な情報ソースからニュースを取捨選択すしたプラットフォーム型なメディアを好むという。

これからのコンテンツ消費も同じ傾向がでるかが、奥氏の興味の焦点である。mobilephonephonetopchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:電子書籍を店頭販売」から

2015.3.5   日経産業新聞の記事「西川英彦の目:電子書籍を店頭販売」から

ネットも店舗も有効に使う生活者

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、鳥取、島根両県で地域最大級の20店以上を展開する今井書店グループ(鳥取県米子市)が電子書籍と紙の書籍の併売による実証実験を業界団体と推進、そこで見えてきたことについて解説している。

○電子書籍を「カード」として紙の書籍と併売

凸版印刷系のブックライブ(東京・台東)でカードに電子書籍を買うための情報を印刷し、同社か楽天のネット書籍販売店に誘導する。カード裏の番号を入力すると、電子書籍がダウンロードでき、端末で電子書籍が読めるという仕組みである。その際販売手数料が書店に入る。

今井書店では当初、見本として紙の書籍を置き、カードを並べた。それが、リアルな書籍も売れるとして意外な相乗効果が見えてきたという。

見本の書籍を置いたのは電子書籍のカードでは顧客には中身が分からず、隣に紙の本があれば中身が確かめられると同時に、両方の良さを比べた上で選んでいくという。実際の本が売れたのもこの比較が重要なポイントであった。

この仕組みが、シニアなど老眼で紙の本では読みにくく、結構な重さがあることを敬遠する世代には電子書籍を知り、文字も大きくでき、端末の重さで本が読めることから喜んでもらっているという。

読書から離れていた人に再度読書の世界に引き戻すことを今井書店では気付いたという。最初は書籍の代替と思われた電子書籍も読み手の比較選択で、違う市場が見え始めた。bookmobilephonehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『エア積ん読』に要注意」から

2014. 9.13  日経産業新聞の記事「眼光紙背:『エア積ん読』に要注意」から

リアルに対するエアが駆逐する個人のメディア

コラムの著者は、若手記者との対話で、ちょっと滑稽で考えさせられるアナログとデジタルの情報源の入れ替わりについて語っている。

○CDやレコードと同じ運命

「エア積ん読」。聞きなれない言葉だが、エアとは、リアルに対してバーチャルであるという意味で、積ん読は読んで字の如し、読まずに積んだままの本のことである。つまり、キンドルのような電子書籍の中に、読まずに記憶(ダウンロード)しただけといったことを「エア積ん読」と若手の記者は言っている。

確かに「リアルな積ん読」であれば、実際に机の上などに積みあがっていくから、

  • 新しい本は、(今読んでいる本)読んでから: 自制が効く
  • 家人から「読んでからにしなさいよ」:家人からの忠告

がある。しかし、エア、つまりバーチャルで目に見えないなら、これらの効果はない。コラムの筆者は、なおも若手記者に対して、本の良さを解くが、

  • いや、そのうち、そんなことはどうでもよくなりますよ
  • だって、(コラムの筆者の)自宅の音楽CDやレコードって残ってますか

と切り返されたという。確かにCDやレコードは自宅から駆逐されてしまったという。となれば、本も同じ運命となるのかと、寂しさを感じているのは、筆者だけだろうか。bookmobilephonehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:教科書の魅力、構築した体系に出る個性」から

2014.6.13  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:教科書の魅力、構築した体系に出る個性」から

若い才能を育てるには魅力ある教科書が必要

コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)が取り上げるのは大学・大学院で使う教科書の作成についてである。

○教科書は論文作成よりも軽視されてきた

教科書の理想は、

  • 発展し続ける先端分野の方向性の視野が開かれる
  • 対象領域での定説と重要とされる知見が網羅される

ことが必要と、山﨑教授は指摘する。著者を通じて深い見識により専門分野の動的な全体像がつかめることが重要だという。

しかし、講義をする側から見れば、教育と研究、特に論文作成に時間がとられる時期には、教科書を書く時間がなかなか取れないという現実があるという。現役を退く時期になると、分野全体が俯瞰できるので、時間をもって著作には向くが、授業自体の時間が減り、教科書の必要性がなくなってくる。

才能ある若者を集め、優れた専門家を育てるには、専門領域を発展させる教科書は無視できない。世の中が教科書の電子化に進んでも、著作者の思いを込めた教科書作りはかなり困難な作業であろう。bookhappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:読み込ませ、探しながら使う」から

2014.2.25   日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:読み込ませ、探しながら使う」から

連携ソフトを含めた全体像の伝え方に工夫が必要

取扱説明書などをPCやタブレット端末で使うことがクラウドサービスの充実に伴って電子化してきているが、コラムの著者 高橋慈子氏(テクニカルライター)は、自ら電子化で使われるスキャナーの取扱説明書を例にポイントを語っている。

○PFUのイメージスキャナー『ScanSnap S1300i』

コンパクトで両面原稿のスキャンが出来る同製品。アナログの書類や書籍などをスキャンしてデジタルデータに変換し電子化するツールである。それ自体の同製品の取扱説明書は冊子の形では添付されていない。添付されているのは、安全の注意書き以外に「スタートアップガイド」と、ドライバソフトや電子マニュアルを収録したCD―ROMのみであるという。

スタートアップガイドの手順で進めていくとPCにドライバソフト、電子マニュアルもインストールされる。取扱説明書にあたる「オペレーターガイド」(503ページ)をPDF形式になっており、検索も使える。大量の情報をPCで検索しながら使える点はよいが、トラブルが起こったさいに どこを見ればよいのか、添付ソフトとの連携も希薄で、全体像が分かりにくいといった欠点があるという。

今後、全体像を示しながら、個別の課題をどう解決に結び付けられるかなどの課題がまだあるという。happy01