【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:表層的対価思考の罠」から
2023/04/29
2023.4.26 日経産業新聞の記事「SmartTimes:表層的対価思考の罠」から
相手企業の知識や技術を「取る」のではなく「育む」という視点が必要
コラムの著者 栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、日本のシステム開発やSIer業でありがちな工数による開発費という表層的対価思考によって実は、売り手も買い手も優良なシステムを手にいれる機会喪失していると指摘している。
○機械工と芸術家のジョークに見る価値とは
栄籐教授は、システム開発において発注側と受注側での費用、すなわち価格について価値の見方の差異と表層的対価思考による罠について、2つのジョークの背景からこれを説明しようとしている。
- 米国の出典不明の技術者ジョーク:
- ジョークの概要:
- あらゆる機械を修理するのに多才な技術者が30年以上勤続した企業を退職した。
- 数年後、その会社の数億円の機械の1つが故障した。故障の修理を退職した技術者を呼び出して依頼した。
- 彼は問題のある部品にマークをチョークでつけ、ここが問題であると指摘した。その部品を交換すると、機械は見事完璧に動作した。
- 後日、彼は会社に5万ドルの請求書を出した。高額なので会社側は明細を知らせてほしいとのことだったので彼は、「1つのチョークのマークに1ドル。どこに置くかを知ることに4万9999ドル」と書き、満額を受け取って再び幸せな引退生活を送った。
- ジョークの概要:
- 19世紀末にイギリスで活躍した画家ホイッスラーの実話:
- ジョークの概要:
- 1877年に「黒と金のノクターン」という作品の制作に2日間かかったが、その絵に200ギニー(現在の500万円)の価値をつけた。
- 公明な芸術評論家は「価値なし」の烙印をおしたが、裁判になった。
- 法廷で美術評論家の弁護士が「あなたはその2日間の労働の対価として200ギニーを値付けたのか」と尋ねると、ホイッスラーは「いいえ、私は2日間の労働ではなく、私の人生の経験からきた価値を請求したのです」と答えたという。
- ジョークの概要:
栄籐教授は、この逸話を通して、日本のシステム開発に対して、2日間の労働賃金しか認めないことに継承を慣らしている。別段個別の取引であれば問題はない。ただ、この逸話の背景にあることを認知しているかが問題だという。
つまり、システムの開発には逸話のように職人技が実は大きくその性能を左右する。発注側もせっかくの自分たちのとって優良なシステム提案があっても工数という表層的対価で考えるならホイッスラーの名画の価値がわからないと機会を逃し、自社のとっての最良なシステム開発を逃すことになる。受注側も提案は無駄に終わり、工数による「やっつけ」仕事に陥る。これはお互いの利益にもならず、受発注双方の共存共栄の道を閉ざすことになろう。💰💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵
コメント